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老成転生~少年ボディで箱庭スローライフ~  作者: うどん五段
第一章 伝説の箱庭師の箱庭を受け継ぐ
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第39話(閑話)保護を求めた2人に対し、マリアンからの提案は――

ブックマーク、評価、感想、誤字脱字報告ありがとうございます。

 ――マリアンside――



 これは、私がお母様にご連絡を受け、箱庭からギルドに行っていた時の話。

 今月分の売り上げを受け取りにお母様の執務室に入ろうとすると、2人の女性が中でお母様と大事なお話をしているとの事で、暫し待機する事になりましたの。

 すると――。



「わたくしたちは、別に箱庭の主と結婚したいなどと思っていませんわ!」

「ただ、保護して欲しいんです……。このまま家に居れば無理やり婚姻を迫られるでしょう。そうなっては、我が獣人国及びエルフ族は滅んでしまいます! それだけ我が獣人族と友好国、エルフ族の間では、ナースリス様とは尊いお方なのです!」



 という声が聞こえて来て、そう言えばエルフ族と獣人族の娘がアスカレイさんを人質に取り、箱庭を渡すように等と世迷言を言ったのだと思い出しましたわ。

 その2人が、保護を求めている。

 お母様はと言うと――。



「流石にエルフ族の末娘と獣人国の王の弟……それも10番目とはいえ、王族の娘を保護する事は出来ない」

「ですが! 屋敷に帰れば間違いなく箱庭の主との婚姻を迫られるでしょう! それをマリリン様は拒否できる程の力をお持ちですか⁉」

「……それは」

「流石のマリリン様でも、カズマ様でも難しい事でしょう。私たちの親は本気で嫁に出すつもりです。そして私たちは箱庭の主の怒りを買い、とてもじゃないですが……嫁にはして貰えないでしょう」

「そもそも、箱庭の主には仲のいい唯一無二の婚約者がいると聞いて居ます。その方に何という無礼をと思うのです」

「その様な方が悲しむ真似はしたくありません。どうか保護をして……父たちが来ない場所にでも捨てて下されば結構なのです」

「つまり、お前達2人は箱庭の主、ハヤトと婚姻する気は一切ないという事だな?」

「「はい」」

「だそうだ。どうするマリアン」



 母に呼ばれ、私は小さく溜息を吐くとドアをノックして中に入りましたわ。

 私の登場で2人は困惑気味でしたが、優しく微笑み令嬢らしくお辞儀をすると――。



「初めてお目に掛かりますわ。箱庭の主、ハヤト様の婚約者であるマリアンと申します」

「貴女が……婚約者?」

「ええ、相思相愛の婚約者ですわ」

「え……あ……嘘」

「嘘ではない。箱庭の主は人を見た目では絶対に判断しない。その者の心を見透かすだけのスキルがある」

 


 そうお母様が口にすると、2人は終始無言になり、暫くして「それでも」と口に為さいます。



「それでしたら猶更、わたくし達は箱庭の主には選ばれる事はないでしょう」

「私達、貴族令嬢として腐ってますもんね」

「我儘し放題で他人のものすら力で奪い取る。それがエルフだと、獣人だと教わってきました。それが間違いだとは思わずに……」

「そう言う育て方の方針なのですね……。今のエルフ王も獣人族の王もナースリス様に嫌われそうですわ」



 そう私が言えば2人は顔面蒼白になり「ナースリス様……」と呟かれます。

 余程かの方に叱られたのが効いたのかしら?

 聞けば、エルフ族と獣人族はナースリス様の信仰をしていると言うではありませんか。それでしたらここ迄落ち込むのも頷けますわ。



「どうするマリアン。一応ハヤト案件だが」

「そうですわね……。ハヤト様にお願いして了承を得れば宜しいんですけど……。一応お願いしてみますわ」

「よ、宜しいのですか⁉」

「ハヤト様は何もかも、最初の1つが失敗していたからと人を咎める方ではありません。ただ、大事なもの、人、それらを傷つけられた時、とてもお怒りになるのです」

「「……」」

「そこを、理由を伝えすれば、理解して頂けるかもしれない。お母様、少々席を外しますわね」

「ああ、いい結果だろうと悪い結果だろうと、一応覚悟を決めておかせる」

「かしこまりましたわ」



 そう言うと私は一度ハヤト様の元に向かい、件のエルフ族の娘と獣人の娘がレディー・マッスルに保護を求めている事と、聞いて居た事の内容を伝えましたの。

 また、とても不安がっており、尚且つとても反省している事も告げると、暫く渋い顔をしていらっしゃいましたけれど……。



「しかしのう……。反省したとはいえ……」

「ハヤト様、私は彼女たちが真に反省し、そしてハヤト様に色目を使わない……と言うのなら、箱庭に入れていいと思いますわ。無論仕事はして貰いますけれど」

「ふむ」

「私一人では箱庭での生産関係は回り切れない所も御座いますの。私の手足となって働いてくれる女性ならば大歓迎でしてよ」

「なるほど、マリアンの助手としてか。それならば箱庭に保護してやってもいい」

「本当に?」

「マリアンの助手としてならば……と言う絶対条件は付く。のんびりできると思うなと伝えてくれればそれでええぞ」

「ハヤト様……有難うございます」

「うむ。助手が男よりは女の方が何かとワシも安心するというか……まぁ、そう言う事じゃな」

「では、その旨伝えてきますわ」


 可愛らしい反応に胸をときめかせ、今すぐハヤト様を抱きしめたい所でしたが、もう一度ギルドに戻り、ハヤト様の仰った「私の助手としてならば保護しても良い」と言う言葉を伝えました。

 2人は目を見開き驚きながらも「誠心誠意、マリアン様にお仕え致します」と礼をして下さった為、お母様も安心したようですわ。



「なるほど、マリアンの助手か! ミア、テト。二人とも相当忙しいと思うが、やり方をキッチリ覚えてしっかりと励むように! 仕事に励まなかったら、箱庭の女神、ナースリスが黙ってはおらんぞ!」

「「ひいいいい! はいいいい‼」」



 こうして私はお母様から箱庭からの売り上げを受け取り、新たに来月用の売り上げを入れるアイテムボックスを受け渡し、ミアとテトを連れて箱庭に帰る事にしましたの。

 私がハヤト様を呼びに行こうとしたら、丁度ハヤト様がギルドに顔を出し、2人を見つめてから口を開きましたわ。



「1つ。ワシはマリアンの婚約者じゃ。ワシに色目を絶対使うな。マリアンとの仲を裂こうとすればナースリスの怒りに触れると思え」

「「はい!」」

「1つ。マリアンを敬い仕事に集中しろ。マリアンを馬鹿にしたり愚弄するなら未来永劫許さん……。直ぐに箱庭から追い出す」

「「はい‼」」

「1つ。箱庭にいるのなら、ある程度は守ってやれる。……安心して過ごすとええ」



 最後の言葉がハヤト様らしいわ。

 何だかんだと気を揉んでいらっしゃったのね。

 お優しい人、愛おしい人……私の大事な婚約者様。


 こうして2人に箱ワニはいる為の個人専用のブレスレットを手渡すと、ミアとテトもまた、箱庭の住人となったのです。

 そして、異世界テレビを通じてご実家が今どうなっているのかを知り、身震いを起こしておられましたが、箱庭にいる限りは安全であること再度伝えるとホッとしておられましたわ。



「貴女方がしっかりご自分のこれまでを反省し、前に進み、私の手伝いをして下さるというのでしたら、ナースリス様もあなた方をお許しになるでしょう。大丈夫、時は必ず来ます」

「マリアン様……」

「どうぞ、至らぬ私達ですが……御教授願いいます」

「ええ、ビシバシいきますわ!」



 ――こうして、新たにエルフ族のミア。狐獣人のテトが仲間に入り、私の生活と箱庭はまた大きく動いていくことになるのです。


 それから更に2週間後――。

 そしてついにやってきた王城パーティーの前日。

 

 私は身体をマッサージを込みで身ぎれいにするべく箱庭で温泉に入った後、ギルドに一時帰宅致しましたの。

 

 明日はハヤト様から頂いたドレスとアクセサリーと言う戦闘服で女の闘い。

 負けられませんことよ!

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