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絶大な魔力

隕石跡地の奥に進んだ。


奥には一人の影と緑の結晶があった。

回復兼セーブポイントだ。

これがあるって事はボス戦があるんだろうな。

おそらく今回の帽子女の件はストーリーイベントで間違いない。

魔王討伐書かどうかは定かではないが必ず必要なイベントなのだろう。


俺は緑の結晶に手をかざした。

体が持ち上がるように軽くなり、フワっとする。

メッセージが下から飛んできた。

「回復しました」

「セーブしますか」

俺はセーブを選択した。


師匠は奥で魔法を唱えていた。

その魔法は莫大な魔力を放ち大地を崩壊させた。

同時に周囲の魔物が消滅した。


「なぁ帽子女いないぞ」

「うーん。。。」

たかしは後ろを見て少し考えた。

「まぁ、俺から聞けばいいか」


そう言うとたかしは奥に進み師匠に話しかけた。


____


「あら、生きてたのね」

「死にかけたけどな」

「彼女に話は聞いたぜ」

「話?」

「あんたはなんで彼女を叩いたんだ」

「彼女は呆れられたって思い悩んでいるんだぜ」

「手ぇ出すんじゃなくてもっと色々あっただろ」

「うるさいわね」

「あんたに関係ないわよね」

「お前のとばっちりは食らったぜ」

「とにかく思ってることを言うぐらいは出来ないのかよ」

「彼女をもっと考えるべきだろ」


_____


たかしは熱心に師匠に話した。

しかし、その行為は納得や関心には繋がらず師匠の怒りを買う行為となってしまった。

「いい加減うるさいわね」

「あんたらなんかこの力で」

すると周囲の大地が軋み、空間が歪んだ。

きっと気のせいなのかもしれない。だがそれは誰にも確かめることは出来ない。

「ッ!!」

「すごいわ、とてつもない魔力よ」

「当たり前よ」

「私は北の大陸で最も強い魔術師なのよ」

「国だって私を裁く事はできない」

「言ってる意味、分かるわよね?」


師匠の体を黒いオーラが纏った。


「殺す。。。って意味」


魔力は殺気を含んでいる。体には不可解な重みが来た。


「彼女、かなり危ないわよ」

「見れば分かるけど」

「そうじゃない、彼女の感情が不安定なのよ」

「どういうことだ」

「魔力って心の起伏で増減するんだけど」

「彼女の場合その逆が起きているの」

「逆?」

「そう、心の起伏が魔力によって支配されているの」

「感情が高まっている時に魔力を使用すると感情が魔力に引っ張られるの」

「簡単になるものじゃない、色んな気持ち、色んな記憶、強い衝撃でなるものだから」


感情が支配される、意味は理解はできた。


だが、なぜ彼女にそれが起きた?


いったい何があった。


「じゃあ、あんなに俺ら殺る気なのは魔力のせいってことか」

「そうよ彼女を戻すには魔力を消耗させるしかない」


「もういいかしら?」


師匠は不機嫌な表情でこちらを見た。


「ああ、お前を止める話は済んだぜ」

「戦ってやるよ」

「はぁ?あんたなんか、私が戦う必要無いわよ」


師匠は杖を前に出し、魔法を唱えた。


「来なさい我の巨神兵」

地面に魔法陣が発生した。

魔法陣は回転し、光を発生させた。


ギュオオオオン


すると魔法陣から鎧の体が出てきた。


4mの巨体の鎧が俺達の前に現れた。


「相手を間違えたこと」

「後悔させなさい」


白い光が空間を包む。希望と絶望を含んだ音楽が流れる。

メッセージが下から飛んできた。

「巨神兵が出現」


俺は戦闘画面を開き三回攻撃を選択した。

俺は巨神兵に向かった。

たかしも一緒に巨神兵に向かった。


剣は巨神兵の体を斬った。

たかしの拳は巨神兵の足を攻撃した。


1849ダメージ与えた。


動きが遅い。

それどころか構えてすらいない。


俺は再び剣を握り攻撃した。


350ダメージ与えた。


「ロックストーン」

カナの剣先に周囲の岩が集まった。

集まり収束した岩は、5mの巨大な岩となった。

その岩は巨神兵に向かって放たれた。


動きが遅い、当たる。


魔法は命中した。

1300ダメージ与えた。


「後悔?全然感じないぜ!」

師匠は何も発さなかった。

ただ今の状況を見て、笑っていた。


なにがおかしい?


俺は剣で巨神兵を攻撃した。

370ダメージ与えた。

「会心拳」

たかしは拳を放つ。

990ダメージ与えた。

たかしの体をオーラが纏った。クリティカル確定状態になった。


そのとき___


影。。。

大きな影現れた。俺は頭上を見上げた。

頭上には大きな大剣があった。

巨神兵の体と同じ大きさの大剣が今、振り下ろされようとしている。


俺とたかしは大剣を回避した。


次に巨神兵は大剣を横に構え、振り上げた。


次は避けられない。

俺は戦闘画面から防御を選択した。

「砕けろ!」

たかしは大剣に向かって攻撃した。


大剣の動きは止まった。


「止まった!」

だが、大剣を動かす力が徐々に上がりだし、たかしの足は押し流された。

「やべっ」

たかしの拳が支えきれなくなった時、大剣は勢い良く俺とたかしを襲った。

俺は2550ダメージ受けた。

たかしは3300ダメージ受けた。

カナは再び魔法を唱えた。

「ロックストーン」

岩が巨神兵に向かって放たれた。


巨神兵は大剣を持ち替え、向かってくる岩を縦に斬った。


速くなった。

巨神兵の動きが速くなっている。


巨神兵はたかしに向かって拳を振り下ろした。

たかしは対抗して拳をぶつけた。

「うおおおお」

たかしは拳を押し出した。

しかし巨神兵はその分だけ力を上げて、たかしを押しつぶした。

地面が砕けて、たかしは埋もれた。

2000ダメージ受けた。

俺はその隙に5回攻撃を行った。

2250ダメージ与えた。

「スーパーヒール」

カナはたかしに向かって魔法を放った。

たかしは1500回復した。

「あぶねぇ助かった」


巨神兵は俺に狙いを変えた。

「なっ!」

一瞬で俺は蹴られてカナの所まで飛んでった。

1200ダメージ受けた。


巨神兵はカナと俺に向かって走ってきた。

最初より明らかに速い。

それだけじゃない。

蹴られた方向にカナがいたのは偶然じゃない。

こいつちゃんと考えてやがる。



大剣が襲う。


俺とカナは横に吹っ飛んだ。

二人は2300ダメージ受けた。


HPが間に合わない。


ポーションを。。。!!


こいつ、まだ速くなるのか。

巨神兵の速度はさらに速くなっていた。

ポーションを飲む間も与えず迫ってきた。確実に仕留めるつもりだ。


「反撃の構え」


巨神兵の前にたかしが来た。

たかしは構えの姿勢をとり、体からオーラを放った。

巨神兵は大剣を振り上げた。三人まとめて攻撃するつもりだ。

大剣は素早くたかしに迫った。


瞬間___


たかしは大剣を弾き、腹部まで飛び上がった。

柔らかい動きで手のひらを腹部に押し付けた。

手のひらを押し込んだ時、巨神兵は後ろへ吹き飛んだ。


4800ダメージ与えた。


たかしは会心拳によって反撃技にも強化が入っている。

だから威力が高いんだ。


巨神兵の腹部の鎧は砕け散った。

中は空洞で中身はない。


巨神兵は再び立ち上がった。

そして大剣を両手に持ち、左右で別方向に引っ張った。



すると大剣は綺麗に二つに分裂し、巨神兵は二刀流になった。

巨神兵は両手の大剣を回転させた。


巨神兵はまだ強くなるようだ。


俺はスーパーポーションを選択し飲み干した。

俺は1500回復した。


巨神兵はこちらに今までにない速度で向かってきた。

たかしは構えて巨神兵と向かい合う。

二つの大剣はたかしを襲った。


たかしは剣を弾き、今度は顔に飛び上がった。


しかし___


「!!」

顔に攻撃が届く前に大剣がたかしを襲った。

無論、大剣を全て弾くが攻撃は全く出来ていない。


巨神兵は相手の動きを学習し、それを上回るように動く仕組みを持つ。

それを可能とさせたのは師匠の絶大な魔力である。


魔力とはこの世界にとって当たり前に存在する力である。

生物は必ず魔力を持っていて人間の場合、脳や体、心にあるとされている。

また魔力は"ある神"が作り出した力であり、魔力を極めれば神と同程度の力となり得て

理に干渉する事さえ可能となる。

ある"者"は時間に干渉する力を手に入れている。

故に巨神兵は学習し速度を上げて反撃に対応できるのである。


「トリプルエレメント」

カナの剣先に黄色い球、赤い球、青い球が発生した。

三つの球は混ざり合い、大きな混色の球となった。


そして混色の球は巨神兵に放たれた。


5800ダメージ与えた。

巨神兵の体に氷が生えた。

巨神兵は固まった。

メッセージが下から飛んできた。

「巨神兵は麻痺状態になった」「巨神兵は凍結状態になった」「巨神兵は火傷状態になった」

巨神兵の体が燃えだし、500ダメージ受けた。


「今だ!!」

たかしは固まったのを機に反撃の拳を放った。

拳によって巨神兵の頭部が割れた。


5600ダメージ与えた。


同時に巨神兵の体が崩れ始めた。

衝撃が全身に回っていたのだ。


____


レベルが上った。

俺は35に上がった。 たかしは35に上がった。 カナは35に上がった。


「へぇ、やるじゃない」

「まぁな」

「ハハハハッ」

師匠は笑い出した。

「皮肉を言ったのよ」

「あの程度に苦戦しているから面白くてね」

あの程度。。。

今までの中でも十分に強い相手だった巨神兵。

それをあの程度。

いったいどれほどの。


師匠は杖を前に出した。






______







「あれ。。。?」

「いま魔法を」

「何言ってんだよ」

「これから話すんだろ」

たかしと話が噛み合わない。

「どういうことだ」

「どうって、なにが」

「さっき俺達は巨神兵を倒して、それで」

「そのー、巨神兵ってなんのことだ」


目の前には緑の結晶があった。

俺のHPは最大で傷一つない。


まさかこれって。


俺はあの時、死んだんだ。



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