表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
老成転生~少年ボディで箱庭スローライフ~  作者: うどん五段
第一章 伝説の箱庭師の箱庭を受け継ぐ
43/48

第42話 たまにはお互い、素直な気持ちを言葉に乗せて

ブックマーク、評価、感想、誤字脱字報告ありがとうございます。

 パーティーも終わり、箱庭に帰った途端駆け付けてきたのはミアとテトじゃった。

 どうやらパーティーの様子を異世界テレビで見ていたようで、涙を流しつつ「愚かな父が申し訳ありません!」と謝罪してきた。



「なに、全てはナースリスが事を進めておったのは2人も知っておよう」

「ですが……ですが‼」

「私たちの恩人であるお2人に対して、父たちのしたことは許される事ではありません!」

「確かにそうかも知れんが、全ては終わった事じゃて。そう気に病む必要ない」

「今回の事であなた方を咎めるつもりもありませんし、心配しなくていいのですよ?」

「マリアン様ハヤト様……」

「ありがとうございます1」



 こうして一段落つき、お互い温泉に入って汗を流してスッキリししようと言う事になり、ワシとマリアンだけの夜遅くになったが温泉タイムとなった。

 女湯と男湯は声は届くが姿は見えない壁になっており、ワシはゆったりと温泉に浸かりながらマリアンと会話を楽しむ。



「マリアンのドレス姿はほんに美しかったのう」

「あ、有難うございます! ハヤト様もとても素敵でしたわ」

「明日は休養日ではあるが、色々バタバタしていて、新たに保護した者達のスキルチェックが出来ておらんかった。明日それをしようと思う」

「かしこまりましたわ」

「じゃが、マリアンがそれぞれのスキル一覧を作ってくれているから助かる……。後は割り振りだけじゃからのう。正に有能じゃ」

「お、おほめ頂言えて光栄ですわ! 皆さんが生活をしやすいように色々話を聞いておりましたの」

「そうか……。ワシの至らぬ点をマリアンが助けてくれる……。ワシの方こそ感謝しておるぞ」

「そんな……。でも、有難うございます」



 お互いに風呂に入りつつ、心の中をさらけ出す。

 たまにはこんな夜もあっていいじゃろう。

 すると――。



「私……守る事はあっても、好いた男性に守られたのは初めてなんですの」

「む?」

「あの時、腕を引いて庇ってくださいましたでしょう?」

「あ――……うむ」

「とても嬉しかったのです……。ハヤト様……大好きですわ。お慕いしております」

「そ、そうか! その……うむ!」

「ふふふ」



 マリアンのストレートな思い。

 年齢だのなんだのと格好つけておったが、マリアンの心の清らかさ、そして優しさは天下一品じゃとワシは思う。

 そうなると、やはり年下であっても、心根の綺麗な娘と一緒に居たいと思うのは至極当然であって……やましい事はない。



「ワシも……」

「え?」

「ワシも……好いておるよ」

「――ハヤト様!」

「それ以上は今は流石に言えん。恥ずかしすぎるからのう」

「ふふふ! 嬉しいですわ!」



 その一言。

 恰好が良いとか、もっと気が利いた一言でも言えればいいのに言えず、その程度の言葉しか言えないというのに……マリアンは心から喜んでくれた。

 ――嗚呼、愛おしいとはこういう事か。



「ワシは幸せ者じゃな」

「私もですわ」



 こうして風呂から上がり、マリアンに髪を生活魔法で乾かして貰ってから部屋へと戻る際中、ふと湯上りのマリアンと目が合った。



「……」

「どうなさいました?」

「いつもと違う化粧の姿もええが、ワシは何時ものマリアンの方が好みじゃ」

「!」

「何時も装いも仕事のしやすい服装で何時も駆けまわって……。化粧とて最小限じゃろう?」

「そう……ですわね」

「じゃが、それがワシには……好ましく思う」

「……嬉しいです」

「マリアンは、ありのままで、ほんに美しいのだな」



 素直に出た言葉。

 素直に思えた言葉。

 その言葉を聞いてマリアンは立ち止まると、顔を真っ赤に染めて――。



「それ以上言われたら、私……ハヤト様を抱きしめすぎて骨を折りそうですわ! お休みなさいませ!」

「う、うむ! おやすみじゃ!」



 そう言って部屋に駆け込んでいった。

 少々言い過ぎたじゃろうか?

 じゃが、本音じゃ。


 本当に、マリアンが愛おしくてたまらんのは、事実じゃ。

 

 生前では得られなかった居場所。

 そして、ワシだけを好いてくれる女性。

 それらは、ワシにとっては全てが眩く、そして全てが愛おしいのじゃ。



『ハヤトもやっと素直になってきたんですね』

「……たまにはそう言う日もあっていいじゃろう」

「マリアンとても嬉しそうでしたにゃん♡」

「うむ……。もっともっと喜ばせる事が出来たらええのう……」



 男の甲斐性と言うべきものなのか。

 婚約者に対して何かをするというのは、この世界での事は知らんが、何かしらプレゼントするのは定番じゃとしっておる。

 プレゼントか……。


 服ならばマリアンと言うモデルを用いて色々作っておるし、食べ物もなんだなんだとマリアンと最初に食べる事が多い。

 となると、何がええじゃろうか……。



「マリアンへの贈り物は悩むのう」

『そうですね……。毎回共にいらっしゃるから大抵の事は知っていらっしゃいますし』

「チョコ生地で作ったチョココルネはどうなのにゃん?」

「いや、形に残る物を贈りたい」



 そいえば……錬金アイテムと付与とで完成する『身代わりの華』と言うアクセサリーがあったのう。

 それを作るのも手か。

 美しいバラで作ったブローチはお守り代わりにもなるじゃろう。

 ピンブローチならば邪魔にはならんじゃろうしな。

 

 合間を見て作って行こうと決め、ワシも部屋に戻ってベッドで横になる。

 アンジュもワシの近くで横になり、ナースリスも静かに眠りについた翌日――。

 

 

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ