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老成転生~少年ボディで箱庭スローライフ~  作者: うどん五段
第一章 伝説の箱庭師の箱庭を受け継ぐ

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第44話 薄手のデニム生地の羽織と、箱庭での働き方改革が不思議なようじゃ

ブックマーク、評価、感想、誤字脱字報告ありがとうございます。

 薄手のデニム生地ならば【ロストテクノロジー】で作成可能じゃ。

 着物風の羽織の後ろにワシの名の一部を入れ込めば、唯一無二の羽織になるじゃろう。

 それに、マリアンは筋肉質な身体を気にしておる。

 羽織を羽織れば、腕の筋肉などは隠せる筈じゃ。

 プロレスラーの登場シーンよろしく、マントを羽織るよりは余程ええじゃろう。

 作るのはワシとマリアンの分じゃ。

 

 そんな事を考えつつ、ワシは薄手のデニム生地で白の色合いに丸で囲んだハヤトの【ハ】が着いた羽織を各自2枚ずつ作った。

 これで問題はないじゃろう。

 【箱庭で困ったことがあれば、この羽織を羽織っているワシかマリアンに話をせよ】と言う目印にもなるしのう。

 


「こんな所かの。後はマリアンが帰宅したら手渡そう」

「素晴らしい生地ですね!」

「丈夫そうです!」

「デニム生地と言って、中々に丈夫な生地じゃ。後ろのマークはワシの名から取っておる」

「「うわぁ~!」」

「マリアン様喜ばれますね!」

「お揃いのコーディネート! 流石です!」



 そう会話がなされる中、暫くするとマリアンが帰宅してきた。

 なんでも、商業ギルドを介すた為、マージンはとられるがそっちの方が安全だった為、安全を考慮してそっちを選んだそうじゃ。

 確かに外で販売を行うアスカレイ達に何かあっては大変じゃ。

 マリアンの決めたことに異論はなかった。



「それから、マリアン」

「はい?」

「この羽織をワシとお揃いで作ったんじゃ。マントではないが、此れでも良いじゃろうか?」



 そう言ってデニム生地の羽織を手渡すと、マリアンは驚いた様子ではあったが、初めて触る柔らかいデニム生地に驚きつつ、ワシはそんなマリアンの前で羽織を着る。



「どうじゃ? ワシのは子供用じゃから小さいが、ちゃんと背にはワシの名前の一部が書いてあるぞ」

「まぁ! 素晴らしいですわ! では私も早速!」



 こうして2人お揃いの羽織を羽織ると、マリアンは「マントよりもずっといいです!」 と感動してくれてホッとした。

 

 

「ワシの故郷で使われていた羽織でな。どうしても着心地が良くて好きじゃったんじゃ」

「そうでしたの……でも分かりますわ。なんとも言えないこの着心地……最高ですわ」

「そう言ってくれると助かるのう」

「まさに、ハヤト様とマリアン様のお揃いの装備ですね!」

「箱庭での生活に身が引き締まります!」

「ははは! 大げさじゃな」



 そうワシが笑っておると、ミアとテトは首を横に振りこう口にした。



「いいえ、身が引き締まった方がいいのです」

「この箱庭は天国過ぎて、少しくらい締め付けがあってもいいくらいです」

「そもそも、仕事も絶対しないといけないという訳でもありません」

「具合が悪い時は休んでいいなんて……」

「馬鹿もん。具合が悪い時は休むもんじゃ」



 これは異世界とワシの感覚がズレておるのじゃろうか?

 そう思いつつもワシは頭に巻いた手ぬぐいを結び直しつつ言葉を紡いだ。



「労働には労働に見合った報酬も必要。じゃが、その為には働き手がしっかりと体の調子が悪い時は休み、週2回の休みを満喫するのが大事なんじゃ」

「それこそがヌルイといっているのです!」

「普通の働き手たちならば、週に2回も休むなんてありませんですわ!」

「この世界の普通を、ワシに押し付けるな」



 そう言えば、ミアとテトは目を見開いて驚いておった。

 ワシは、このやり方を変えるつもりはない、という明確な意志でもある。


 

「ワシのやり方で商売をするし、ワシのやり方で働き手を守る。それに健康が入って休日を入れても問題は無かろう。彼らは酷い現実からやっと解放されて、安全な箱庭で生活しておるんじゃ。ここが安全でなくなったら、どこが安全じゃ?」

『ハヤトなりに、保護された方々を守ろうとしているのですよ』

「「ナースリス様……」」

『仕事を具合が悪くて休んでも咎められず、寧ろ休めと言って休ませ、心身を治してから仕事に挑ませるなど、この世界では珍しい事かも知れません。週に休日を2日入れるというのも珍しいかもしれません。その上で給料の保証はシッカリあって、衣食住には困らない。正に理想の箱庭の姿だと思いますよ』



 そうナースリスが口にすると、ミアとテトは顔を見合わせ納得はしたようじゃ。

 ワシは箱庭をブラックにしたい訳ではない。

 正に、ホワイトを目指しておるんじゃ。

 ブラックでお先も真っ暗なんぞ、生きた心地なんぞせんじゃろう。

 


「私はハヤト様の働き方改革は全面的に支持致しますわ」

「マリアン、そう言ってくれると助かるのう」

「仕事量に関しては各自のスキルレベルに応じてですけど、それでもスキルレベルが上がれば給料も上がりますもの。それだけでスキルを上げようと頑張る方もいらっしゃいますわ。それに、週2回の休みの日は皆さん家の事をしたり、外出したい時は申請を出して外で買い物などしていらっしゃいますし、気分転換もシッカリ出来ていますわ。メリハリ……と言うのかしら? それはとても大事な事だとおもいましてよ」



 そう、人生メリハリと言うのが大事じゃ。

 ダラダラと遊ぶのも、ダラダラと仕事をするのも違う。

 メリハリをつけて人生を楽しむというのは、ワシが生前出来なかったことでもあり、今じゃからこそそれを再現してやっているだけにすぎんが、ワシとしても夢が叶ったと思っておる。


 

「分かりました。ハヤト様のお仕事に関して口出ししてしまい、申し訳ありません」

「気になったのじゃったら聞けばよい。それを咎めるつもりはないからのう」

「では、咎められないのなら1つお願いが」

「なんじゃ?」

「……私とテトにも、羽織の記事でリボンを作ってくれませんか?」

「マリアン様の右腕として、羽織じゃなくとも髪につけるリボンは欲しいです!」

「ふむ、それくらいならお安い御用じゃ」



 こうして、2人分の薄手のデニム生地でのリボンを作ると、2人は早速ミアはポニーテルに、テトは三つ編みの尻尾につけておった。



「これで、私もマリアン様の補佐として分かりやすいかと!」

「ありがとうございます! 仕事頑張ります‼」

「うむ、皆で頑張ろうぞ!」


 

 少し一悶着はあったが、丸く収まり何時もの箱庭に戻った。

 さて、ワシはまだまだ作らねばならんものがある。

 気合を入れるかのう!

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