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第二十七話 街の変化


 その日はそのまま、夕方近くになった。


 今朝、ママが孤児院の子を集団で連れて行ったけど、どうなってるだろう。


 サーリャもルルーナもいるし、大丈夫だとは思うけど……心配だな。


「ただいまー」


「ママ!」


 少し早めだろうか、集団が帰ってきた。


 みんなキラキラした顔をしている。


 何もなかったみたいだ。


 良かった。


「さあ、手を洗ってきて?」


「はーい」


 トイレには手洗い場が設置されている。


 病気とかにならないように、手洗いは推奨されていた。


 小さな子たちが、ママに集まっている。


 みんなママが恋しいんだろう。


 わたしは、我慢我慢。


「じゃあ、薬草を採ってきた子は並んでくださーい」


 わたしは鑑定を始める。


 薬草自体は、いつもと同じなので戸惑うところはない。


「じゃあ、君は銅貨24枚ですね、お疲れさま」


「ありがとう!」


「はい、次の人」


 二十人からの薬草を鑑定して、報酬を支払っていると一時間弱はかかる。


 ちょっと早めに帰ってきてもらって、冒険者の人と時間が被らないようにしてもらうのが良さそうだった。


 それにしても、みんなちゃんと採ってきている。


 小さな子でも、覚えやすい薬草は採れるようだ。


 依頼を受けている十種類の薬草をすぐは覚えられないだろうけど、時間をかければ覚えられるだろう。


 そして、採取に慣れてきたらエレンさんと行動して、もっと違う物も採取できるようになるかも知れない。


 未来は明るかった。


 でも、銅貨の消費が思った以上に早い。


 パパに言って、銅貨をたくさん両替してきてもらわないと。


 孤児院の子達は、みんなホクホク顔で帰って行った。


「明日もよろしくねー」


 明日は、ママのサポート無しだ。


 本番とも言えるだろう。


 そして、受付が混み合う前にエレンさんが帰ってきた。


 9人の孤児院の子も一緒だ。


「鉱石を採ってきたぜ」


「おつかれさまです」


「あと、練金素材になりそうな物も色々とある」


 ジオライト、妖精石、黄銅、レンズ石。


 はちみつ、ロックバードの羽根、トカゲの卵。


「鉱石は、もっと色々な種類が採れそうですか?」


「今日見た限りだと、まだまだありそうだな」


 まだ様子見かな。


 採れない物は買うしかない。


 それでも、薬草の倍くらいの値段にはなった。


「こっちも積極的にいくぜ」


「うん、頑張ってね」


 そこからは、冒険者の人が帰ってきて大忙しとなった。


 まぁ、朝と夕方が1番混み合うから、他の時間が暇なんだけど。


 そして、冒険者の清算があらかた終わった辺りで、中年の男の人がギルドに入って来た。


 お酒を飲みに来たのかな?


「もし、クロースさんはいるかい?」


 クロースはおばあちゃんの名前だ。


「はい、少し待ってください」


 わたしは、おばあちゃんを呼びに行く。


「おばあちゃん、街の人が来たよ」


「なんだろうね」


 受付に戻るとおじさんが椅子に座っている。


「呼んできました」


「ありがとう」


 おばあちゃんもやってくる。


「なんだい、こんな夜に」


「クロースさん、ちょっと話をいいかい?」


「手短に頼むよ」


「門番に聞いたんだが、孤児院の子を使って商売をしているのかい?」


 え? 問題になってる?


 今日は特別多く門を通ったから、目立ってしまったのかな。


「そうさ、できる範囲でね」


「そうか、それなら、街の子も働きたい子がいるんだが」


 そう来たか。


 でも、さすがにこれ以上採取を増やすのもどうかと思う。


 子供だけで、あまり森の奥にもいけないだろうし……。


「そうさね、なら十二歳以上の子は見習い冒険者として雇ってもいいよ」


「できるかい?」


「頑張り次第だね、でも、ちゃんと剣を振れるように訓練をさせるけどね」


「わかった、ありがたい、みんな苦しいんだ」


「そうさね、ポーションと食糧は兵隊に売れるからね、そこで儲けながらみんなに還元していくしかないだろうね」


「じゃあ、ダンジョンで狩りをする感じかい?」


「ひよっこをダンジョンにはやれないよ、ちゃんと戦えるようになるまで、何ヶ月かかかるだろうね」


「ああ、それでもかまわない、手をこまねいているよりはいい」


 若い人は、冒険者じゃなくて兵隊とか傭兵になる。


 そして、簡単に命を落としてしまうんだ。


 でも、手っ取り早く稼ぐには兵隊になるのが1番良かった。


 こんな世の中を変えなくちゃいけない。


 ダンジョンマスターとして、色々な人がダンジョンで稼げる場所にしなくちゃ。


 ちょっと、話が大きくなってきたけど、気持ちも新たに、わたしはそう思った。


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