road of 田中
穴から落ちると知らない所に着いた。
どうやらここが管理場のようだ。
大きな機械が動いている。機械についた歯車は回り、蒸気を蒸している。
何を管理しているんだ。
「うーん、どこに田中がいるんだ」
たかしは辺りを探る。
混み合った機械以外に誰の姿も見えない。
この管理場には誰もいない。
「田中いないじゃん」
俺もよくよく探したがやっぱり見当たらない。
かわりに手掛かりが見つかった。
「か・ん・り・じょ・お?」
看板があった。そこにはこう書かれていた。
《管理場まであと50km頑張れ》
田中め。。。
ワームホールくらい管理場に直で繋げよ!
_____
未来シティの施設。
係員たちが話していた。
「てか、何で田中さんに関わっちゃいけないんですか」
「お前、知らなかったっけ?てか管理場行ったことないのか」
隣にいた係員が説明した。
「あの人が管理場に行くとき、それは接近を許さないという意味だ」
「普通、ワームホールは管理場まで直で行けるが、あの人が入った時だけは遠くに設定される」
「それってなぜ」
「試しているんだよ、元騎士団長だからか知らないけどあの人は弱い人とは関わらないんだ」
「自分の認めた人だけが関わる資格を得られる、そんな性格だから騎士団を追放された」
「まったくもってアホらしいぜ」
「本当にそう思います、ご都合主義というか自分勝手というか」
「てかそれでよくこの会社、首になりませんでしたよね」
「そりゃ、この未来シティは田中さんが作った街だからな首に出来ねぇだろ」
「え、そんなにすごい人なんですか」
「会いたいなら行ってもいいぜ、モンスターがいる道を進むようだが」
「いえ、結構です」
_____
看板には続きがあった。
《モンスターを用意した》
《私は君らを歓迎しない》
《まずはここを越えてみろ》
看板の先には大きな道路が続いている。道路を除いて辺りは殺風景で荒野が広がっている。
ここを越えろって?しかも50kmも?
歩いて。。。?
。。。あっ。
「いやー遠いな」
「一日じゃ着きそうにないわね」
「皆閃いたぞ!!」
「え、何を」
「この道を行かない方法だよ」
「どうやんだよ」
「簡単さ」
俺は指をピンと立てた。
「船さ、船で移動すんだよ」
さすが俺、ナイスアイディア!!
____
「はぁーーー!!」
島には街しかなかった。
荒野なんてどこにも無い、一体どこにあんだよあの管理場。
。。。。。
機械の中には監視カメラがあった。
トンコロコロの会話は監視カメラに入った。
コンピューターをいじっている男の耳に監視カメラの会話が入る。
「ふん。。。船で見つかるわけなかろうが鼻垂れ」
「この管理場は西の大陸の最果てにある」
「どのみち船から行ってもここまで200kmはかかるが。。。」
「甘えるな小童が鼻垂れが。。。ふん」
。。。。。
はぁ。。。
ため息がでる。ここは管理場まで50kmの場所。
俺達はここを進むのか。
足は重いが、仕方ない。
俺達は道路を進む。
緑の結晶があった。
これ、道路に何個か置いてあるよな。
緑の結晶に手をかざした。
体が持ち上がるように軽くなり、フワっとする。
メッセージが下から飛んできた。
「回復しました」
「セーブしますか」
俺はセーブを選択した。
白い光が空間を包む。軽快な音楽が流れる。
メッセージが下から飛んできた。
「ゴーストが出現」
ゴーストか。。。さて物理は効くのか。
俺はゴーストに飛びかかり剣で斬りつけた。
220ダメージ与えた。
あっ、普通に効くんだ。
ゴーストはふわふわと浮かび、距離を詰めた。
たかしの攻撃をひらりと躱し、たかしに噛みついた。
「いたっ」
350ダメージ受けた。
こいつ、弱いぞ。
俺達は強くなりすぎたのかもしれない。
「ファイア」
カナはファイアを唱えた。放たれた炎はゴーストに当たる。
900ダメージ与えた。
ゴーストの動きが遅くなる。俺はすかさず攻撃を入れた。
245ダメージ与えた。
たかしはゴーストに飛び出し三回攻撃を繰り出した。
2400ダメージ与えた。
ゴーストは消滅した。
レベルが上った。
たかしは25に上がった。カナは26に上がった。
___
白い光が空間を包む。軽快な音楽が流れる。
メッセージが下から飛んできた。
「ゴブリンが出現」
巨大なコブリンは大きな棍棒を持って現れた。
ゴブリンは棍棒で全員を薙ぎ払う。
「危ないわね」
カナは飛び上がって回避した。
俺とたかしは直撃した。
1200ダメージ受けた。
「あのゴブリンめ」
俺は戦闘画面を開き五回攻撃を選択する。俺はゴブリンに攻撃を放った。
たかしも合わせて三回攻撃を放った。
ゴブリンは棍棒で弾き返そうとする。
「アイス」
冷気を纏った青い球がゴブリンの腕に命中した。
1100ダメージ与えた。
「!!」
ゴブリンの腕が凍る。
俺とたかしの攻撃が命中した。
2600、2500ダメージを与えた。
ゴブリンは消滅した。
____
現在27km地点。
たかし:レベル28
カナ:レベル28
俺:レベル29
汗がびっちょりだ。走ったり、戦ったり、歩いたり、休憩したり。
だいぶかかったな。
今日はもう勘弁だ。
早く寝たい。
「ねぇ見て、あれ」
道路の端に建物があった。
良かった、あそこで休憩ができる。
もう陽も暮れている。
休憩できる場所が欲しかった所だ。
緑の結晶も見えた。
体力もドロップアイテムで食いつないできたが限界がきている。
見た感じ、あれは旅館だ。
___!!!
つまり温泉があるってことか?
この汗でびっしょりな体を洗い流せるのか?
「俺は行くオアシスに!!!」
俺は駆け出した。そうあの旅館に。
____
旅館には誰もいない。
だが電気も温泉も機能している。
「俺はこの部屋な」
「ずりぃぞ二階なんて!!!ここはじゃんけんだ」
二階には大きな部屋が一つある。
屋上が見れて眺めもいい。殺風景だが。
部屋は広く、一部屋に三人入ることは容易である。
しかし、実質貸切状態の旅館でわざわざ三人同じ部屋にいる必要はない。
白い光が空間を包む。軽快な音楽が流れる。
メッセージが下から飛んできた。
「たかしが出現」
これは心理戦だ。
たかしの事だグーを出すんだろう。。。と見せかけて、チョキを出すつもりだ。
たかしは拳を構えている。
俺には分かるぞ蛇め!深層心理を読み取って勝とうとしているのが。
だが甘い!!お前がチョキを出すことなんて。。。!!
電流が走る。
俺の額に汗が流れた。
そうか、こいつ!!これを待っていたのか。
たかしの額にも汗が流れた。
蛇が。。。本当に危なかった。
こいつ、チョキを出すと予想することまで予想していたんだ。
こいつの出す手はパーだ、クククッ蛇め!! 俺の勝ちだ。。。
一方たかしは。
やべぇ分かんねぇ。なに出せば勝てるんだ?
たかしの額に汗が流れた。
そうだ、こいつ前に言ってたぞ。
最も勝ちやすい手。。。それはパーだって。
ククク、自分で自分の首を絞めたなトンコロコロ!!
俺は負けねぇぞ。やつの手はパーだ。
時間にして2秒。
二人の手は確定した。
そして。
じゃんけんの火蓋が切られる。
「最初はグー」
勢いが強い、グーにみせたブラフだ。
「じゃんけん。。。」
さぁ来い!!
「ぽん!!!」
二人の手は相打ちだった。
___?
視界には三つの手がある。
三つ目の手はグーを出している。
たかしと俺は負けた。一体誰に?
顔を上げるとカナがいた。
「はい、私の勝ち」「二人とも出てってね」
「「は?」」
____
はぁ~。。。
二階はカナに取られ、俺とたかしは一階の部屋になった。
風呂めんどくせぇな。。。
ふて寝しよ。
____
。。。今何時だ?
俺は暗い時間に目が覚めた。
扇風機の音と時計の音が聞こえる。
時計を見ると針は12時を指していた。
「風呂入ろ。。。」
俺は眠い目を擦って、旅館の温泉に向かった。
俺はロッカーに服を入れ、温泉の扉を開けた。
「ふぁ〜眠っ」
___?
湯気の中に人影があった。
「敵か?」
俺はセレクト画面を開き、構えた。
いや、光が出てないんだ敵ではないか。
湯気が薄くなる。
人影の姿がはっきり見えた。
「あっカナか」
「。。。え?」
カナは俺と目が合った瞬間固まった。
数秒の沈黙が続く。
「あんた。。。見たわね」
その瞬間俺の頭は一瞬で理解した。
しまった、ここは女湯だ。寝ぼけて入ってしまった。
やばい。。。なにか弁明しないと。
「いや。。。まだ湯気で見えてな」
「じゃあ見てんじゃねぇかよ」
カナは俺に向けて手を伸ばした。手から黄色いエネルギーが収束する。
やばいスパークだ!
「すいませんでしたー」
俺は一目散に逃げた。カナはスパークを俺に放った。
1500ダメージ受けた。
____
旅館に朝がやってきた。
「おい二人とも、昨日なんかあったのか」
「別に」
ちゃんと弁明。。。いや余計ややこしくなるか。
再び長い道路を進む。
本当にすいません。