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老成転生~少年ボディで箱庭スローライフ~  作者: うどん五段
第二章 マニキュアや他の商売も軌道に乗るんじゃがの?
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第52話 軌道に乗った商売の傍らでおきる、新たな問題

ブックマーク、評価、感想、誤字脱字報告ありがとうございます。

 それからのワシの快進撃は凄まじいものがあったじゃろう。

 まず、かき氷屋を試験的にやって見るべく、屋台を作った。

 働き手は、なんと直ぐに集まった。

 というのも、暇を持て余しておった老人達が「それくらいなら出来ますよ」と言ってくれたのである。

 その為、試験的にワシの店の近くにて屋台を置き、かき氷屋を始めた。

 

 最初こそ「氷を食べる?」等と不思議がられていたが、実際食べてもらうと案外好評だったようで、特に冒険帰りの冒険者達が体を冷やすためにかき氷屋を利用することが増えた。

 

 次に増えたのは、風呂帰りの住民や冒険者たちじゃ。

 風呂上がりに食べる冷たい甘味として広く知れ渡るのに、そう時間はかからず、屋台をもっと増やしてほしいと言う要望まで貰ったのじゃ。

 ありがたい話じゃのう。

 その為、かき氷屋を銭湯近くに派遣することにして様子を見た所、爆発的に人気がでたんじゃ。

 これには〝氷の箱庭〟を持つファリンは驚きを隠せないでいた。

 


「ワシの予想では、これがムギーラ王国にとっての、当たり前の日常になっていくんじゃろうなと思っておるよ」

「こ、これが当たり前の日常……ですか?」

「ファリンの氷の箱庭がなければ、作られなかった……ファリンがいるからこその、この国の日常になっていくじゃろうな」

「私がいるからこその……日常」

「ははは! 互いに長生きしようではないか!」

「――はい!」



 〝お前の心も氷のように冷たい〟と、婚約者に捨てられたと以前語っておったファリンが、今では火照る体を労り冷やす為の、健康のための守りとなっておる。

 ファリンを捨てたと言う婚約者は、今頃焦っておるじゃろうな。

 このような使い道を考えることも出来じゃったじゃろう。



「ファリンは、婚約者からよりを戻そうと言われたらどうする?」

「戻しません。対して好きでもなかった相手ですし、価値を見いだせません」

「ははは! 手厳しいのう!」

「そもそも、ハヤト様とマリアン様のような間柄の相手を探しているのです。確かに理想は高いですが、お互いを必要としあい、支え合っていく男性でないと」

「そうかそうか。良い出会いがあるとええのう」

「はい!」

「ハヤト様、かき氷に使うマンゴーを沢山持ってきたぜ」

「おお、ジャガルーすまんな。助かるぞい」

「ジャガルーの貴重な亜熱帯のマンゴー……人気が高いから助かるわ」

「そうか。味の良いやつを選んであるからシッカリ作ってもらって、かき氷もっと人気になるといいな」

「ええ!」



 存外、近くにいい相手と言うのはいるのかもしれんな。

 ファリンとジャがルーの会話を聞きつつワシは次なる仕事に向かうべく、二人に挨拶をしてからその場を去った。


 そう、問題が起きたのじゃ。

 なんと、ワシの義母でもあり、マリアンの母親でもあるマリリンは、丼物が大好物じゃった。

 特大土鍋で炊いたご飯すら食べ尽くし、丼物を書き込む姿は圧巻じゃった。

 その為、米は〝レディー・マッスル〟にも卸す事になり、丼物のレシピも手渡した。

 すると、マリリンから「レディー・マッスルと共同で丼物屋をしないか」と提案されたのじゃ。


 マリリンの持つ酒場で提供も視野に入れ、丼物と、カレーを提供することは決まっておる。

 カレーに関しては、ワシが〝ロストテクノロジー〟で「ルウ」を作れた為、特に問題はなかった。

 この伝説の箱庭にはないものがない……と言わんばかりで、必要なものは一揃え整っておる。ゆえに、色々出来ているのじゃが、元の持ち主であるリディアのおかげともいえよう。

 悲惨な最後を迎えたリディアじゃが、箱庭への情熱はとても強かったのじゃとナースリスから聞いておる。

 

 しかし、何故リディアの子や孫に箱庭を譲らなかったのかと聞くと、言葉を濁しておった。なにか言うに言えぬ問題があったのじゃろう。


 

「さて、次は……」

「ハヤト様! 大変ですわ!」

「マリアン!」



 次の仕事に取り掛かろうとしたところ、マリアンが血相を変えて砂埃を立てつつ走ってきた。どうやら何か問題が起きたようじゃ。



「それが……以前エルフ王国の王が代替わりしたのは知っておりますでしょう⁉」

「あ、ああ」

「それで、ハヤト様にも迷惑をかけたと……新しいエルフの王が謝罪に来るのだそうです!」

「いらんいらん。ワシはそういう公の場は嫌いじゃ」

「とは言っても、一国の王からの謝罪の場……。断ることは出来ませんわ」

「むう……。ワシはマリアンの事を謝罪してくれればそれでええ」

「ハヤト様……。嗚呼、そう言っていただけると嬉しいんですが……更に問題がありますの」



 頬を一瞬染めたマリアンじゃったが、ハッとした様子で更に言葉を詰めてきた。


 

「獣人族の王までもが謝罪に訪れるとのことで……。ムギーラ王国は現在、蜂の巣を突いたかのように大慌てですわ」

「それじゃと、何が問題があるのか?」

「ええ、獣人族はとても好戦的な国柄。冒険者たちもピリピリしていて……」

「ふむ」

「ムギーラ王国に獣人族の国王が来るのは初めてのこと。何事もなければよいのですが……」

「ふむ……困ったのう。ワシに出来ることは限られておるような気がするが?」

「兎に角、父が言うには絶対に謝罪の場に来るようにとのことで」



 それならば仕方ない……。

 取り敢えず、出来ることはしてみるが……やれやれ、面倒なことになったのう。


 

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