第74話 獣人の牧師たちの子供、グズリーへの対応がな……
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獣人とは何かと上下関係を作りたがる傾向がある。
グズりーは同年代と言う事もあり、どちらが上かを決めたいのじゃろう。
しかし、ワシにしてみればいい迷惑以外の何物でもなく、何かと突っかかってくるぐずりーには手を焼いておった。
「おい! またアイテムを作れるのを自慢か?」
「自慢ではなく、アイテムを作って納品せねば、仕事が回らんだけじゃわい」
「その年で店を持ってるとか嘘だろ!」
「なら、実際どんな店を持ってるのか見てきたらどうじゃ? 実際にその目で見たほうが早いじゃろう?」
「そう行ってマウント取ろうとするんだろ! すげーお前嫌な奴!」
「何を言っても文句だらけ、お主何がしたいんじゃ? 暇か?」
「うるせぇ!」
「煩いのは貴方よ」
そう言ってガーネットがグズリーの頭にゲンコツを落とした。
全くもって……グズりーは何がしたいんじゃ……。面倒じゃわい。
とはいえ、グズりーはそれでも納得いかんようで、更に口を開こうとしたその時――。
「いい加減に、為さいませ?」
「ぐっ」
「マリアン」
ワシには文句が言えるのに、グズりーはマリアンには言いにくいらしい。
多分、強さ的にマリアンの方が上だと感じておるんじゃろうな。
「これ以上ハヤト様に迷惑を掛けるなら……」
「わ、分かったよ……」
「自分の家にでも帰られたら如何?」
「でも」
「それと、ハヤト様と貴方を同列に語る等、やめて頂きたいですわ」
お、おう。マリアン怒っておるな?
決して笑っていない目で彼を見る目は冷たく、マリアンの怒りの重さを感じるのう。
「何も学習しない貴方に、ハヤト様の大変さは分かりませんわ」
「何も……学習してないわけじゃ」
「では、先程のハヤト様への態度は何なのかしら?」
「……」
「分かったら、無駄口を叩いてないで、ご家族の手伝いでもしてきたら如何?」
つまり、ここから去れ。――と言うことじゃな。
ここまで露骨に言われて、グズりーは渋々去っていたわい。
「全く、何も学習しない子供ですわね」
「同年代のハヤトが、優秀に見えて、いじけてるんじゃなかしら?」
「同年代と思われるのも癪じゃが、まぁ見た目年齢が同列じゃと思うことはあるんじゃろうなぁ」
今まで箱庭に来ていた同年代は、ワシの箱庭で守られて生活できると理解しておるためこういう事は無かったが、そういうのがない場合は、グズリーのようになるんじゃろうな……。
困ったものじゃ。
「だからといって、マウントの取り合いと思ってる程度では、あの子の底は知れてるわね」
「全くですわ」
「まぁ……彼も大人になれば見方がが変わってくるじゃろう」
「大人になるのに、後何年掛かるかしら……」
「実際自分で稼ぎ始めたらかしら?」
「その前に、あの年齢なら保育園にいれるか、学校に入れてほしいのう」
「牧師様達に伝えてきますわ」
「すまんの」
いちいち突っかかってくるくらいなら、大人しく隔離させたほうがええじゃろう。
そうでなければ、マリアンの怒りが何時爆発するかもわからんからな。
骨を粉砕する一撃を喰らえば、大人しくはなりそうじゃが……。
子供相手にそれは酷じゃしな。
「でも、一度マリアン様に殴られたほうが良いと思うわ」
「そんな事をしたら骨が粉砕するぞ」
「それくらいの無礼を行ってると思わ」
「子どもの嫉妬じゃ。面倒じゃが、園や学校に入れば多少落ち着こう」
今はワシにだけに攻撃が来ておるが、同年代の中に入れば、もまれて来よう。
世界が狭い奴には丁度ええじゃろうな。
「しかし、ハヤトちゃんも気が長いわよねぇ。朝から……もうお昼すぎよ?」
「そこまで相手しとったかの?」
「してたわよ。流石のマリアン様もブチギレ寸前だわ」
「それは悪いことをした……。彼の話は右から左じゃったからな」
「相手にもしてないってわけね」
「そうじゃな」
「まぁ、老成してたらそうなるわよねぇ……」
「ははは、〝子どもの抜け殻〟を見るのは好きじゃが、子どもの喚き声は聞くに耐えんでな」
「納得」
ガーネットはワシの言葉に頷いておったが、暫くするとマリアンが帰ってきた。
どうやら話をつけてきたらしい。
そのうえで、学校にぶち込んでくる事が決定し、ホッと安堵したんじゃ。
「流石に学校に入れば、嫌と言うほど、荒波にも、もまれるじゃろう」
「反対に、獣人差別だって言い始めないか不安ではあるわ」
「その時はまたご両親に登場してもらいます。私、差別するような先生は選んでませんもの」
「マリアンの目利きにかなった人なら、そうじゃなろうな」
授業内容は本人のレベルに合わせて行う、前世でよくCMしておった教室をイメージして作ってある。
本人のレベルに合わせた勉強法をしなければ、理解力があがることはないからのう。それに勉強が嫌いになったら元も子もない。
「しっかり勉強して、生きていくためにはどれだけの知識が必要で、どれだけの礼儀が必要化を学べれば、最高じゃがな」
「礼儀があの子には特に必要じゃないかしら?」
「それは思いますわ。ハヤト様の事を馬鹿にしすぎです!」
「むう……。まぁ、確かにのう……。今更言うても仕方なかろうて。明日には獣人王とエルフ王がお越しになる。マニキュアを普及させたお礼……じゃったかの? 堅苦しいのは直ぐ終わらせて、出来れば早めに帰ってほしいのう」
「難しいと思うわよ?」
「希望だけは持っておいて損はないと思いますが……」
「はぁ……」
取り敢えず明日はお二人が来る日じゃ。
何事もないとええがの。
昼くらいは出すが――と思っておったら、それが更に商売への架け橋となろうとは、すっかり忘れておったのじゃった。




