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機械は田中に変化する

____

「27kmまで着いたか」

男は旅館の外の監視カメラから三人を見ていた。

「ではそろそろ二つ目の試練を準備しようか」

男はコンピューターを操作し、ある画面を開いた。

《エネルギー100%:起動》

「では起動しよう」

起動と表示された画面をクリックした。



管理場から50km地点。

機械の歯車はゆっくりと動いている。機械は蒸気を蒸し活動している。


。。。。。


数秒後、歯車の動きが止まった。

蒸気を蒸していた機械も一斉に動きを止めた。


そして___


歯車は急激に回転速度を上げだした。ポンプは勢いを上げ機械にエネルギーを送る。

密集していた機械は形を変え、縦型に整った。

機械が形を変えたことで、黒いゴムが剥き出しになった。

黒いゴムは膨らみ、さらに機械の形は変化した。


そして_____


最終的に機械は二輪車に近い形に落ち着いた。


機械は大きな道路の直線上にある。


黒いゴムは歯車と共に急激な回転を起こした。

機械はゆっくりと加速し、道路に飛び出した。


____


「あの時は本当に」

「もういいわよ」

カナは呆れた様子だった。

「こんなことで旅に支障が出るなんてくだらないしね」

俺が気まずそうにしているのを察して言ってくれた言葉だろう。

「だけど。。。」

カナの声色が変わった。俺は一瞬ビクついた。

「次同じ事したら。。。」

「分かるわね」

「ハイ。。。」

「おいおい、何の話してんだ?」

たかしは何も知らない。俺もこうだったはずなのに。


管理場まで残り23kmまだまだ遠いな。

さて、また歩くとするか。


「おい、これって馬車じゃねぇか?」


たかしの声の先を見るとそこには車があった。

見た目はサバンナで使うような四輪駆動のオープンカーってかんじだ。

「すっげぇ、こいつ固いな」

たかしは車を軽く叩いた。

「こいつは生き物じゃねぇよ」

俺は車に乗り込みハンドルを握る。後から二人が座席に座った。

「これ、動かせんのか?」

「あたぼうよ!」

どうせ船と一緒だろう。

俺はハンドルに手をかざした。

すると。

メッセージが下から飛んできた。

「運転しますか」

「はい」

「いいえ」

やっぱりな。

俺は、はいを選択した。

直後、車のエンジンが掛かった。運転ができる合図だ。

さぁ俺のゲーセンテクニックを見せてやる!

アクセルを踏み込んだ。

それに車は呼応し勢い良く走り出した。


メーターが右に傾く。比例して車は加速した。


「すげぇこんなに速いのか」

風を切って車は進む。勢いは止まらない。


これが音速だー!! (時速80km)


ガシャン!!


車は何かを跳ね飛ばした。

やべ、何か跳ねた。

人生初の無免許運転、そして人生初の人身事故。


車は急停止をおこなう。

「やばい俺、轢いちゃった」

後ろを振り向くと、大きな炎を上げたトカゲがこちらを睨んでいた。

トカゲに1000という数字が表示された。


トカゲは車に向かって飛びかかってきた。


白い光が空間を包む。軽快な音楽が流れる。

メッセージが下から飛んできた。

「灼熱トカゲが出現」


車に飛び込んできた。

こいつ俺の愛車を燃やすつもりだ。 そうはさせねぇぞ!


俺は灼熱トカゲに向かって剣を振り上げた。

攻撃を受け、灼熱トカゲは空中に浮いた。同時にカナのアイスが灼熱トカゲを包んだ。


灼熱トカゲに1400ダメージ与えた。


灼熱トカゲは付着した氷を一瞬で溶かて、消えた炎は再び噴き出した。

灼熱トカゲは口を開け、炎を纏った舌を伸ばした。

こいつめ、また車を狙ってる。

俺は舌に向かって飛び出し剣で斬りつけた。

260ダメージ与えた。

舌は切断され落下した。


しまった!愛車に落ちる!


「とりゃ!」

落下した舌をたかしが蹴り飛ばした。

「こいつねぇと、また歩くことになっちまう」

たかしは灼熱トカゲに飛び出し、口に拳を突っ込んだ。

「___っげ!」

驚いた灼熱トカゲは舌の向きを変え、たかしに向かって伸びた舌を飛ばした。

「戻ってきたな」

たかしは舌がこっちに向かったことで安心した。

たかしは舌に巻き付かれた。炎はたかしを包んだ。

「おい、たかし!」

「平気だ」

たかしはダメージを受けながらも拳を上げた。

「ふんっ!」

灼熱トカゲの体に拳が直撃した。

拳は止まらない、灼熱トカゲは高速で拳を打ち付けられた。

灼熱トカゲに1300ダメージ与えた。


灼熱トカゲは消滅した。

レベルが上った。

俺はレベル30に上がった。 たかしはレベル29に上がった。 たかしはレベル29に上がった。


ふぅ〜危ねっ!

俺は再びエンジンを起動させ、車を走らせた。


____


「ようやく着いた」

管理場までの距離残り0m。

管理場に到着した。管理場の前の扉は閉鎖されている。

「すいませーん」

俺は扉の右にあったインターホンを押した。


ブーー。。。


インターホンから声が聞こえてきた。

「この道を見事越えてきたようだな。。。まぁいい」

今の間は車を見たからだろう。

「では、二つ目の試練を始める」

「二つ目?あのー俺は田中さんに。。。」

「知るか、我は弱い者に興味はない」


プツっ___


インターホンから音が消えた。

切りやがった。


後ろから大きな揺れが起きた。

「地震か?」

「いや、違うこれは」

目の前には大きな機械があった。

この形。。。バイク?

バイクを模した形の機械は俺達の目の前で静止した。


「どれ、試させてもらおうか」

男はパソコンの画面を開いていた。

「レベル1,2,3では物足りぬか」

男はパスワードを入力し新しい画面を表示した。

画面にはレベル田中と表示されていた。

「レベル田中、起動」


機械は変形を始めた。

機械は蒸気を上げ、歯車を回した。

機械は複雑な形へと変化する。


これって。。。ドラゴン?


翼や腕、足に至るまで銅色の機械はドラゴンに似せて形を整えた。

体中に巻き付いたチューブにオレンジ色の液体が流れた。

液体がホースを完全に満たすと体中から蒸気を発生させた。


白い光が空間を包む。軽快な音楽が流れる。

メッセージが下から飛んできた。

「ギアレドラゴンが出現」


こいつと戦うのかよ。


____

あの鋼鉄の体。。。

あの体に傷を入れるのは難しいよな、一番ダメージが入るのは___

俺はギアレドラゴンの足に巻き付いたチューブに向かって剣を斬りつけた。

ダメージの表示が無い。機械だからか?


ホースからオレンジ色の液体が漏れ出した。


この匂い、ガソリン!


ギアレドラゴンの口から蒸気が溢れている。

まずい、こいつ火を出す!

二人はガソリンを知らない、このままじゃみんな焼け焦げになる。

俺はカナの魔法画面を開きアイスを選択した。

ギアレドラゴンの口から青い炎が見えた。

「カナ!口の中だ」

カナは瞬時に剣先をギアレドラゴンの口に向け、アイスを放った。

「アイス」

炎は縮み小さくなった。


ギアレドラゴンは蒸気を蒸した腕でカナを襲った。

カナは1300ダメージ受けた。

「食らいやがれ」

「会心拳!」

たかしはギアレドラゴンの背後から会心拳を放った。

ギアレドラゴンの背中が少し凹んだ。

たかしはクリティカル確定状態になった。

ギアレドラゴンは歯車を回転させ、背中から何かを生やした。

生えてきたのは大きな筒だった。

その筒の中は強い光りをだしている。

なにかやばいな。たかしは防御の姿勢をとった。


すると筒からビームが放たれた。


たかしは2500ダメージ受けた。


ガガガガ___


ギアレドラゴンの動きが遅くなった気がした。

こいつ出力と引き換えに活動が鈍くなっているのか。


持久戦に持ち込めば勝てるかもしれない。


。。。いいや違う、それじゃだめだ。


敵は全力で俺達を相手するのに俺達は全力で戦わないのか?

戦うさ、全力で倒す。


俺はギアレドラゴンの体を駆け上がり、剣でありとあらゆるチューブを攻撃した。


それを見たギアレドラゴンは俺を狙って腕の表面の形を変化させた。


端々から機関銃が出てきた。


これ、本物かよ!


俺は防御を選択した。

今までより絶体強い。何なら死ぬかもしれない。


銃弾が放たれた。

無数の銃弾は俺の体に食い込んだ。

ダメージが大量に表示された。やばい本当に死ぬ。

3000ダメージ受けた。

ギアレドラゴンは口を開け青い炎を生み出した。

俺に止めを刺すつもりだ。

「させるか!」

たかしはギアレドラゴンの後頭部に三回攻撃を放った。

拳はギアレドラゴンの頭部を突き破った。


青い炎を生み出していた機械は機能を失い炎は消えた。


助かった。次はこっちの番だ!

俺はギアレドラゴンの頭に飛び上がり、目に向かって剣を投げた。


バリン!


レンズの目玉は俺の剣によって割れた。

これでギアレドラゴンは何も認識出来なくなった。


頭部に付いていた歯車は回転を止めた。


頭部が使い物にならなくなった途端、ギアレドラゴンの頭部はあっさりと外れた。

エネルギーを抑えているんだ。

体はまだ機能している。ガソリンは漏れているがまだ止まらない。

ギアレドラゴンは歯車を高速で回転させ腹部を開けた。


腹部から大きな大砲が現れた。


こいつで吹っ飛ばすつもりか。

残念だが、俺はお前の体の上だ当たるわけ無い。


俺は機械の隙間に剣を刺し体を走り回った。


「おわっ!」


瞬間、ギアレドラゴンは下半身を軸にして上半身を回転させた。

あまりの勢いで俺は外に吹っ飛んだ。


そしてギアレドラゴンは回転しながら砲弾を乱射した。

砲弾によって、いくつものクレーターが出来上がっている。


ギアレドラゴンの砲弾は誰にも当たっていない。

見えていないおかげだ。

もし、あの砲弾に当たっちまったら。。。やばいよな。


それに警戒するのは大砲だけじゃない。

ギアレドラゴンの上半身と共に回転した翼が下に傾いた。

傾いた翼は地面を削り、円を描く。

体は鋼のカーテンに包まれた。


この状態は、近接も遠距離も全てに対応している。


完全無欠の絶対防御が完成してしまった。


[Ta]ctical 戦術的で

[n]efarious 極悪非道な

[a]utomatic 自動の

[k]leos 栄光たる

[a]erolite 流星 


「略して田中(tanaka)。。。さぁ切り抜けられるか」


_____


完全無欠の防御をどう打ち破るか。

俺は戦闘画面を開きTPを確認した。必殺技までまだ足りない。

あの防御を崩す方法は必殺技にあるはずだ。


俺はカナの魔法画面を開き、スーパーヒールを選択した。

「回復頼む」

「分かったわ」

カナは俺に向けて手を伸ばした。

HPが1500回復した。

「まだだ、回復が足りない」

「これなら足りる?」

カナは俺にスーパーヒールを数発放った。

HPが4500回復した。HPは満タンになった。


よし、準備は整った。俺は絶対防御のギアレドラゴンに向かって走り出した。


バシャン。


クソッ、腕が一本無くなった。

俺の片腕は翼の回転によって潰れた。

俺は1000ダメージ受けた。


前と違って痛みが無い、ちゃんと機能しているようだ。

「カナ、回復」

「また?って腕が」

カナはスーパーヒールを放った。

HPが1500回復した。

腕はみるみると生えて元に戻った。


あの回転は絶対に近寄れない。


超大振りを除いて。


俺は必殺技画面を開き、超大振りを選択した。

今度は絶対に止める!!

俺は回転に向かって剣を振るった。



ン、グ!。。。。。いけた。



翼の回転は止まった。

良くやったぜ俺!! 俺の超パワーが通じたぞ!!


翼と剣の間にギギギと音がなった。


そのまま根本に向かって____!!


俺はギアレドラゴンの上半身に向かって走り出した。

翼は止められた衝撃で固まっている。

だが時間の問題だろう。


チャンスは今だけだ。

もうあの回転を止めるTPは無い。

それに、あのドラゴンがいつまで燃料が続くか分からない。


俺は耐久戦で終わらせたくない。

戦って勝ちたい。

「食らいやがれ」

俺の剣はギアレドラゴンの上半身に命中した。

剣の周囲の機械は粉々に粉砕され、ヒビはギアレドラゴンの上半身と下半身に広がった。

そして。

「ほう。。。」

ギアレドラゴンの上半身は分断され宙に浮かんだ。


大砲も回転も無効化した。完全勝利だ。


この光景を男は監視カメラ越しに見ていた。

「ふん。。。まだだ」


こいつ、まさか!

吹っ飛んだ上半身の中から大きな光が発生した。

青白く、眩い光は膨張していた。


この光! この展開! この田中!!!


これは爆弾だ。それも爆破寸前で残り僅かって状態。

落下した直前。。。いや、その前にも爆発しそうだ。


もう間に合わない。


「ここまで来て、そりゃないって」


「いいやまだだ」


空にはたかしがいた。

「大砲が無くなって、やっと殴れるぜ」

たかしの体からオーラが出ている。たかしは超集中を使い、必中状態になっていた。


たかしは拳に力を乗せ、ギアレドラゴンを高速で叩いた。

「遥か向こうまで行ってもらうぜ!」

殴るたび、たかしのTPが溜まっていく。


そして。。。


「乱打双拳」

たかしはギアレドラゴンに強力な10発をぶつけた。


たかしの拳はギアレドラゴンを空高く勢い良く吹っ飛ばした。


上空まで吹っ飛んだギアレドラゴンは見えなくなった。

あいつの拳やっぱすげぇな。


瞬間、ギアレドラゴンは爆発した。


あんなに小さくなって位置が分からなかったのに爆発した途端、はっきり位置が分かった。


あれ食らったら、俺らどころか田中も死んでたろ。


レベルが上った。

俺は31に上がった。 たかしは30に上がった。 カナは30に上がった。

_____


扉の奥から足音が聞こえてきた。


扉がゆっくりと開く。


「私が田中だ」




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