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老成転生~少年ボディで箱庭スローライフ~  作者: うどん五段
第一章 伝説の箱庭師の箱庭を受け継ぐ
23/28

第22話 マリアンの骨折れそうな愛の抱擁と、新たな商品作りじゃ!

ブックマーク、評価、感想、誤字脱字報告ありがとうございます。

 途端、ミシミシミシ……と悲鳴を上げるワシの骨! 骨‼

 お、お、お、折られる‼



「ハヤト様なんて素敵なお方! 私、とっても感動しましたわ‼」

「ぉ……ぅぐっ!」

「私、あなたに一生ついてまいります! 墓場までずっとついてまいりますわ!」

「マリアン、待つにゃん! 主の骨が折れそうにゃん!」

「はっ! 私ったらつい興奮しすぎて……! 筋トレを怠っていてよかったですわ。もし続けていたら、今頃ハヤト様をボッキリ……!」

「お、折られるのは……困る……のう……ぐふっ」

「ハヤト様ぁぁぁあああ‼」


 

 見かねた冒険者が駆けつけ、ワシにポーションをかけてくれた。

 お陰で何とか生き返った……。

 礼を言うと、涙をぬぐいながら「マリアンお嬢が幸せを見つけたんっす! 俺、感動っす!」と泣きながら喜んでおった。

 良く分からんが、「ありがとう」と伝えると、さらに号泣しつつ「今日はお祝いっすよ――! 飲みに行くっすよ――!」と皆で出て行った。


 一体何じゃったのじゃろうか。


 マリアンは頬を赤らめ、モジモジと照れておる。

 まあ、マリアンの心の傷が浅いのなら、それに越したことはない。


 

「マリアンが傷ついたらどうしようかと思ったぞい。本当に無事なんじゃな?」

「はい……。ハヤト様のお言葉と行動のおかげで、かすり傷ひとつついておりませんわ」

「それは良かった……」

「ハヤト様……」

「よし、では問題も解決したことじゃし、親たちには申し訳ないが、マリリンの元でキッチリ矯正してから、会いに来てもらうとしようか」

「はい。愚息が申し訳ありません」

「本当に、何とお詫びしていいか……」

「なに、現実を見れば、ここの天国がどれだけ良かったか、嫌でも理解するじゃろう」



 こうして、ワシらはもう一度風呂に入り、ぐっすり就寝。

 翌日、仕事場に向かい、次なる商品の開発に励んでおった。

 庶民に根付く商品作り──。

 今の急務は【ボディーソープ】と【リンスインシャンプー】じゃ!


【洗濯用洗剤】【食器用洗剤】【肌着】の普及は順調に進んでいる。

 じゃが、風呂文化を推進するには、ボディーソープとシャンプーが必須!

 本来なら分けたい所じゃが、水が貴重なこの世界では贅沢は言えん。

 一緒くたにするしかなかったのじゃ。


 貴族向けなら分けてもいい。

 だが、あくまで庶民のための製品。

 石鹸でゴシゴシするなんて言語道断‼

 あれはギシギシするし髪を痛める! ワシの経験談じゃ!

 男でも辛い! 女子がやるとなれば、なおさら心が痛む‼



「取り敢えず【ボディーソープ】と【リンスインシャンプー】じゃな。作っていくかの」

「温泉にも置くんですにゃーん?」

「無論じゃ。全員に配る」

「良い事ですにゃん♡」

『ふう……警戒すべき人材がいなくなったことで、ようやく貴方の元に戻れましたよ』

「ナースリス! 久しぶりに見た気がするぞい」

『ええ、本当に久々でした。何をしでかすか分からない連中がおりましたから、気が気でなかったのですよ』



 ナースリスはそうぼやきつつ、威厳の光を放って警戒していたらしい。

 労いのつもりで、手作りの飴を一つ渡すと──。


 

『何れふ⁉ 何れふのこれ‼』

「砂糖で作った飴じゃ。旨いじゃろう」

『全身に染み渡りますわぁ……』


 

喜びのあまり、高速でワシの元へ舞い戻ってきた。

欲しい時はいつでも言え、すぐ出してやるぞい。


こうして、まずは箱庭用に【ボディーソープ】と【リンスインシャンプー】を作成。

続けて、レディー・マッスルに卸す分をひたすら作り続けた。

途中で温泉休憩を二回挟み、三百本ずつ完成させると、汗を拭いてアイテムボックスへ収納。


今日の夜、カズマとマリリンが会いに来る予定と聞いていたので、その時に渡すつもりじゃ。


時間は夕方五時。

仕事終わりにはちょうどいいが、次の構想も考えておきたいところ。


 

「庶民向けの商品……。ムギーラ王国は気候が安定しておるからのう」

『そうですね。雨季はありますが、比較的穏やかです』

「女性向けの化粧水……わからんのう。美容関連はさっぱりじゃ」

『リディアの時はマニキュアなど作っていましたね。あの子は女性でしたから、女性関連の商品が多かったです。あとは子供向けでしょうか』

「むう、ここで男女の差が出るとは……。女性関連の本でも集めてみるかのう」

「無理に女性関連じゃなくても良いと思いますにゃん?」

「じゃが、財布を握るのは女性が多いと相場が決まっておる。思えば、前世のワシはつまらん人生を歩んできたものじゃなぁ」


 

 恋人なし、交友も薄い、地味な人生──。

 それが悪かったわけではないが、もう少し華やかな生活もしてみたかったものじゃ。


 

「何はともあれ、今ある素材で燻製機でも作るか。高級品はカズマとマリリンと要相談じゃ」

「そうですにゃーん」

『燻製エリアも必要ですね』

「レディー・マッスルに貸しておった土地が空いておる。そこを使おう」


 

 こうして、夕飯までの間に大型燻製機を五台作り、燻製用エリアと専用台所を整備。

 肉や魚はアイテムボックスにたっぷりある。

 問題はチーズ……。

 チーズは後回しにしつつ、まずは肉と魚の燻製を試作。

 興味津々のマリアンも手伝いに来た。


 

「これが燻製……とかいうものですか?」

「そうじゃ。燻製用の大型機じゃな」

「珍しいものもございますのね」

「そう言えば、マリアン。この世界にチーズはあるか?」

「ありますわ! 牛も豚も鶏もたくさんおります!」

「ならば、家畜農家と契約したいのう。燻製チーズは旨いんじゃ! 菓子作りにも欠かせん!」

「分かりましたわ。今日お母様が来た時に、交渉してみますわ」

「助かるのう。燻製が出来たら、一緒に試食するか?」

「是非に!」


 

 こうして肉と魚を吊るし、燻し始めたが……。

 果たしてうまくいくかのう。


 

「燻製肉や燻製魚となると、酒が欲しくなるのう……」


 

 しかし、ワシの年齢ではまだ飲めぬ。

 渋々、炭酸水かジュースを作ることを決意するワシであった。


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