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老成転生~少年ボディで箱庭スローライフ~  作者: うどん五段
第一章 伝説の箱庭師の箱庭を受け継ぐ
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第31話 さらに大人数を箱庭に避難させる為に

ブックマーク、評価、感想、誤字脱字報告ありがとうございます。

 マリリンから聞いた支援している国の話を聞き、ワシは眉を顰めた。

 地獄の中で生きる人々。

 マリリン達、レディー・マッスルが支援せねば生きてくのも難しい人々。


 それらの国では、国のトップが傲慢で、暴君だという話だった。

 毎日の食事もままならない程疲弊している国民から重い税を取り立てる話を聞いた時は、奥歯をぐっと噛みしめたほどじゃ。


 その国ではマリリン達が手を差し伸べて保護しても、毎日餓死者が出ているのじゃと言う……。

 マリリン達レディー・マッスルが支援しても、助けられる命は、ほんの一握り。

 立場の弱い者達から死んでいく様を聞き、ワシは目を閉じた……。


 

「これが現状だ。毎月頑張って支援しても足りない、まだ足りないのだ! 重たい重税、物価の上昇。国民を国民とも思わぬやり方! 上の者達は下の者達を考えてもおらんやり方では、後々国は亡ぶだろう」

「そう……じゃな」

「支援しても支援し足りない状態だ。立場の弱いものから死んでいく……。家庭の為にと働いても楽にならない現実が、そこの王国には存在する。私が保護している者達の中には、家族で保護されている者達、老人、子供のみの孤児と幅広い。王国側は【わが国民ならば血反吐を穿いても国の為に尽くせ】と言うが、私が保護している以上今は強く言われていない。だが、それも時間の問題だと思っている」

「と言うと?」

「若い国民はその国から脱出し、違う国に逃げ始めたのだ。そうすれば税を取り立てようにも取り立てられない。国民が国を捨てる事態が起きているのだ」


 

 なるほど、似たり寄ったりじゃな。

 しかし、それならば……早々に解決できそうな問題でもあるかも知れん。


 ワシは宝石を1つ取り出し、そこに箱庭に通じる道を入れ込んだ。

 使えるのは1度きりの宝石を3つ、マリリンに手渡したのじゃ。


 

「ハヤト、これは?」

「ワシの箱庭に通じる道を入れ込んだ宝石じゃ。握りしめて使えば1度だけ箱庭に通じる。その暴君とやらに苦しんでいて保護されている者達は、ワシの箱庭で保護しよう。じゃが、アンジュのチェックを入れさせて貰うがの」

「アンジュのチェックと言うと?」

「アンジュを怯えて逃げた人は、箱庭に入る資格がないにゃん♡ 箱庭に入る為には、本当に心根が綺麗な人だけが入れるにゃん♡ 何とか自分の物にしてやろうなんて野心を持っている者達は入れないにゃん♡」

「なるほど! そう言う事が出来るのか!」

「もしマリリンがその王国に行くことがあれば、それを使ってワシを呼んでくだされ」

「それならば、明日その王国に支援物資を届ける事になっている。

 アイテムボックスに物資をいれていくので時間はそう掛からない。大体私の足で4日程だ」


 

 それは自前の足なのか、魔物の馬を使った足なのかは定かではないが、

 ワシは頷きつつ「支援が本当に必要な者達はワシ等保護する」と伝えると、マリリンは涙を流し「マリアンの将来の婿は此処まで男気があったか!」と喜んでおった……。


 

「それに打算もあるんじゃ。箱庭に働き手が増えればワシも楽が出来るやもしれん。今いる人数では、やりたいことをするにしてもカツカツでな」

「なるほど! 働き手を増やしたいというのもあったか!」

「うむ、働き手はどんな生産系スキルを持って居ても良い。

 願望を言えば調理師が望ましいが、スキルに関しては左程気にせぬからのう」

「分かった、それも伝えよう」

「無論、給料も最初は少ないやもしれんがちゃんと払う。ワシもシッカリ働かねばな」

「ははは! 金貨の雨を降らせている現状だというのに、更に働くのか!」


 

 豪快に笑うマリリンじゃったが、ワシは今程度の金塊の雨では到底納得しておらんのが現状じゃ。

 その事を伝えると、マリリンは「ほう?」と嬉しそうに微笑んだ。


 

「まだまだ手を出したい商売もある。生活に根付いたものからその他まで。その為にはまだまだ人員は必要なんじゃよ」

「なるほど……。例えばどんなものなんだ?」

「箱庭は海に面した場所じゃ。じゃがムギーラ王国は内陸にある。新鮮な魚を売る為の店も作りたい」

「おおおお! それは名案だ!」

「その上で、肉も大量にある……。肉と言えば色々食べ物は豊富でのう。米と言うものがあればなんとかなるんじゃが……」

「米だな? 調べておこう」

「後はパンを使った店も出したい……。ま、その為に調理師スキルを持つ者達が大勢必要となる。最悪商業ギルドで雇うかとは思っておるがの」

「なるほど!」

「ワシは貴族の店はあの店だけでええと思っとる。後は庶民に根付いた商売がしたいのじゃよ」


 

 ワシ自身が庶民だったゆえに、貴族のことはサッパリじゃ。

 故に、出来る事は何でもしていきたいというのが本音じゃ。


 

「酒に関しては、ワシは年齢的に作れぬし」

「確かにそうだな」

「炭酸のジュース程度ならつくれるんじゃがの」

「それはいい! レディー・マッスルでは炭酸水は大好物だぞ! 取引したいくらいだ!」

「では、それは追々考えるとしてじゃ。炭酸のジュースも色々作りたいしの」

「それは是非、レディー・マッスルにも卸して欲しいね!」

「出来るだけ希望に添えますじゃ」


 

 こうして明日から4日かけてマリリンが出かける事も決まり、宝石の使い方も教えた所で箱庭に帰った。

 そして、皆を集めると「新たに大人数が入る事になる」と言う事を伝えた。

 内容は伏せたが「生活に困っている者達じゃ」と伝えると、「それなら受け入れないとねぇ」と了承してくれた。


 

「ハヤト様、保護されてくる面々の食事はどうしましょうか」

「まずは胃に優しい食べ物からスタートさせてやってくれ。飲み物は水かレモン水からのスタートでええじゃろう」

「分かりましたわ」

「衣服は多めに作っておきます」

「うむ、この箱庭で過ごす分には楽な恰好でええじゃろうからな。よろしく頼むぞ」


 

 こうして箱庭の面々が一丸となって、また絆が強くなっていくのを、ナースリスは嬉しそうに見つめておったのじゃった。

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