第六話 後衛の冒険者を作成
さて、ルルーナも馴染んだようだし、新しい冒険者を作成しよう。
やっぱり、ここは後衛だろうか。
今居る3人は中衛というか、前も後ろもできる器用な3人だけど、専門の後衛は欲しいところだ。
魔法使いと神官は専門職になるとグンと威力が増す。
今のところ、前衛はママとサーリャでも余裕そうだ。
まぁ、どんな冒険者が出来るかはランダムだから運にも寄るんだけれども、ふたりは作成しよう。
能力値はルルーナ程じゃなくても良い。
あんまりリトライできる余裕もないし。
「さて……<魔物作成>」
種族は人間、性別は女。
やっぱりというか赤い風の男たちが釣れたから、女を増やす方向で間違いはないだろう。
上手くいけば、向こうからこっちに移籍してくるものが現れるかもしれない。
能力はランダムだから試行回数が勝負になるんだけど、そこそこのところで手を打つつもりだった。
「さて、スタート!」
ん?
今回は3回目で結構良い冒険者が作れた。
【名 前】 フランセス
【年 齢】 15
【職 業】 賢者の卵(AA)
【レベル】 12
【体 力】 E/C
【魔 力】 A/SSS
【信仰心】 B/SS
【筋 力】 E/D
【生命力】 D/B
【素早さ】 D/C
【知 恵】 AA/SSS+
【幸 運】 C/A
【成長率】 A/AA
【スキル】 真名魔法(B)、全属性魔法〈C〉、女神魔法〈E〉、鑑定<E>
【因 果】 機械
【装備品】 ロングスタッフ(E)
【気持ち】 胸がないのは成長期だから。機械を弄りたい。
能力値的には良いんじゃないだろうか?
12レベルで魔力がAというのも、なかなか無い。
魔法使い系と神官系が欲しいと思っていたけど、賢者ならなお良かった。
ランクEだけど鑑定を持っているのもポイントが高い。
「作成しよう」
来歴に銀の月冒険者ギルドで活躍すると入れておく。
ポイントがガッと減って、26949となった。
これでも1000くらいは減っている。
フランセスもレア度で言えば結構希少だからね。
上手い具合に一人目が早く作れたから、二人目はちょっと余裕があるぞ。
「さて……二人目<魔物作成>」
種族を変えてみようか、人間ではなく妖精なんていいかな、性別は女。
いやいや、一流ギルドの男を釣るなら人間の方が……。
でも、人間ばっかり作っているとダンジョンマスターの血が騒ぐ。
ちょっと変わった冒険者も作りたい……。
よし、妖精でスタート。
「ほっ」
「とっ」
「てりゃ」
ん? んん……?
ダンジョンマスターだったときに妖精のモンスターもたくさん作ったけど、転生してからだとものすごく弱かった。
やっぱり種族的な枷があるのかな?
そして夕方頃、やっと見られる冒険者が出来た。
【名 前】 ラ・エレン
【年 齢】 124
【職 業】 預言者(AAA)
【レベル】 51
【体 力】 E/E
【魔 力】 B/S
【信仰心】 S/SSS
【筋 力】 E/E
【生命力】 E/E
【素早さ】 B/B
【知 恵】 C/A
【幸 運】 A/AA
【成長率】 C/C
【スキル】 予言〈A〉、女神魔法〈S〉、変身<B>
【因 果】 引きこもり
【装備品】 世界樹の枝(S)
【気持ち】 日光に当たりたくない。女神様のことを知りたい
なんか、変なのが出来た。
そこそこのところで手を打つつもりだったのに、やっぱりやり過ぎてしまった……。
ま、まぁ、いい。
妖精の中ではかなり良いスペックだし。
予言というスキルもいいかもしれない。
引きこもりたい学者タイプかな?
女神様から預言をもらううちに、知りたくなった感じか。
まぁ、冒険者として向いているかは疑問だけど、結構レアっぽいし破棄するのは惜しかった。
……作成と。
効率よりも、コレクション的な好みが勝った。
元ダンジョンマスターの性だ。
ポイントは、25124残っている。
「そういえば賢者様来ないな」
道に迷ってるのかな?
妖精さんは、日に当たりたくないってあったから来るのは夜だろう。
「たっだたいまー、今日のごはん何?」
おっと、ルルーナ達が帰ってきた。
「ただいま」
「ただいま戻りました」
「お帰りなさい」
ママとサーリャとルルーナが帰ってきたと思ったら、その後ろにつづく人がいる。
誰だろう? 賢者様かな?
「コットン様、知り合いの機械兵を連れてきました」
「機械兵?」
ダンジョンマスターだったとき、機械兵にはお世話になった。
魔力は持たないけれども、前衛としての能力がずばぬけている。
「コットン様、ワタシはガブリーです、お見知りおきを」
ガブリー!
わたしのダンジョンの冒険者が入れない宝物庫で番人をしていた機械兵だ。
ダンジョンマスターが変わって追い出されたのか、もう番人はしていないみたいだった。
宝物庫は、わたしが自由に使えるし、新しいダンジョンマスターは鍵を開けられなかったのかも知れない。
ふふふ、凝った鍵だったからね。
さもありなん。
「よろしくね、ガブリー」
戦力にもなるし、ギルドが潤ってきたら金庫の番をさせても良い。
昔の仲間に会えるのは嬉しいなぁ。
でも、その隣には……変なのがいた。
「えへへ、機械兵、分解したいなぁ……」
なんか、ガブリーにかぶりついている女の人だ。
「お友達?」
「そ、それがね、ガブリーさんのことを気に入ってしまったみたいなの、ギルドに登録したいって言うから連れてきたんだけど……」
ママも困っている感じだ。
はぁ、これが賢者様か。
機械が好きってあったから、ガブリーに絡んでいたんだろう。
「なんだい、騒々しいね」
「おばあちゃん、ふたり、ギルドに登録希望だって!」
「そうかい、それじゃあコットンがやんな」
「うん!」
「冒険に行ってた3人は湯を沸かしてあるから身体を拭くといい」
「えーっ! ごはんは!?」
「ご飯は逃げないよ、先にきれいにしておきな」
「お腹ペコペコで死んじゃうよぉ」
「ルルーナ様は屋台で串肉を食べていたと報告します」
サーリャの事務的な声が響く。
「ああああっ! 内緒にしてって言ったのにぃ!」
「ほおら、グズは嫌いだよ、早く行動しな」
「はーい」
トボトボとルルーナが浴室に向かう。
みんなで使う部屋で、男女で部屋が別れていた。
「ガブリー、また一緒に戦ってくれる?」
「モチロンです、ワタシのマスターはアナタひとりですカラ」
「ありがとうね」
思わぬ戦力が加入した。
これで、このギルドも格好が付くようになるだろう。
前衛に機械兵のガブリー。
身体が金属だからモチロン硬くて頑丈だ。
攻撃力も高い。
そして、中衛のママとサーリャ。
ふたりのベテランコンビは、上手く立ち回れるだろう。
そして、後衛の賢者様と妖精さん、それに遊撃のルルーナ。
6人パーティーがひとつ出来上がった。
まぁ、妖精さんはまだ来てないから、くせ者だったら困るんだけど……。
とにかく、銀の月冒険者ギルドは、一歩前に進んだような気がした。