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第四十三話 貴族階級の悪魔


 ルルーナに同調すると、もう戦っている真っ最中だった。


「悪魔初めてー!」


 バトルジャンキーな勇者様の卵は、声が弾んでいる。


 悪魔は、かなり強い存在なんだけど人間と同じでピンキリだ。


 強い悪魔もいれば弱い悪魔もいる。


 でも、そんなのお構いなしにルルーナは剣と一緒に踊っていた。


 思わず、悪魔が怯んでしまうくらいにルルーナが強い。


「悪魔には光魔法が効くと助言します!」


 サーリャも戦っている。


 ママもエリシャも、悪魔を相手に十分な立ち回りだった。


「くそっ、やられた! 援護を頼む!」


「グラファスが下がるぞ! 穴を埋めろ!」


 でも、周りの冒険者達は、かなり苦戦しているようだ。


 たまに混じる戦士階級の悪魔が出て来ると、冒険者に被害が出るようだった。


 悪魔だからこのくらいの強さ、とは言えない難しさだ。


 レベルの高い悪魔もいれば、低い悪魔もいる。


「光魔法行くよ! シャインスパーク!」


 ルルーナがなぞった指のずっと先に、光の奔流が現れる。


 その光はルルーナの指先と連動しているようで、悪魔が避けようとしても、指を動かすと捕らえられた。


 そのまま一筆書きで、三体の悪魔を屠る。


「よし!」


「奥様!」


「……っ!?」


 ママが戦っている目の前に、大きな悪魔が現れた。


 巨体と言ってもいいくらいの大きさで、明らかに他の悪魔とは違う。


 戦士階級の悪魔と比べても、腕や胸板の厚さが違った。


 持っている禍々しい大きな剣は、間違いなくマジックアイテムだろう。


 これは、レベルが高そうだ。


 でも、ママなら……。


「ふっ、はっ!」


 悪魔の持つ剣を避けると、ママは無理をせずに下がる。


「大物よ! みんな離れて!」


「貴族階級です! 私がやります!」


 サーリャが突っ込んでいく。


 そのスピードはルルーナよりも速く、ママよりも鋭い。


「グヴァバルナ」


 悪魔が何かしゃべった。


 多分、近づくなとか去れとか、そんな意味だったと思う。


「なにっ!?」


 すると、悪魔に後一歩まで近づいていたサーリャが遠くに移動していた。


 悪魔の持つ大きな剣が明滅している。


 あの禍々しい剣の能力なのか、近づけないみたいだ。


 近づくと、遠くに瞬間移動させられてしまう。


 サーリャは手強いと認識したんだろう、いい目をしている。


 さすが貴族階級か。


 レベルだけじゃなくて、経験も場数も踏んでいそうだ。


「ば、爆発行きます!」


 みんながハッとした。


 エリシャの魔法体系は、普通の真名魔法と少し違う。


 その爆発の余波で仲間もダメージを喰らうことから、使う前に言えというルールが出来た強烈な爆発魔法だ。


 エリシャが爆発魔法を唱える。


 悪魔は耐えられるか。


「サーヤー!」


 エリシャの掛け声と共に、ものすごい爆発が起こる。


 衝撃と熱風で冒険者達が思わず顔を伏せた。


 でも、ちゃんと見えていると言うことは、ルルーナは顔を伏せていないと言うことだ。


「ガカーヴァラ!」


 悪魔は悲鳴と同時に、エリシャを遠くに移動させる。


 かなりの大ダメージを負ったようだ。


「光魔法よりも強いぃ、全属性魔法を喰らいなさぁい!」


 賢者のフランセスの魔法が完成した。


 あの爆発の中、集中力が切れなかったのはえらい。


「エレメンタルタナトス!」


 大きな悪魔の前に、虹色の巨人が現れる。


 そして、その巨人は間髪を入れずに悪魔を抱き締めると自爆した。


「ガカーヴァラ!」


 さっきも言ってたけど、これはチクショウとかクソッタレみたいな意味だ。


「隙あり」


 悪態をつく貴族階級の悪魔の背後に、サーリャがいた。


「っりゃーぁぁぁ!」


 いつの間に移動したのか、ルルーナも正面から斬りかかっている。


「グ、ヴァバル……」


 悪魔が剣の能力を使おうとした瞬間、背後のサーリャと前から斬りかかったルルーナに四分割された。


 多勢に無勢だ。


 貴族階級の悪魔がたくさんいたらピンチだったけど、銀の月の最強パーティーにひとりで立ち向かうのは無理があった。


 貴族階級の悪魔が消えると、周りの悪魔も消え去る。


 どうやら、逃げたようだ。


「ふぅ、なんなんだよ」


「くそ、悪魔が出るなんて聞いてねえぞ」


 冒険者達が、負傷者の治療や戦利品の確保に動く。


 命まで奪われた冒険者はいないようだ。


 地面に禍々しい剣が落ちている。


「ディーンエヴェンダー。人間の言葉ではないですね」


 サーリャは、拾った魔剣に書かれている悪魔の文字を読んだ。


「ディーンエヴェンダーだってよ、どんなアイテムなんだ?」


「悪魔のボスの剣だぞ、考えるだけでおぞましい」


 周りの冒険者達は興味深そうに。


 兵士達は忌避するように、話し合っていた。


「コットン様に鑑定してもらいましょう」


 でも、せっかくの、ダンジョン開放が台無しだ。


 領主様は頭を抱えているだろう。


 さて、どうなることやら。


 わたしは、ルルーナの同調を切った。



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