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第二十八話 新人冒険者


 街から、十二歳以上の子供が二十人集まった。


 と言っても、ほとんどは十二、三歳の子ばかりだ。


 それ以上になると、別の仕事をしているからだ。


 あんまりいっぱい来られても対応出来ないから、このくらいで良いのかも。


 ギルドの裏に訓練できる庭があるから、そこで鍛えることになった。


「じゃ、じゃあみんな、木の剣を持ってこっちに並んでー」


 鍛えるのは、もちろんママだ。


 剣の振り方だけじゃなく、魔法のことも教えられる。


 剣が合わない子もいるだろうし、魔法の才能がある子もいるだろう。


 槍だって斧だって弓だって、色々ある。


 そういうのは、ママが少しずつやっていくしかない。


「うーん」


 今から鍛えて、ダンジョンに入れるのは何ヶ月後か。


 元々の話として、ダンジョンの難易度が高くなったので、みんなが入れなくなったんだ。


 そう簡単に冒険者にはなれない。


 でも、その間、ママが動けないのは痛かった。


 ここは魔物作成行くか。


 冒険者の教官を作ろう。


 ベテラン冒険者のお爺ちゃんとか。


 なるべくオールラウンダーが良いかな。


「さて……<魔物作成>」


 武器と魔法、両方出来る人がいい。


 スカウトの技能とかもいいかな。


 年齢を上に設定すれば、レベルの高い人を作るのは苦じゃないだろう。


 じゃあ、スタート。


「ていっ!」


「うむっ!」


「はっ!」


 できた……。




【名 前】 ネジル

【年 齢】 68

【職 業】 魔法戦士(A)

【レベル】 74

【体 力】 E/E

【魔 力】 C/C

【信仰心】 C/C

【筋 力】 D/D

【生命力】 D/D

【素早さ】 E/E

【知 恵】 A/A

【幸 運】 B/B

【成長率】 E/E

【スキル】 剣技〈S〉、真名魔法(A)、女神魔法(A)、スカウト(B)

【因 果】 世捨て人、もう戦わない

【装備品】 サンダーアイ(S)

【気持ち】 技術を残したい




 男の人で女神魔法は珍しい。


 きっと、若い頃は美少年だったに違いない。


 上手く、剣と魔法とスカウトを持っている。


 ちょっと年齢が高すぎるかも知れないけど、長生きしてくれると信じて作成しよう。


 世捨て人だけど技術を残したいというのも、丁度いいかな。


 銀の月冒険者ギルドで後進を育てると付け加えておく。


 ……作成っと。


 ポイントはそれ程減らずに、15384だった。


 エリシャを作成したときに、ガクッと消費したのが辛い。


 でも、まぁ、まだ半分残っている。


 大丈夫だろう。


「はぁ……」


 さて、後は待つだけだ。


 すると、昼過ぎにお爺さんがギルドに入って来た。


 パッと見た目、ただ者ではない感じだ。


 義足なのかな? 片足が木の棒になっている。


 多分この人が教官だ。


 ちょっと飲みに来たお爺ちゃんという感じじゃない。


「お嬢さん、簡単な仕事はないかね」


 受付に来ると、渋い声でそう言った。


 身体に刻まれた年輪を感じる声だ。


「かなりレベルが高いとお見受けしますが」


「もう年でね、出来ることはたかが知れてる」


「それなら、良い仕事があるんですよ」


「どんな仕事かな?」


「街のわかい子に冒険のいろはを教えて欲しいんです」


「ほう」


 お爺さんは興味深そうに顎をさすった。


 そんな姿も様になる。


「適正もわからない子達ですので、色々出来る人がいいんですが」


「面白い、ちょっと見せてもらっても良いかね?」


「はい」


 ママが教えている裏庭に連れて行く。


 すると、二十人の子が等間隔に並んで剣を振っていた。


 ママがそれを、順番に見ている。


 適正を見ているのかな?


 お爺さんは子供たちの後ろに歩いて行くと、一番端の子についた。


 2、3振り。


 それをジッと見ている。


「ふむ、訓練次第かな」


 適正がわかるのか、お爺さんは隣の子に移動する。


「コットン?」


 ママがこっちにやってくる。


「ママ、この人が教官をしてくれるかも知れないの」


「そうなの?」


「ネジルと申します、老いぼれですが何かの役には立つかと」


「い、いえいえ、わたしはシルクと言います。この子の母親です」


「では、後ろの子はワシが見ましょう」


「お、お願いします」


 ふたりは意思疎通してやっている。


 レベルの高い達人同士、通じるものが有るのか無いのか。


 ここは、ママに任せよう。


 わたしは、ギルドの中に戻った。


 いいんじゃないかな?


 ちゃんとやってくれそう。


 しばらくすると、ネジルさんが戻ってきた。


「仕事の話、受けよう」


「ありがとうございます、では、報酬のお話ですが……」


「いくらでもいい、飯とベッド代をタダにしてくれ」


 おお、格好いい。


「わかりました、ではそうします」


 ネジルさんは、また裏庭の方に歩いて行った。


 ふぁ~。


 何ヶ月後かには、二十人も冒険者が増える!


 街の人も喜ぶし、良いことずくめだ。


 成功すれば、また新人がくるかも。


 そうすれば、どんどんギルドが大きくなっていく!


「もし」


「あ、はい、すみません」


 ちょっと、妄想に耽ってしまった。


 受付の椅子に座り直して、目の前の人を見る。


「?」


 格好からして、神殿の人みたいだった。


 なんの用事だろう?


「私は、神殿から来た者ですが、ここで街の若い人が冒険者の訓練をしていると聞きまして」


「はい、そうですが……」


「それでしたら、神殿からも若い人を人を出したいのですが」


「か、歓迎です!」


「冒険のいろはや、社会勉強をさせてください」


「はい、はい!」


 すごい、神官も来た!


 ネジルさんは女神魔法も使えるから、教えられるだろう。


 地味に、少しずつ、ギルド成長の種をまいているようで、わたしは嬉しかった。


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