タ・ダノ町
「王様に話しかけよう」
無機質なメッセージが目の前にある。
あっ俺セーブしてねぇ。
どうやら俺はあの犬ころに殺られてしまったようだ。
レベルも1に戻って剣も無い。
俺はクソゲーに転生してしまったのか。
「めんどくせぇがまた王様に話しかけるか」
俺はメッセージを飛ばし、セレクト画面からセーブをした。
俺は王様の所へ向かった。
右端からちょこちょこと歩く犬がいる。
俺は急ぎ足で王様の元へ向かった。
「よぉー王様」
「はじめましてだね私は。。。」
「トライアル王ですよね」
「。。。。」
「お主、儂を知っておるのか」
そりゃ二回目だからな。
「まぁいいか、急に悪いが魔王を退治してもらう」
「はいよ、仰せのままに」
「うむ。執事よあれを」
王様は執事を呼んだ。
。。。。。
沈黙は続いた。
「。。。。。」
「執事なんて金なくていないわ」
「まぁ儂から」
メッセージが下から飛んできた。
「剣を授かった」
このケチンボ仕様必要か?
普通、魔王退治頼むなら質の良い剣や鎧を上げるべきだと思うぜ。
「さぁ魔王を退治するのじゃ」
王様の会話は終了した。
俺はこの無いのと等しい剣を選択し、装備した。
攻撃力が1上がった。やっぱり意味ないだろこれ。
俺は城を少し見ることにした。
俺が見れたのは書斎だけだしな。
と言っても城はなんの変哲も無かった。
大きな部屋がいくつかあったり、会議?するようの部屋があったり
本当になんの変哲も無かった。
あるとしたら、やっぱあの執事(偽)と犬だけだな。
俺は城から出ることにした。
外見はとても立派だ。外見だけで見れば2〜3倍部屋が増えていてもおかしくない。
「ん?」
なんだあれは。
俺の目に入ったのは光る何かだった。
まっすぐ階段を降りてちょうど脇の芝生にあった光。
拾うまで丸く光っていたが、持った瞬間光の中からポーションが出てきた。
「ポーションを入手した」
どうやら光の正体はポーションだったようだ。
俺はセレクト画面からアイテムを開いた。
ポーション:HPを500回復
なるほど、察していたがポーションは回復アイテムだった。
HP300の俺にとって全回復の有能アイテムだ大事に使おう。
俺はセレクト画面を閉じて、城を出る。
城を出てすぐに町があった。
中世ヨーロッパの町に近い外観でとても綺麗だ。
町に入るとすぐメッセージが下から飛んできた。
「第一章 始まりの冒険」
「第一章ね、ちょっとワクワクするじゃないの」
城では散々だったが、こう物語の始まりを見ると結構ワクワクするものだ。
メッセージを飛ばすと、城とは違う穏やか音楽が流れた。
城はやかましい感じだったが、この町は落ち着ける音楽だ。
一応ここはゲームでは無く、ゲーム要素のある異世界が正しんだろうけど。
異世界でもBGMはあるもんなんだな。
俺はセレクト画面を開いてある画面がないか探した。
「おっあった!」
そうオプション画面だ。
BGMとSEのバーがあり2つとも100%になっている。
「じゃあちょっとだけー」
俺はBGMのバーを左に移動させ0%にしてみた。
おお!これはすごい。鳥のさえずりや風の音がはっきり聞こえるようになった。
なんか空気も美味しいような。
これSEも下げたらどうなんのかな。
多分下げたら音が全く聞こえなくなるんだろうけど。
フルダイブ型でも音量を0%にすることは可能だが、ゲーム機本体の音や外の音は入ってしまう。
そういえば長時間無音だと幻覚が見えたりするらしいが。
。。。。。
やめておこう。
俺はBGMのバーを100%に戻した。
俺は町を歩いて見ることにした。
「なぁなぁ」
子供が話しかけてきた。
「隣の建物、普通の家に見えるだろ」
少年の隣を見てみた。普通の家だ。
「実はさ、とんでもねぇ施設だったんだよ」
「へぇ、一体どんな」
「うーん、あんま分からん」
この子供はただ話したかっただけなのだろう。
さてどんな施設なのか。
俺はその家に入ってみることにした。
中は神聖そうな施設だった。
水に囲まれている磨かれた石畳の上にはガラスに囲まれた緑の結晶があった。
「なんだこれは」
俺は緑の結晶に近づいてみた。近づくと緑の結晶は小さく光る。
人を感知しているのか。
なんとなく俺は緑の結晶に手をかざす。
すると緑の結晶は強く光り、体が持ち上がるように軽くなった。
フワッとしたとき、下からメッセージが飛んできた。
「HPが回復しました」
「セーブしますか」
なるほど、この結晶は回復兼セーブポイントのようだ。
はい、いいえの選択が出たのでとりあえずはいを選択しとく。
この部屋はこれで終わりっぽいので出ることにする。
部屋を出て町を歩いていると人影が近づいてきた。
「おーい」
「おい、聞いたぞ」「魔王を倒すんだってな」
「なぁ俺もついてきていいか」
誰だ、こいつ。ガタイのいい男が俺に話しかけてきた。
もしかしたらRPGのイベントなのかもしれない。
きっとこいつは俺が転生した主人公と面識のある設定らしい。
仲間が増えるのはありがたい。
「いいぜ」
「よっしゃ!そうと決まれば」
男が言い出そうとしたとき。
「たかしーあんた部屋掃除早くしなさい」
遠くから声が聞こえた。どうやら母親のようだ。
「わかったよ、すまん後で合流な」
男。。。いや、たかしはそそくさと自分の家に向かった。
あいつの名前たかしって言うのか。
。。。。。
トンコロコロと全く互換性が無いと思うんだが俺だけか?
俺はたかしの家の近くまでよった。
たかしの家から母親だと思うおばさんが出できた。
「ここは魔王城から最も遠くて安全な町」
「なのにたかしったら魔王を倒すって聞かないのよ」
ほう、たかしは魔王を倒したいのか。
たかしがそこまでする理由があるのだろうか。
家の中から物音がする。まだかかりそうだ。
俺は町を見てみることにした。
町の中心には銅像がある。銅像に文字が彫られていた。
「何だこれ?」
見たことの無い文字が掘られていた。この世界の文字なのだろうか。
「ここは勇者が訪れた町 タ・ダノ町」
下からメッセージが飛んできた。
翻訳をしれくれたようだ。
それにしても名前適当だな。
俺は銅像の最寄りにお店らしき建物があったので入ってみることにした。
お店の棚にはたくさんの小物があった。雑貨屋さんかな。
「いらっしゃい」
「すみません、あそこの薬品って。。。」
「あっそれは非売品で買えるのはこちらからです」
見せられた紙にはポーション、解毒剤、マジックポーションとだけ書いてあった。
あくまで買えるのはこの3つなのか。ゲームのショップまんまだな。
「どれも100円か、安いな」
有能ポーションが100円とはこの店も有能か?
「円ってなんですか?」
そうかここの通貨は円ではなかった。
「えーと100、えー」
「Gですね」
「あっGねG、じゃあポーションを。。。」
しまったGなんて持っていない、円にしろソフトの時点で尽きちまったが。
どうやら俺は無能のようだ。
俺はペコリと謝り、店を出た。
店を出ると脇から話し声が聞こえてきた。
「この町も人が減ったわね、都会はそこまでいいかしら」
都会と聞いて俺はビルなんかをつい想像してしまった。
「働いても稼げないからじゃん」
「王様、お金ないし」
あの王のせいで町まで困窮してるのかよ。
町は案外小さく店もさっき行ったのと防具屋しかなかった。
防具屋に関しては冷やかし呼ばわりされてまともに見れなかった。
たかし、あいつ遅くないか。
もしかしたら町で何かしらイベントを起こさないとたかしのイベントは進まないのかもしれない。
イベントの進行はどうすりゃいいか。
俺は町を出て見ることにした。
「ブツブツ」
なんだ?
周りをぐるぐる回りながら何か呟いている男がいた。
「3165」
なんだ、数字?これはなにかのイベントかもしれない。
「あの、、」
「ブツブツブツ」
男からの反応はなかった。
まぁ、今すぐじゃなさそうだしほっとこ。
俺は再び町を出るため歩いた。
町から出る手前、突如白い光が空間を包む。
メッセージが下から飛んできた。同時に軽快な音楽が流れる。
「スライムa スライムb が出現」
スライムとのバトルね。俺は剣を構えてスライムに斬りつける。
「ヌギュウゥゥゥ」
100と数字が出た、スライムは溶けるように消えた。
あれ、なんかダメージ高くない?
俺はもう一匹のスライムに向かって剣を斬りつける。
98と数字が出て同様に、スライムは溶けるように消えた。
執事(偽)に比べスライムはだいぶ弱い。
もしかして執事(偽)って割とレベル高かったのか?
メッセージが下から飛んできた。
レベルが3に上がった。ポーションを入手した。
あの城に出てくる敵はちょっと特殊なだけで、これが普通なのかもしれない。
レベル3ごときじゃあの犬にはまだまだ敵わなそーだし。
「おーい」
後ろから声がした。
振り返るとたかしがいた。
どうやらさっきのスライムがイベントを進行させたみたいだ。
「今の見たぞ」
「やっぱ戦うのは楽しいよな」
「んじゃよ冒険の始まりだ」
「おう、よろしくなたかし」
愉快な音楽が流れ出す。
メッセージが下から飛んできた。
「たかしが仲間になった」
やっと冒険が始まるのか。
俺はたかしとともに町を出た。。。その前にセーブっと。