ニャ
暗くなってきたな。
大木に向かっている途中、日が暮れ始めた。
「もう夕方か、泊まる場所探さないとな」
「あれ町じゃない」
カナの指した方向に町があった。
町には強い灯りが出ていて騒がしい。
太鼓の音。。。祭り?
俺達は泊まるために町に入ることにした。
_____
町には屋台が広がり、浴衣姿の人が大勢いた。
太鼓の音がさらにハッキリと聞こえた。
どうやら祭りのようだ。
「おっ、観光客かい」
屋台の店員が話しかけた。
「四獣祭一のリンゴ飴食べるかい?」
「四獣祭?」
「なんだ、四獣祭を知らないのか」
店員はリンゴを飴にくぐらせながら話した。
「四獣祭ってのは400年前に和国の将軍が交えた約束を祝う祭りなんだ」
「毎年この日はみんないっぱい楽しんでるんだ」
約束を祝う祭り、今日がその約束が違える日なのをみんな知っているのか。
恐らく知らない。
パニックにならないようそこは黙っていたのかもしれない。
「さあその四獣祭一のリンゴ飴、食べるかい」
「ああ、いただくよ」
「毎度!!」
俺は4人分のリンゴ飴を購入した。
「あのぉ宿屋ってどこにあるか知ってますか」
「知ってるよ、あそこの建物が宿屋だ」
「私アビスと先に行って宿屋の部屋取ってくるよ」
「分かった」
カナとアビスは宿屋に向かった。
「お〜?勇者に戦士、、、珍しいのがいるニャ〜」
背後から誰かが声を掛けてきた。
振り向くとそこには獣人がいた。
白い耳、白い尻尾。
大勢いる人の中、一際目立つ火照った獣人がいた。
獣人は千鳥足でこちらに近づいた。
「えへへ〜、フニャ〜こんな日に会えるなんて\\\\
まるで運命にゃんね〜」
ふらついて近づく獣人は俺に抱きついてきた。
「ゔぇへぇ〜。。。んニャ?」
「あれぇ?」
何も持たない右手を上げ見つめている。
「ああ!見つけた〜」
「ちょっ、おい!」
この獣人、俺のリンゴ飴を食べやがった。
完全に酔っ払っている。
「うみゃいうみゃい」
「今日は二人に出会えたことが収穫ニャ〜」
「おい、たかし知ってるか」
「いや、獣人なんか始めて見たぜ」
「そろそろでしょ」
「そろそろ?」
「フニャ〜四獣倒しに」
「なんでお前。。。」
「待ってるにゃんよ〜君たち二人、もう二人もいたらそっちもよろしく」
獣人はふらつきながら奥へと行ってしまった。
。。。。。
「飲み過ぎだ」
「うるさいニャン」
「お前も飲めニャン」
「私は下戸だからな」
「関係ないニャン!そもそも四獣は全員下戸にゃん」
「あと二人も呼べっていったニャンよね〜なんでいないニャン」
「あいつらは祭りに興味ないだろ」
「私も来たのはお前が誘うから」
「うニャ〜だって久しぶりの休憩にゃんよ?」
「遊びたいニャんよね?」
。。。。。
二人は町を出て姿を消した。
_______
日が昇って朝がやってきた。
この世界で初めての和食だ。
焼き鮭は口に入れた瞬間、油が出て旨味が広がった。
外国にない和食の味が懐かしさを感じる。
たくあんなんかこの大陸でしか食べれない貴重品だ。
しっかり噛み締めておこう。
「大陸でこう料理が違うもんなんだな」
たかしはご飯を勢い良くかきこんだ。
宿屋を出ると、昨日までの屋台は消え、浴衣姿の人はいなくなっていた。
静かで和んだ雰囲気は平和を感じさせる。
騒がしかった昨日とは違う良さがある。
「おい〜酒はどこだ!!」
その時、平和の雰囲気を大きな声が壊した。
「酒屋は閉まっています、もう時期開くと。。。」
町人が騒いでいる男に近寄った。
「バカが、なら開ければよかろう」
瞬間、男は刀を抜き、斬りつけた。
町人は倒れた。
上半身に一本の切れ目が入り血が流れ出た。
町を悲鳴が包んだ。
「ふぃ〜そんじゃもういっぺん聞くぞ〜」
「酒はどこだ」
町の人は逃げ出した。
「おい、逃げたやつから斬り殺すぞ」
。。。。。。。
「たくっ、おいそこ、酒は知ってるか」
男は俺達に話しかけた。
「てめぇふざけんなよ」
たかしは男に近づいた。
「やるか?」
「俺達盗賊を」
「俺達。。。?」
町の橋から物騒な武器を持った男達が近づいて来た。
「いつもは城のやつが見張ってるのに、いないからよ〜」
「奪えるもんは全部奪うぜ」
昨日集まったせいで見張りがいなかったんだ。
俺達でこいつらを止めないと。
「んじゃ邪魔だしお前ら消えろ」
白い光が空間を包む。軽快な音楽が流れる。
メッセージが下から飛んできた。
「盗賊a 盗賊b 盗賊c 盗賊d が出現」
俺は剣を抜き盗賊aに攻撃した。
なんだこいつ、強い。
盗賊は俺の剣で吹っ飛んだ。
530ダメージ与えた。
「こいつら強えぞ」
「はっ大した事ねえよ、ガキだぜ」
「ましてや俺の相手は武器もない」「刀をもった俺じゃ簡単に。。。」
瞬間、盗賊bの腹に強い衝撃が走った。
こいつ今なにを。。。
670ダメージ与えた。
「ねえ、殺っていいの」
「人は良くない、生かして捕らえる」
そういや、一回だけやったことあるような。。。
「あのぉ私は〜」
「後ろで隠れていろ」
アビスの場合、町も壊しかねない。
三人で倒す。
「まてっ、もうやめるから」
たかしは腹に強い一撃を放った。
盗賊bは気絶した。
「まじでやばいぞこいつら」
「じゃあお前は女の方を殺れ」
盗賊d 盗賊cはたかしと俺に近づく。
俺は三回攻撃を選択した。
盗賊dに剣を放った。
1890ダメージ与えた。
途端倒れて気絶した。
「会心拳」
たかしは盗賊cに拳を放つ。
「拳勝負で負けない」
盗賊cは拳で受けた。
しかし、
この拳今までどんな戦いをすればその威力が。。。
盗賊cの拳は砕け、吹っ飛んだ。
780ダメージ与えた。
「ちょっ、やっぱり俺は」
「リーフストーム」
カナの剣から複数の渦が発生した。
新たに手に入れたカナの魔法だ。
剣を振り上げるといくつもの渦が飛び出し盗賊bを襲った。
もう盗賊なんてやめよう。
盗賊bはそう思い、体に強い衝撃が走ると気絶した。
4400ダメージ与えた。
レベルが上った。
俺は45に上がった。たかしは45に上がった。カナは45に上がった。アビスは44に上がった。
「ハイリターン」
カナは斬られた町人に光を放った。
「あれ、私は今何を」
「死んでたのよ」
「そんな、じゃあ斬られて。。。ない?」
「んじゃあ、さっきのうるさい御方は。。。縛られている」
たかしは盗賊を縛りつけていた。
あとは町人が連絡した見張りが来るのを待つだけだ。
「なんとお礼をすればいいか」
「ああ、ぜひ家の武器を貰って下さい」
「うち、武器屋やってまして」
武器か、ちょっと気になるな。
「ぜひ、行きたい」
俺は武器屋に向かうことにした。
_____
「ぜひ見てって下さい」
俺は武器を覗いた。
だめだ、武器を見た所で何がいいのか分からない。
「見つかりましたか」
「えーと、一番強いの」
俺は和鉄龍を手に入れた。
青く輝くその刀は強そうだ。
俺はセレクト画面を開き武器を持ち替えた。
攻撃力が30上がった。
本題の大木に向かうとしよう。
俺達は町を出た。
_______
俺達は大木に向かっている。
「しっかし〜あれ大きいな」
大木は遠くからもハッキリ見えるほど大きく存在感を放っていた。
城よりも高くそびえ立ち、横に伸びて葉を伸ばしている。
外国にこんな木があったような。
奥には海が見え、砂浜が広がっている。
そこに大きな大木がぽつんと生えている。
大木付近に緑の結晶があった。
俺は緑の結晶に手をかざした。
体が持ち上がるように軽くなり、フワっとする。
メッセージが下から飛んできた。
「回復しました」
「セーブしますか」
俺はセーブを選択した。
「やあ、待ってたニャ」
白い耳、白い尻尾を生やした獣人が大木の下で座っていた。
「でも本当に来るにゃんて」
「勇者ってだけで近づいたけど当たりだったニャン」
「できればそのまま力を貸してくれればいいんだけど」
「何言ってるニャン」
「あれ、めちゃくちゃ疲れるニャンよ」
「偉そうに言われても嫌ニャン」
「そういうのは倒してから言うニャン」
「天と地の差だと思うけど」
「あー分かった、しっかり倒してやる」
「そうそう、そうこなくちゃニャ」
「それじゃ戦おうか」
。。。。ニャは?
「あー。。。気にしないでニャ!」
獣人は目を見開いて口を塞いだ。
「戦うのなんて400年ぶりだから、昔の性格に引っ張られたニャン」
「もういいから始めるニャン」
「皆、準備出来たか」
「ああ大丈夫だぜ!」
「もちろんよ」
「わ、私もっ。。。」
そして_____
白い光が空間を包む。軽快な音楽が流れる。
メッセージが下から飛んできた。
「白虎が出現」