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第九話 整っていく銀の月


「よしよし」


 酒場の方に明かりが点いている。


 外に看板も出して、営業していることをアピールしてあった。


 今、銀の月には冒険者が十五人いる。


 ちょっと神官が多すぎだけど、その他にも赤い風から移籍してきたミックスさんという人達が4人いた。


 リーダーが、妖精さんの件で移籍してきた神官の女性だったみたいで、すんなりと話は決まったみたいだ。


 まだ依頼とかは来ないけれども、少しずつ活気が出て来ている。


 酒場を再開することになったので、パパが慌ててお酒の発注をしたり、新しい食器を買ったりした。


 元々使っていた物もあるので、食器とかはそんな出費でもないはずだ。


「おっ、ここやってるのか!」


 酒場が開くと、冒険者じゃない人もギルドに来るようになった。


 名物料理でもあるといいんだけど、さすがに無理かな。


 コックさんも若い人だし、望みすぎは良くないか。


「コックさんは、得意料理とかあるんですか?」


「あるにはあるけど、自信はないかな」


 これは頼りない。


 おばあちゃんが連れてきたんだから、腕は確かだろうけど。


「親方が料理人辞めちゃって、コックの2人は困ってたんだよ」


 ウエイトレスさんが教えてくれた。


 そうか、親方がいたのか。


「でも、味の方は任せて大丈夫だからね」


「はい」


 ふーむ、コックさんをまとめる人が必要なのかも。


 覚えておこう。


 夜も昼も、少しずつ利用してくれる人が増えればいい。


 ここで値段を下げたサービスとかすると、客質が良くなくなる。


 長い目で見れば、そういうことはやめた方が良かった。


「じゃあ行ってくるのじゃ」


「いってらっしゃい、みなさんもお気を付けて」


「はい、行ってきます」


 日光に当たりたくないという妖精さんは、神官の人を連れて、アンデッドの出るカタコンベに向かって行った。


 夜に出て行って朝になる前に帰ってくる。


 完全夜型の生活だけど、神官の人達は修行みたいな感じで同行していた。


 もう、夜も更けてきているので、ママやサーリャ、ルルーナなんかは部屋に戻っている。


 ミックスさんたちのパーティーは、まだお酒を飲んでいるけれども。


 そして、働いていないのがひとり……。


「ガブリーさぁん、ちょっとだけお腹見せてくれませんかぁ?」


「うっ、イヤです、それとそんなにくっつかないでクダサイ」


 賢者の卵のフランセスが、ずっとガブリーにくっついていた。


 ガブリーは迷惑そうだ。


 それに、これじゃあ全然強くなれない。


「フランセスさんは、ダンジョンに行かないんですか?」


「ガブリーさんはただの機械兵じゃないんですよぉ、人類の叡智が込められた作りをしてるんですぅ」


 うーん、会話になってない。


「ガブリーさんがダンジョンに行けば一緒に行きますか?」


「イクイクぅ!」


 でも、ガブリーは嫌そうだ。


「ワレはふたりで行くのに反対です」


 それもそうだよね。


 ふたりきりになったら、何されるかわからないし。


 これは、新しく冒険者を作るときかも知れない。


 わたしは酒場から離れて、受付のカウンターに座る。


「さて……<魔物作成>」


 種族は機械、性別は女。


 機械種が増えればガブリーも少し安心だろう。


 さて、スタート!


「ほっ」


「とっ」


「よっ」


 そんなに優秀じゃなくても良い。


 優秀な方が性能が良くて、フランセスさんの興味を引けるだろうから、優秀に越したことはないけれども。


「うん、こんなものかな」


【名 前】 メアリー

【年 齢】 213

【職 業】 射撃手(C)

【レベル】 81

【体 力】 AAA/AAA

【魔 力】 E/E

【信仰心】 E/E

【筋 力】 AAA/AAA

【生命力】 AAA/AAA

【素早さ】 AA/AA

【知 恵】 C/B

【幸 運】 C/C

【成長率】 C/C

【スキル】 弓術〈A〉、格闘術<A>

【因 果】 忠義

【装備品】 ガトリングクロスボウ(A)

【気持ち】 主様の命令をこなしたい


 この子は、ダンジョンの深層にいる機械兵の中でも、修羅場をくぐり抜けてきた歴戦の機械兵だろう。


 213年生きてきてレベルが81ある。


 こうなる前に壊されてしまうものなんだけど、そういう設定で作成される冒険者なんだろう。


 作成っと。


 ポイントはあまり減らなかった。


 試行回数が少なかったし、機械兵だからかな?


 今は、24621ポイントだ。


「……仲間が呼んでいマス」


「ガブリーさん?」


 おっと、早速何かが起きたみたいだ。


「スコシ出かけてきます」


「あーん、待ってぇ~」


 ガブリーはフランセスさんを振り払って、外に出て行ってしまった。


 フランセスさんは、慌てて後を追っていく。


 もう結構な夜だから明日にすれば良かったかな?


 ちょっと眠くなるのを堪える。


 ああ、この感じ、ダンジョンマスターだった頃を思い出す。


 徹夜でモンスターを作ったり、ダンジョンを追加したりしてた。


 どれくらい時間が経っただろうか。


 ウトウトしていると、ガブリーがギルドに帰ってきていた。


「コットン様、新しい仲間を紹介しマス」


「お初にお目にかかりますメアリーと申します」


 女性型の機械兵だ。


 話し方はガブリーよりも流暢だった。


「コットンです、ここで冒険者として働きますか?」


「主様の命ならば」


 メアリーにも主と言われてしまった。


 わたしの作ったダンジョンにいたのかな。


 そういう来歴になってたのかも。


「コットンちゃん何者なのぉ? 機械兵に忠誠を誓わせちゃうなんてぇ」


「機械に好かれるんですかね?」


 取りあえずとぼけておく。


「うらやましぃ」


「では、メアリーさん、よろしくお願いします」


「はっ、必ずやお役に立って見せます」


 機械兵もメンテナンスだったり、修理だったり維持費がかかる。


 そのお金を自分で稼がなくちゃいけない。


「機械兵がふたりも来るなんて夢のようだわぁ!」


「冒険に行って成果を上げてきてくださいね」


 フランセスは能力の上限が高いけど、まだレベルが12だ。


 全然、これから頑張らないといけない。


「メアリーさんは、当面、ガブリーさんと行動してください」


「わかりました」


「はいはい! 私も、私も一緒です!」


 ガブリーがダンジョンに行けば、フランセスもダンジョンに行くだろう。


 変な3人パーティーになっちゃったけど、まぁいいか。


 ママとサーリャとルルーナ。


 ガブリーとメアリーとフランセス。


 妖精さんと神官さん達。


 ミックスさんのパーティー。


 取りあえず4部隊出来上がった。


 形になってきているぞぉ。


 わたしはメアリーに部屋を案内して、今日は寝た。


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