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老成転生~少年ボディで箱庭スローライフ~  作者: うどん五段
第二章 マニキュアや他の商売も軌道に乗るんじゃがの?
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第57話 温泉は冒険者だけにとどまらず、じゃな!

ブックマーク、評価、感想、誤字脱字報告ありがとうございます。

 箱庭で起きた問題。

 それは――マリリンのところから来ている冒険者との問題じゃ。

 というのも……。


「ハヤト様! 私達も〝温泉〟なるものに入りたいです!」

「冒険者さんばかりずるいです!」

「体力が回復すると聞きました!」

「私達従業員も入りたいです!」

「出来れば子供も一緒に!」



 と、言う『温泉騒動』になっておった。

 確かに冒険者の皆さんが入るのに、従業員が入らないと言うのはのう。

 しかし、温泉は広いとはいえ、全員が入るだけの広さはない。



「順番と時間を守って入るのなら問題はないが……。冒険者が押し寄せてくるまでに仕事が終わりそうかの?」

「「「「「はい!」」」」」

「それなら、時間を決めて風呂に入るとええ。この箱庭の売店では、ボディーソープや桶等、温泉に必要なものなら安値で売っておるぞ」

「「「「ありがとうございます‼」」」」



 そもそも、朝早くから来てもらい仕事をしてもらっておるんじゃ。

 家に帰れば洗濯だ何だと忙しいのかもしれん。

 生活魔法が使えたとしても、洗濯とは結構な重労働じゃろうしなぁ。



「できればですが」

「ん?」

「ハヤト様の一般の店で売っている、洋服用洗剤も……」

「売ってくださると助かります……買いに行く時、売り切れてて」

「それも含めて売店で買うとええぞ。箱庭の皆には店で買うより安値で売っておるから脳」

「「「わぁ!」」」

「仕事時間は朝8時から夕方4時までじゃし、その後子供たちを迎えに行って温泉に入って帰るとええぞ」

「ありがとうございます!」

「銭湯には入ってるんですけど、温泉はやはり魅力的で……」

「ははは! その気持は分かるのう!」

「ありがとうございます‼」



 と、言うことで【温泉問題】は一応解決した。

 冒険者もこれで煽ったりなどはせんじゃろう。

 ましてや、文句を言うくらいなら入らせんつもりじゃしの。


 温泉は皆で楽しく、ゆっくり入るものじゃ。



「温泉問題に関しては、ひとつ問題がありまして」

「ん? マリアンどうした?」

「ええ、それが……マリーリリーエリーさんたちなんですが……」

「あーー……」

「皆さんがお風呂が終わってから、泣く泣く男性風呂に入ってるそうなんですが」

「それは……由々しき問題じゃのう」



 かといって、温泉もじゃがこれ以上広げるのは無理じゃ。

 しかし、あのオネェ方が男性風呂に入るのは辛かろう。



「マリアン、あの三人には、女性陣の風呂が終わってからなら女性風呂を使って良いと伝えてきてくれんか?」

「かしこまりました」

「すまんな、配慮がそれくらいしかできんことを悔やんでおるよ」

「いえ、それだけでも随分違うと思いますわ」

「いっそ、三人が入ってるのが分かるプレートでも作っておくか」

「まぁ、どんなプレートを作りますの?」

「リボンをモチーフにした、三人の名前の掘ってある掛け看板でも入口にかければ問題ないじゃろう? 今も男湯、女湯と掛け看板をしてある訳じゃし、そこにの」

「なるほどですわ!」



 早速木製ではあったが、可愛らしいリボンをあしらった横向きの彼女たちの名の掘られた看板を作ると、マリアンに事情の説明と看板を手渡して欲しいと伝えて作業に戻る。

 今日は風呂に関することばかりじゃな。

 そんな事を思いつつ仕事をしておると、野太い雄たけびが響きわたり、砂煙を上げながら、スカートの裾を捲し上げ走ってくるオネェ軍団が!



「ハヤトちゃああああああん!」

「いや――ん! もうありがとう~~‼」

「素敵な配慮ありがとねぇ~~‼」

「御三方、これで安心できますかな?」



 ワシの前で急ブレーキをかけた三人は、目をキラキラさせつつ看板をワシに見せてきた。



「私達、こんなんでしょう?」

「だから、女湯に入るのは駄目なんことなんだって思ってきたの……」

「でも、ハヤトちゃんはアタシたちを女性としてみてくれるって分かって……感動したの!」

「デリケートな問題じゃからな。そうそう口には出せることではないが、御三方の事はワシは女性と思って接しておるよ」

「「「ハヤトちゃん……っ」」」

「体は男に生まれても、心は女性である……というのは、中々にこの世界では生きづらかったじゃろう。是非、箱庭では堂々と、自分たちは女性なのじゃと胸を張って欲しいと思いましてな」

「「「……あ、ありがどう……」」」



 ボロボロと涙を零してお礼を言う御三方。

 余程外では辛い思いもしたのじゃろう。

 それは否応無しに伝わるものがあった……。

 じゃからこそ、箱庭ではそのような差別もなしに、堂々と女性じゃと胸を張って生活して欲しいと思う。

 それも、ひとつの個性じゃと。

 恥ずかしがることのないものなのじゃとワシは思うからの。



「ワシとしては、気づくのが遅くなって申し訳ない気持ちでいっぱいじゃ。女風呂に入ってるものじゃと思っておったのでな。マリアンが教えてくれなかったら、もっと悲しい思いをさせたままじゃったかもしれん。お礼はマリアンに言ってやってくれんかの」

「マリアンちゃんにもお礼を言うわ!」

「ドレスも作りましょう!」

「そうね、最近発育が良くなってきたし!」

「色々なデザインも試してもらいたいわ!」

「嗚呼、恋する乙女と隣に立つハヤトちゃん……。デート用の洋服を作ってあげましょう!」

「お礼と一緒にね!」

「そうと決まれば帰るわよ!」

「ハヤトちゃんありがとう! 何度もお礼言っちゃうけど、ありがとう!」

「ははは! 美しいマリアンを見れるのを楽しみにしておるよ」

「「「ガッテン‼」」」



 そう言うと御三方は去っていった。

 まさに砂埃を立てつつ嵐のように……。

 さて、温泉問題はこれで本当に一区切りかの?


 そう言えば、もうエルフ王国と獣人王国に到着しておるはずなのに、未だに連絡がないのう……。

 一体どうなっておるんじゃろうな。

 そう思い、池の前で仕事をしていたのもあり、宝石をふたつほど池に投げ込み様子を見てみることにしたのじゃが――。

 

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