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老成転生~少年ボディで箱庭スローライフ~  作者: うどん五段
第一章 伝説の箱庭師の箱庭を受け継ぐ

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第36話 互いの色を身に着け合う衣装と言うのは、気恥ずかしいもんじゃな!

ブックマーク、評価、感想、誤字脱字報告ありがとうございます。

 しかし、何故急にムギーラ王国にエルフ族や獣人族が来たのじゃろうか?

 そう思っておると、マリアンが小さく溜息を吐いたのに気が付いた。


 

「しかし、困りましたわね」

「ん?」

「実は、今度王城で春を祝うパーティーが開かれますの。お母様とお父様も無論呼ばれてますけれど、恐らく私達も呼ばれますわ」

「むう……少し良い服を作るか……」


 

 とは言っても、スーツか着流し位しか作れんのじゃが。

 此方の子供に合わせるとレースビラビラなドレス系のスーツ服は苦手じゃな。

 それなら少し気合を入れて自分用の着流しを作った方がまだマシじゃろう。


 

「マリアンの服はワシの方で上質なシルクを用意して、裁縫師たちにお願いして一点ものを作るぞい」

「嬉しいですわ!」

「無論、ドレスに合う宝石もワシから一式贈らせて貰うぞ。ええな?」

「無論ですわ! ふふ、私達の互いの色を身に着けると言っても、お互い髪色は黒ですし……ああ、ハヤト様は瞳も黒でしたわね」

「うむ、マリアンは美しい空色じゃ」

「お母様に似ましたの」

「マリリンは美しい瞳に太陽のような黄金の髪じゃからのう。正に太陽神と言う感じじゃ」

「ふふふ。お父様は月の神と呼ばれてましてよ?」

「じゃろうな」

「きっとハヤト様もそう呼ばれますわ」

「さて、気合を入れて今から用意だけはしておくかの!」

「楽しみですわ!」


 

 取り敢えず、王城に呼ばれても良いようにワシも絹を使った着流しを作るか……。

 アクセサリーは……マリアンの瞳の色を使ったものを用意しよう。

 ストールなんかは丁度ええかもしれんな。

 靴に関しては草履では無礼に当たるかも知れん。

 恰好いいモンスターの皮が沢山残っている為、革ブーツ姿でいくとするか。


 しかし王城か……。

 何が起こるか分からんだけに、付与アクセサリーを作るにしても悩むところじゃ。

 魑魅魍魎がかっ歩する場所なのか、恐らくそうじゃろうが、子供と思って侮って掛かってくる者から、一応同年代と言われる年齢世代。

 そしてマリアンの年齢世代からの目は必ず飛んでくるじゃろう。


 嗚呼、何て面倒じゃ。


 とはいえ、それはワシがマリアンの隣に立つ為にした事。

 腹を括って前を向くしか他あるまい。

 男は度胸、女は愛嬌の精神に切り替えていくとしよう。

 ワシとて享年70歳じゃ。

 大抵の荒波は乗り越えてきた。

 6歳のガキじゃろうが、12歳のガキじゃろうが、マリリンやカズマ達の年代の者達じゃろうと……渡り歩くことは可能な筈じゃ。

 毒親で叩かれ慣れている所もある。

 早々心が折れる事もない。


 

「さて、ワシも黒の絹を作るとするかのう」


 

 マリアンの服とワシの服は同じ髪と同じ艶やかな黒色にして作る事にした。

 生地はふんだんに使って欲しい為、かなり多めの黒のシルクを作り上げる。

 ワシはと言うと、着物生地になる為のシルク生地を作り上げ、艶めいて鮮やかな黒のシルクで着流しを。

 上等な白のシルク生地で肌着用を作り、薄い空色のシルクでストールを作り上げた。

 帯は空色に近い銀で作れば問題はないし、ヒモは黒でいいじゃろう。

 マリアンの色を一部身に着ける……と言うのは、中々恥ずかしいモノじゃな。


 そんな事を思っておると、その日の夜やはりムギーラ王国に残っておったカズマから王城に呼び出されている事を聞き、それなら既に用意を進めておることを伝えた。



 「マリアン用もかい?」

「無論。漆黒で鮮やかに艶めく絹のドレスに宝石をちりばめる予定じゃ。下品でなく上品にのう。宝石はこの箱庭には腐る程実るからのう。好きに使って貰う予定じゃし、ワシもマリアンの為に彫金でアクセサリーを作るが……1つ問題があってのう」

「ああ、付与だね? それなら俺の方から2人用に必要最大限の付与を付けた、レディー・マッスルを示すお守りを渡すから大丈夫だよ」

「それは有難い。それがあればレディー・マッスルと言う訳じゃな?」

「ああ、そうだね」


 

 それならば付与魔法は気にせず、マリアンの化粧が崩れぬ付与とか地味にそう言うのを作ればいいか?

 いや、案外売れるかもしれんな?

 貴族用の付与アクセサリー……考えてみると色々あるやもしれん。


 

「何か面白い商売を見つけた顔をしてるね」

「うむ、貴族用の付与アクセサリーなんて面白そうじゃと思ってな」

「そう言うのを作れるのは才能だと思うよ……。俺にはそう言う才能は無かったからなぁ」

「ははは、その代わりに最高の花嫁を貰っておるじゃろうに」

「それは、君にも言える事だよ? 俺の大事な娘でマリアンの婚約者で将来の婿養子殿?」

「ははは、ワシが婿にいくか! それもそれでありじゃのう!」

「すまないね。マリアンを嫁に出すだけの覚悟が俺にはないんだ」

「よいよい。アレだけの器量よしじゃ。そう他の男に嫁へ貰われては溜まったものではあるまい」

「そう言ってくれると有難いね」

「それに、ワシはレディー・マッスルのマリリン、及びカズマの養子じゃ。どの道名字が変わる事も何もないわい」


 

 そう告げるとカズマは「それもそうだったね」と苦笑いし、あっちの世界から持ってきたというビールを呑んでおった。

 ワシも成人したら飲みたいもんじゃわい。当分先じゃが……ワシも成人したら酒を造れるとええんじゃがのう。


 

「俺も実家に帰ってマリリンの為のドレスをって思ってるけど、この際ハヤトに頼んでもいいなぁ」

「ふむ、ドレスのモチーフとなるようなデザインはあるのかのう?」

「それは本を持ってくるよ。最新のドレスデザインでお願いしたいね」

「肌の露出は?」

「露出し過ぎは駄目だけど、美しい筋肉美を見せる程度なら了承するよ」

「寛大な心をお持ちじゃのう? ワシならマリアンの肌を出来るだけ見せたくはないがのう」

「マリアンはまだ幼いからね。隠すところは隠して出すところは出す。可憐で尚且つ綺麗な筋肉を見せる服装は良いと思うよ」

「ふむ、それについては同意はする」


 

 あの隠れている筋肉を表に出すのは良い事じゃろう。

 隠れているからこそ、薄いレースでその筋肉を包み込み、なお色気を出しつつ……。

 うむ、黒の薄手のレースを作っておくべきじゃな……。

 その上で黒の美しいレース編みの手袋……実に良い。


 マリリンは色黒な為、真っ赤な口紅も似合うが、マリアンはカズマに似て色白じゃ。

 かと言って、マリリンに似た顔をしている為、真っ赤ともいかずとも目立つ色合いの口紅が似合う。

 唇がプルプルに見えるアレはなんというたかの? そう、グロスじゃったか?

 女の化粧には詳しくはないが、そう言うのがあると便利かもしれん。


 

「化粧はどうしたらいい?」

「化粧ならマリリンが母から定期的に教えて貰ってるから完璧だよ。マリアンの化粧も一式揃えてある」

「それなら安心じゃな」

「ふふ、惚れ直すと思うよ? 女性は化粧1つで変わるからね?」

「はっはっは! 惚れ直すか! マリアンにこれ以上惚れ直しておったら、ワシの心臓が足らんのう!」

「ははは! これは一本取られたね!」


 

 そう言って笑い合うワシとカズマ。

 その様子をマリアンは頬を染めつつも嬉しそうにワシの後ろで見ていたようだと、後になってナースリスに聞き、なんとも気恥ずかしい気分になる。

 別に素で惚気ておった訳では……ないんじゃがな?


 その後、温泉にも入ってゆっくり体を癒してからレモン水を飲み、寝支度が整うと布団に入り電気を消す。


 また明日も忙しい日々が待っておる。

 新しい付与も試してみたいし、まずはマリアンの為にアクセサリーを作りたい。

 その為には、アクセサリー特集の本でも【ロストテクノロジー】で作り出さねばならんのう……。

 余り気は進まないが、これも今後の投資と思えば……。


 

「取り敢えず、明日に備えて寝るか……」


 

 明日は明日の風が吹くじゃろうの精神で、ワシは素直に眠りについた。

 翌日。


 

「ハヤトの旦那――‼ 大変だ! 獣人族とエルフ族の娘っ子たちが」

「なんじゃ騒々しい」

「箱庭に入れろと、アスカレイを人質に取りました!」

「はぁ⁉」


 

 ええい! 頭の痛い事がまた振って来たのう⁉

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