表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/2

ある学園の女の人生

女は天才だった。


小さいころから魔法を使え、

村の人間からは奇異の目で見られることもしばしばあったが

両親からは喜ばれ、期待されていたようだ。


両親も魔法が少々使え、家には魔導書もいくつかあり、

それを絵本代わりに育ったため、基礎魔法はおろか

中級魔法まで使えるようになっていたようだ。


10歳のころ、村にたまたま来ていた英雄に見初められ

そのまま王都にある魔道学園なるところに行くことができらしい。


魔道学園でもその天才ぶりは相変わらずで、

卒業するころには学園の教師達よりも、魔法がうまく扱えてたようだ。

そのまま魔法を探求する道に進み、新たなる魔法体系の構築、

新たなる魔法の発見・開発を目指し、世界中を旅したそうだ。


旅を終えると、学園に戻り、本を書き、教鞭をとり、弟子も幾人も排出した。

そして、学園長となったらしい。


そんな女の人生の中で一番覚えているエピソードは、

意外にも旅をしていた時ではなく、最近の出来事だという。


女と同じように天才と称され学園にきた少女がいた。

少女も、女と同じように卒業するときには教師達よりも

魔法が上手く扱えるようになっており、この少女も魔法を追求するため

旅にでるものだと、女は思っていたようだ。

ただその少女は、学園を卒業すると同時に、

自分の村に帰り、そこで幼馴染の狩人の男と夫婦になってしまった。


女はその少女の才能をもったいないと思い、村に行き、

少女に魔法追及の道へ戻るように説得したらしい。

何故魔法を捨てるのか、何故普通の暮らしをするのかと

女は少女に問うたらしい


少女は言った。

ただ自分の力を夫のために使おうと決めていただけだ。

学園では魔法を扱う力が確かについたが

狩人の妻としての力は付かなかった。

これからは狩人の妻としての力を身に着けるのだと。


女は驚き、少女を説得するのは不可能だと悟った。

見ている世界が違うのだと。


違う世界を生きてきて、違う世界を考え、

違う世界で生きて、違う世界で考える


同じ力を持てるはずなのに、見ている世界が違うだけで

こうも世界が変わるのかと衝撃を受けたらしい。


女は語る。

自分がこれまでしてきた選択が間違っているとは思わない。

だが、これまで教えてきた弟子や生徒にはもしかしたら

魔法以外の世界があり、その世界を自分は奪ってしまったかもしれないと。

そう思うと怖くもあり、申し訳なくもあると。


数年後、女が学園長を務める学園に天才と称される少年が入ってきたらしい。

その少年はかつての天才少女の子供だったそうだ。

彼がどんな世界を見たのかはわからないが、

彼はかつて女が就いていた学園長となり、女は理事長就任し、

今も、この世に優秀な魔法士を送り出している。









評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ