第61話 新たな仲間と、新たなマニキュア取得の為に動く者たちと!
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「テト! あなた今までどこに消えているかと思えば! 心配するじゃないの!」
「お姉ちゃんごめんなさい~~!」
「もう、本当に心配したのよ? あたくしがどれだけ心を痛めたかわかる?」
「だってぇ……」
うん、すっかり素で喋ってくれておるな!
このまま声を掛けるとするか!
「ダルメキアンと、他の者達もよく来てくれた。ワシが箱庭の主、ハヤトじゃ」
「ハヤト様の婚約者のマリアンですわ」
「失礼致しました。私はテトの兄であるダルメキアンと申します」
「いやいや、先程の素のままで結構。ワシの箱庭ではダルメキアンのような乙女は他にいるでな」
「⁉」
「素のままで、ええのじゃよ。それが許される場でありたいと思っておるからの」
微笑んで口にすると、ダルメキアンはボロボロと涙を零し、他の三人もボロボロと泣き始めた。
一体何が起きたんじゃ⁉
「じゃ、じゃあボク達……素でいられるんだね⁉」
「あたいも……」
「素敵だわ……」
ん、何やらダルメキアンだけがそっち系かと思いきや、連れてきた三人もどうやら違ったらしい。
確かに生まれ持った体と心の性別が違う……と言うのは、辛いことじゃと聞くからのう。その辛さが箱庭ではない事を祈りたい。
「ははは! これは驚いたわい。ダルメキアンだけが有名かと思いきや」
「いいえ、本当はボク達もなんです……」
「ただ、ダルメキアン様が……わたくしが表立ってバラすから隠れ蓑になるだろうって」
「そうじゃったのか」
「こら、貴方がたはそんな事気にしなくていいのよ?」
「でも、あたい達……ダルメキアン様のおかげでずっと……」
「安心していいのよね? ハヤト様。ここではあたくし達、素のままでいいのよね?」
「うむ、露出さえ考えてくれれば、好きな格好でいてもらって構わん。全ては〝裁縫師〟のマリー、リリー、エリーと言う者たちに言えば、色々手を尽くしてくれるはずじゃ」
「「「「ありがとうございます‼」」」」
深々とそれぞれの、心の性別に合わせた挨拶をしてくれたことにホッと安堵し、笑顔で「うむ!」と告げると、まずは住む場所に案内した。
そこでまずは各自好きに今後は住んでもらい、売店では色々この箱庭で生活するのに必要なアイテムが買えることなども伝え、最後にマリアンが今までテトたちと一緒に仕事をしておった、書類や売上等の仕事場……ログハウスへと連れて行くと――。
「ここが、これから四人が働く場所じゃ。何かあれば即連絡を。報連相を忘れずにの」
「わかりましたわ」
「それから、ワシとマリアンは、羽織をつけておるから見つかりやすいはずじゃ」
「そうですわね。ハヤト様はそれに頭にも布を付けていらっしゃるし。マリアン様もわかりやすいと思いますわ」
「それは……筋肉的な意味で……でしょうか?」
「あら、あたくしたち、人を見た目で判断なんてしませんわよ?」
「ええ、あたい達がそれは嫌ほどしっているもの」
「そうでしたわね……。軽率な発言でしたわ」
「ふふ、素直な素敵な将来のお嫁さんですね!」
「自慢の将来の伴侶じゃ!」
笑顔で告げると、四人は嬉しげに微笑んでおった。
次に、裁縫師たちの作業場へと連れて行くと、見事な浴衣姿のエリーリリーマリー達がいて、ダルメキアン達は呆然としながらも――この面々……といえばいいのか? 何かを受信したかのような顔になり――。
「もしや、あなた方もアタシたちと同じ苦労をしてきた同志じゃないの?」
「ええ、ええ! そうなのです! あたくし達も、そっち側なの!」
「やはり! わかりましてよ! なんか、ビビッときましたわ!」
「ささ、衣装のご希望は? 子供が多いから露出が多いのは駄目だけれど」
「そうねそうね」
と、盛り上がり始めた。
そこで「後は任せるから今日はゆっくり楽しく過ごして欲しい」と告げると、ダルメキアンは「素晴らしい職場ですわね! そうさせて貰いますわ!」といい笑顔で返事を返し、ワシとマリアンは微笑み合いつつ場を去った。
「この分じゃと、ダルメキアンたちも無事に箱庭で生活できそうじゃな」
「ええ、その通りですわね」
「それは私が保証しますよ。だって箱庭の方々って、エルフと獣人を普通に受け入れる、心根の深い方ばかりですから」
「そうじゃな、冒険者の者たちも、物怖じせず、そして傲らず、素晴らしい者たちが多い」
「そうですわね。食料が足りてるのか不安なのでしょうけど、何かと美味しそうなお肉を差し入れてくれますものね」
「一応ワシは稼いでおるじゃがのう」
「それとこれとは別ですわ?」
「そういうものか」
なんとなく腑に落ちるような、落ちないような。
でも、皆に心配されつつも、年下の弟のように扱われても、そこに【愛情】を感じるのじゃから、それで良いのじゃと思う。
「ワシの受けただけの愛情も感謝も、皆に平等に訪れればええんじゃがの」
「まぁ……! ふふ、ハヤト様らしい考えですわね」
「そうかの?」
「ええ! さて、これからどうしましょうか?」
『それでしたら、エルフ王国及び、獣人王国から絵師の募集が終わり、各10名ずつの精鋭部隊が送られてくる……と言う情報を得ましたわよ』
「各10名……つまり20人か」
「エリーマリーリリーたちだけでは足りませんわね」
「そうじゃの、ワシのところでもプラスで10人じゃ。一人につきその人数を回すのは大変じゃろうな……」
ワシとマリアンが悩んでおると――。
「それなら、私とミアがマネキュア教えられますよ」
「そうなのか?」
「はい! コッソリとリリーさん達に教えてもらってたので」
「なるほど。あなた達、最近あまり近くで見ないと思っていたら」
「でも、助かりますよね?」
「もう……シッカリとミアとテトはマニキュアを教える部門で頑張って下さいね?」
「エルフの事はエルフが間に入りますし、獣人の事はこの私、テトが間に入ります! それで円滑に動くはずです!」
「そうか! では、頼んだぞ!」
「おまかせ下さいませ~!」
どうやら、エルフの事はエルフが。獣人の事は獣人が間に入ることで、円滑に行きそうじゃ。
ホッと安堵しながらも、明日からその面々は送られてくるそうで、ワシはその後、追加でマニキュアを作り、翌日に備えるのじゃった。
大量の面々がやってくるが、果たしてどうなるのか……今から少し不安じゃの。
そして、その不安は的中するのじゃ。
なぜなら――。




