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老成転生~少年ボディで箱庭スローライフ~  作者: うどん五段
第一章 伝説の箱庭師の箱庭を受け継ぐ
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第2話 ワシを保護するという相手を見て、愕然とする

ブックマーク、評価、感想、誤字脱字報告ありがとうございます。

 池と呼ぶには少々綺麗すぎる水が湧き出る場所には、宝石の欠片や宝石を入れれば、外の世界を見る事がかのうじゃそうじゃ。

 何ともロマン溢れるではないか?


 異世界と言えば、テレビの中のようなものじゃろう?

 ワシは時代劇かニュース番組くらいしか見ておらんじゃったが、外の世界とはどんなものじゃろうな?


 何せこちらに来てから、まだ1日。

 そろそろ日が落ちようとしておる時間じゃ。

 ずっとリュックに卵を背負い、畑で夜ご飯用の食材まで集めて移動するだけでも一苦労。

 何せ子供の姿じゃからのう……。大人の姿が恋しいわい。



「さて夕飯も食べた事じゃし、温泉もあったから温泉も入ったし……そう言えば温泉に卵入れて良かったのかの?」

『傍から離れさせなければ良いのですから大丈夫ですよ。温泉卵にはなりません』



 温泉卵になっておったら大変なことになるじゃろうて。

 久々に身体も綺麗に洗ったし、心なしか気持ちも爽やかじゃ。


 お風呂に入るのも、中々か色々値上がりが続き出来なかった故に、温泉に入るなんぞ……豪華すぎる毎日のスタートじゃの。

 服は作れるらしいが、明日作るとして……そうじゃ、洗濯出来るように何とかせねばならんな。


 洗濯板にタライ、石鹸があれば良いじゃろうか?

 この世界では【生活魔法】が使える者もおるようじゃが、ワシには残念ながらついておらんだった。


 洗濯機も無かった故に、洗濯というのが意外と大変になる事が分かった。

 一応洗濯機は作れるようじゃが、何をするにしても採掘じゃったりと働くことはとても大事らしい。

 コツコツ進めていくしか無かろうな。



「せめて、作業小屋にこっちの世界の物が残っておればよいのじゃがのう」

『ありますよ。山のように』

「なんと!」

『でも、それらは明日です。日が暮れればここに人がいない限り、明かりは再び灯る事はないでしょうから』



 明かりがない場所か……。

 そればかりは致し方ない。

 そもそも、ワシも元の世界では明かりのない生活をしておったのじゃしな。


 せめて、こちらの世界の住人の声だけでも聴いて眠りにつきたいわい。

 そうじゃ、そうじゃ。此方に来る時に、ワシを保護する者達がいると聞いたぞ。

 その者達を見てみたいもんじゃ。


 そうと決まれば……と、宝石の欠片をポンと池に投げ入れ、ジッと水面を見ていると……やんわりと光り現れたのは――。

 堀の深い、どこぞの世紀末か、アメコミかの男性……いや女性……んん? どっちじゃろうな⁉



『ふはははははは! 今回の依頼も中々にスリリング‼ ブラックドラゴン15匹討伐は中々に楽しかったな‼』

『全くだ‼ 良い土産が出来たというものだ‼』

『ママ! 暫くチームアジトではドラゴン肉祭り開催か⁉』



 そう言う同じ顔でもちょっとだけ微妙に違う男女……らしき者達が騒いでおる。

 そして、そんなイカツイ者達が「ママ」と呼んだ女性が振り返ると――。

 世紀末覇者のオーラを振りまき、ズゥンズゥンとブラックドラゴンらしき何かを片手で担いで歩いておるが……性別どっちじゃ⁉


 恐らくママと言うだけあって女性じゃと思うんじゃがのう⁉



『愛しき我が子達よ。今日はよくぞ頑張った‼』

『うおおおおおおおおおおお‼』



 余りの咆哮に水面が揺れ、ワシにまで風圧が!

 何という輩じゃ‼



『これよりアイテムボックスにドラゴンを入れてから、全力ダッシュ、マッハで山を越え谷を越えで愛するパパのいるアジトに戻る訳だが……身体についた血は落としたか⁉』

『安心しておくれよママ。パパが驚かないように血は流してあるよ!』

『パパは僕たちが怪我をしていると勘違いしてしまう、優しいパパだからね!』

『マリアンとカズラルもだ。あの子は我らパパに似て優しすぎるからな……』

『ああ、栄養価の高いドラゴンの目玉スープを出したら泡を吹いて倒れたからな……』

『不甲斐ない。ママの子供ならばその程度』

『そういうな。あの子達は戦闘とはかけ離れた生活をしている。我々とは違うのだよ』

『ドラゴンの目玉スープは我ら兄弟が美味しく頂きましたがな!』

『ふはははははははははは‼』



 こ、この者達が……我を保護するという冒険者か⁉

 よもや、まさか、そんな、馬鹿な‼

 思わずナースリスを見ると、プイっと横を向いた時点で答えは一緒!



「ナースリス! ワシは確かに毒親は嫌じゃと言ったが、人間という次元を超えた保護者は必要ないぞ⁉」

『いいえ、貴方のスキルを考えたら、彼ら世界最強で世界第一の冒険者ギルドである【レディー・マッスル】に保護されるのが一番平和で纏まるのです』

「そんな馬鹿な!」

『彼らの雄々しい姿を見なさい。戦神の如き姿を。彼らに保護されれば、間違いなく貴方は守られます。あらゆる問題から守られるのです。そして、スキルを駆使して彼らを翻弄してしまうのです!』

「翻弄できる気が一切せんのじゃが⁉」



 そう叫んだが、ナースリスはそれでも『これは最早決まっている事なのです! 我儘言わない!』と叱られ、

 ワシは呆然としながら池に映る彼らを見た……。


 ……戦神?

 いいや、あれはボディービルダーの如し筋肉の塊、最早毛のないゴリラと言っても過言ではないぞ⁉


 あの中に入る⁉

 ワシのような子供がか⁉


 捕まったら最後、骨になるのではいのか⁉

【美味しく胃袋に収まりました】的な何かになるのではいのか⁉

 生きておられるじゃろうか‼



「嫌じゃ嫌じゃ! ワシはまだ死にたくはない!」

『死にません……彼らは子供にとても甘いのです。あの方々が好む見た目にしてあげたので食べられる……事は……恐らくありません!』

「不安しかないんじゃが⁉」



 そう叫んだが、既に肉を豪快に貪り水分を補給した彼らからは、気と言うか煙が上がっておるぞ⁉



『さぁ、我が子達よ……準備は整ったな?』

『OKだよママ……』

『こちらも体の準備は出来ていましてよ……っ!』

『では帰ろう! 愛するパパの元へ‼』



 その後は雄叫びに近い咆哮が響き渡り、彼らは一瞬にして見えなくなった……。

 異世界テレビが、神の力が、彼らを捕える事が出来ないのじゃ……。

 あ、嗚呼……。わ、ワシの将来はあの中に?

 あの筋肉マッスルの中に身を置くという事か……?



『安心為さいハヤト。彼らは決して悪い人達ではありませんし、人肉を食べるような方々でもありません』

「それで安心出来れば……良かったんじゃがの……ははは……」



 嗚呼、どうかワシのペットが生まれるのならば、あの恐怖の筋肉軍団から助けてくれるようなペットがいい……。

 ワシを、ワシを守ってくれっ‼


 そう思い卵を抱きしめ、その日は1人一階にあるアパートの中で眠りについた。

 次の日からは、ワシは暫しボーっとしておったが、気合を入れ直し生きる事を目標とした。

 ワシに出来る事はまだある筈じゃ。諦めてはならぬ!



「そうじゃ! 素材置き場に行ってみよう! 何か作っておれば嫌な事は忘れられるというものじゃ!」

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