第11話 物づくりにはMPを大量消費する。MPの底上げが課題じゃな!
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とはいえじゃ。
何もかも、あのマリリンとカズマを信じ切った訳ではない。
この箱庭のある種最もたる秘密……宝石を入れればその場が見える異世界テレビ。
これで様子をみさせて貰いつつ作らせて貰うぞい。
ポチャンと宝石を投げ入れ様子を伺ってみると、やはりワシの話題が出ておったわ。
『しかし、一体誰の箱庭を受け継いだのか……。あれはさぞや高名なる箱庭師の箱庭に違いないのだがな』
『誰の箱庭だっていいじゃないか。彼が好きなように生きていけるならそれが一番だよ』
『それは確かに言えているな! 子供は伸び伸びと、そして第二の人生ならば謳歌せねば勿体ないというものだ‼』
『僕も年齢的に40歳になったら、第二の人生を歩もうかな。無論、君と2人で』
『な、なにを言うんだカズマ! 第二の人生を私と……歩むというのか⁉』
『また結婚式できるね……マリリン』
『カズマったら……』
『幾つになっても君は尊くて美しいよ』
ダメじゃ、砂糖吐きそうじゃ。
カズマ、本当にあのマリリンを心から愛しておるんじゃな……。
ある種、ハマったというべきか、沼ったというべきなのか……。
深い沼じゃ。ワシはそんな沼にはハマりとうないのう……。
じゃが、一番幸せそうなのも事実じゃ。
恋愛、結婚と言うのは幸せなものなんじゃろうか……?
ワシの親を見ていれば、どう見ても牢獄、地獄の様じゃったがのう?
男女共に言えるのは、全ては結婚相手次第……と言う事か。
見た目だけで選んでも地獄。
金だけで選んでも地獄。
やはり、中身で選んでこそ……なんじゃろうな。
その中身すらも屑じゃったら、この世の終いじゃがのう。
「さて、気を取り直して肌着作りじゃ!」
まずは【ロストテクノロジー】を使い、海外サイズの女性用Sサイズから順番に作ってく。
色は白をまずはメインにつくっていき、半袖タイプとタンクトップタイプを100着まずは作る事にした。
随分と力を使う作業じゃとは思うが、疲れたら直ぐ温泉に入って疲労を取るという方法を取っておると、意外と何となるもんじゃ。
次第に、直ぐに温泉に入る為、トランクス一枚で過ごすようになり、只管アイテムを温泉の近くで作って行く。
「ロストテクノロジーを使うと、随分と体が疲弊するんじゃが」
「マジックポイントを使ってますにゃーん♡」
「マジックポイント?」
「通称、MPって言われてますにゃん♡ 精神力と思っていいですにゃん♡」
「なるほど、それを使うから疲れるのか」
「集中力とも取れますにゃん♡ 精神力とも取れますにゃん♡ 主はまだ子供なので大人程の力が出ないですにゃん」
「むむむ」
「集中力アップの付与アクセサリーを作ると、随分と違いますにゃん♡」
なるほど、自分の足りない部分を補う付与アクセサリーか。
ワシもそれは少し考えておった所じゃ。
「MPの底上げか……。温泉に浸かって即回復と言う感じで行けばいいかの?」
『それが手っ取り早くMPも回復して力もつくでしょうね。ここの温泉には傷を癒すだけではなく、HPとMP両方を回復する作用がある素晴らしい温泉ですから。以前リディアが使っていた時は城と契約までしていたそうです』
その助言を聞き、10着作れば温泉へ、10着作れば温泉へ……と繰り返し、Sサイズの半袖とタンクトップを100着ずつ作り終わる頃にはスッカリ肌がふやけてしまった。
「むう、今日はここ迄じゃな」
「それがいいですにゃーん♡」
『ハヤトは元々70歳だったという事もあり、同じ年の頃の子供と比べても集中力は物凄いんですよ?』
「じゃろうな。そのワシが頑張っても10着ずつじゃ。先は長いが、コツコツやるしかないのう」
『初日で合計200着も作れば、御の字過ぎるんですが……』
「MPも爆上がりしてますにゃん♡ 流石主ですにゃん♡」
「ふはは! リディアには負けるじゃろうが、いずれは必ず追いつく! その為にも頑張ってコツコツ色々なものを作らねばな!」
リディアは無限のMPかと言うくらいの底なしMPを持って行ったという。
それも偏に小さい頃から箱庭でスキル上げのようにアイテムを作っておったからじゃろう。ワシもまだその入り口に立っただけにすぎぬ。
最終的にリディアのような無限MPと言わずとも、かなり多いMPを所持し、色々なアイテムを【ロストテクノロジー】で作れるようになりたい。
その為には、まずはMPを一旦底上げする付与アイテムを作った方が良さそうじゃ。
体のMPもそれに合わせて大きく育って行くじゃろうしのう。
「よし、今日は最後に付与アイテムを作って寝るとするか……」
「MPの爆上げですにゃん?」
「リディアのように時間をかけるというのがワシには勿体ない。少しでもMPを底上げして自分のMPアップに繋げねば、商品を売る側として客に『MP枯渇の為待ってくだされ』とは言えんじゃろう」
「商売人の目をしてますにゃん!」
『意外とハヤトは商売人向きな性質もあったんですね』
「客を待たせればクレームが来る。どこの世界でもそれは一緒じゃろう? 世話になるレディー・マッスルに迷惑はかけられん」
そう言うと2人は「なるほど」と言っておったが、ワシは彫金でまずはネックレスを作り、シルバーアクセサリーのチェーンに【集中力アップ付与】をつけ、飾りとなる方に【MPアップ付与】を行って首に装着した。
まずはこれで様子見じゃな。
「気候が穏やかなムギーラ王国じゃからこそ、綿100の肌着が一番求められると思うんじゃがのう」
「楽しみですにゃん♡」
『明日以降となりますが、残りのMとLを作って一旦持って行きましょう。でも、無理は禁物ですよ?』
「うむ、無理せず頑張るとするかのう!」
ワシの物づくりはまだ始まったばかりじゃ!
1人の光の玉の女神と、メイクーンのアンジュがいるが、ある意味お一人様のスローライフと言えるじゃろう! 恐らくじゃが‼
人間はワシだけじゃからな!
「は――取り敢えず疲れたわい。一旦部屋に戻って仮眠でもするかのう」
「休憩も大事ですにゃん♡」
『一旦は休憩でいいでしょう。その体にあまり無理をかけてはなりません』
「それもそうじゃな。子供は直ぐ熱を出すからのう」
こうして、一旦部屋に戻り仮眠を取ったつもりが、ガッツリ眠ってしまい翌日になってしまったのは……マリリン達には内緒にしようと思う。
そんな朝、ワシの箱庭に1人の女の子が現れた。
マリアンじゃ。
「お母様とお父様から、ハヤト様の身の回りの世話を頼まれました。暫くお世話になります」
「あ――……生活魔法と、家事全般が出来るんじゃったな」
こうして、一応お一人様スローライフに、筋肉隆々のマリリンの娘で同じく筋肉が素晴らしい黒髪のストレートで美しい青い瞳を持つマリリン似の少女、マリアンが仲間に入ったのじゃった……。
しかし――じゃ!
「ワシのする事にはあまり口出しはせんでくれ。集中力を切らしたくはないのでな」
「分かりました」
「主は現在MPのスキル上げの真っ最中にゃーん♡ 邪魔しちゃ駄目にゃん♡」
「そうなんですね! お食事の時はお声掛けします」
「うむ、頼むぞ。それとワシがパンツ一枚でも気にせんでくれ」
「パンイチ……」
「ま、ワシのような子供のパンツ姿なんぞ見てもなんとも思わんじゃろうがな」
こうしてワシはマリアンに注意事項を伝えてから、昨日と一緒の作業を続けたのじゃが――。ワシが次第に服を脱ぎ捨てて行き、パンイチの姿になる頃、マリアンは頬を染めつつ「なんて筋肉もない華奢で素敵な身体……」と頬を染めていた事など、気づきもしなかったのじゃった。




