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地位を奪われた元ダンジョンマスター、7歳のギルド受付嬢に転生して冒険者を作成し、自分の作ったダンジョンを攻略します  作者: 夕綺柳
第二章

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第五十四話 対人戦闘


「デスタ!」


「ワオーン!」


 囲んでくる4人の男に、デスタが飛びかかる。


 男たちは武器を抜き、身構えるが、デスタはブレスを吐いた。


「ワオーン!」


「くっ! アイスブレスか!」


 デスタのブレスが賊の2人を襲う。


 結構ダメージを貰ったようで、1人が片膝を着いた。


「ちっ、子犬の割には意外にやるな」


「グルルルルルルッ!」


 デスタは2人をかばうように立ちふさがり、威嚇する。


 子供とは言え、フェンリルを倒せる程の実力はあるんだろうか?


「おっと、やるからにはこっちも忘れてもらっちゃ困るッスよ!」


 アイヴォリーは、腕をまくって機械の腕を晒す。


 そして、それを蛇のような軌道で伸ばし、賊の1人の喉を掴んだ。


「ぐえっ、こいつ」


「は、早く攫え! 俺たちのことはいい!」


「オリーブちゃん!」


 デスタが2人を相手にして、アイヴォリーが1人と戦っていると、残った1人がオリーブのところに駆けていった。


 3対4だから、必然的にこうなる。


「逃げるッス!」


 でも、オリーブは逃げるどころか不敵な笑みを浮かべていた。


 意味不明な自信か?


「どうして、名家の娘が冒険者に推薦されたかわかりますか?」


 実際、こうやって誘拐されようとしている。


 神殿だって、何も考えずに冒険者に推薦はしないだろう。


「わたくしには、守護天使様が付いているからです!」


 オリーブが胸に付いていたオーブを握ると、背後に光が立ち上る。


「何っ!?」


 眩しさに、男が立ち止まって目を覆う。


 そして、光が収まると、そこには、天使の形をした光のオーラが立っていた。


「くっ、なんだこれは」


 しかし、賊は諦めない。


 余程の報酬なのか、何か算段があるのか。


「シッ!」


 男がオーブ目がけてナイフを放つ。


 オーブを手放させれば、状況を打開できる可能性にかけたのか。


 しかし、光の天使はそのナイフを光の剣で弾き飛ばした。


 神々しさを感じる剣捌き、いや所作と言った方がいいか。


 そして、数歩、間合い詰めたオリーブが、ナイフを投げた男を悪夢で強打した。


「ぐふっ」


 男が地面にうずくまる。


 そこへ、守護天使様が追い打ちを掛けて男を倒す。


 こんなとっておきがあるとは思わなかった。


 オリーブの自信の源は、これだったんだ。


「んぐぶっ」


 アイヴォリーが掴んでいた賊が気絶する。


 デスタが賊の1人を仕留める。


 そして、残りは1人となった。


「さて、お楽しみの時間ッスよ」


「最早これまで」


 賊は短刀を抜くと、それを喉に突き立て自害しようとする。


「甘いッス!」


 でも、それを、アイヴォリーが機械の腕を伸ばしてはね除け、気絶させた。


 勝利だ。


 一瞬、沈黙が流れる。


 そして、デイジーがぺたんこ座りをした。


「はぁー、勝ったよぉ、デスタありがとうねぇ~」


「アオォン!」


「まぁ、わたくしにかかれば、こんなものですわね」


 アイヴォリーは勝利の余韻に浸ることなく賊を縛り上げていく。


 武器を取り上げ、隠し武器も探して地面に転がした。


「これは賊じゃないッスね」


「え、人さらいなんじゃ……」


「人さらいが仕事に失敗したって、自害なんかしないッスよ」


 確かにそうだ。


 どちらかと言えば、騎士や聖職者に近いのか?


「まぁ、また死のうとしても困るッスから、猿ぐつわを噛ますッスよ」


 賊の持っていた物も含めて、タオルを結ぶと猿ぐつわにしていく。


「でも、どうするんですか? 気絶した大人4人は運べないですよ」


「応援が来ないッスかね~」


 うん? なんか声がわざとらしかった。


 わたしが見てるの知ってる?


 サーリャだけかと思ったら、アイヴォリーも知ってたとは。


 仕方が無いなぁ。


 今日は出かけていなかった、ガブリーとメアリーとフランセスに果樹園の森に行ってもらった。



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