表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

12/52

第十二話 鑑定の時間


「これは、ゴブリンジェネラルの勲章ですね、☆みっつですから、結構な大物だったと思いますよ」


「へー、そんなものがあるんだ」


 ルルーナが串焼き肉を食べながら感心している。


 街で買って来たんだろう。


 わたしが作成したモンスターということは、7年以上生きていたわけだから、ランクも上がってたはずだ。


 希に、わたしが作成したモンスターの子孫ということもあるが、その場合は半分だけポイントが入る。


「コットンちゃんすごいですねぇ、私では鑑定できなかったのにぃ」


「一応、プロですから!」


 みんな微笑ましい顔で見ているけれども、ゴブリンジェネラルの勲章は国が高値で買い取ってくれる。


 後で金額を聞いて驚くだろう。


「こっちの宝物は、重い武器を持てるパワーハンドが高そうです」


「コットン、良く覚えたわね」


 ママもびっくりしている。


「本をたくさん読んだんだよ!」


 それから細々とアイテムを鑑定していき、お値段となった。


「合計の査定は……おばあちゃんじゃないと出せません!」


「そうなのー?」


「何となくはわかるんですけど、市場の価値は毎日変わるので、わたしはまだ出しちゃいけないことになってるんです」


「コットンちゃんもかー、僕も早く一人前になりたいなー」


「アイテムはお預かりしますので、ゆっくり休んでください」


 みんな酒場の方に向かう。


 これはまとめて、おばあちゃんに査定してもらおう。


「どれ、コットン、見せてみな」


「おばあちゃん!」


 奥から出て来たおばあちゃんは、アイテムを鑑定していく。


 普段は付けていない眼鏡だけど、鑑定の時だけは付けていた。


 マジックアイテムかな?


 鑑定が出来る眼鏡なんて聞いたことがないけれども。


「コットン、全部でいくらだい?」


「金貨21枚と銀貨30枚くらい!」


「くらいってなんだい、ハッキリおし」


「じゃあ金貨21枚と銀貨34枚!」


 おばあちゃんが眼鏡を外す。


「ま、今日のところは合格にしてやろうかね」


「やったー!」


「本当にオマエは物覚えが良いね」


 ギルドの取り分は二割だ。


 その代わり、売る手間とか省けるし詐欺にも引っかからない。


 自分達で使いたい物や売りたい物なんかは、ギルドに渡さなくても良かった。


「さあ、晩ご飯にしよう」


「うん!」


 おばあちゃんとみんなのところに行く。


 今日の仕事はこれで終わりみたいだった。






 ご飯を食べて、みんなが部屋に戻ったりお酒を飲んだりしていると、わたしに話し掛けてくる人がいた。


「コットン様は、女神様とどういう関係なのですか?」


 ミックスさんのパーティーの神官さんだ。


 というか、この神官さんがリーダーなんだよね。


 コールゴッドで女神様がわたしと話をしたから、気になっているのかな?


「わたしが生まれる前に会ったような気がするんです」


「生まれる前?」


「はい、まだ生まれてないときにです」


 本当のことを話すのは気が引けたので、曖昧に答えておく。


 元ダンジョンマスターがいるなんて知られたら、何が起こるかわからない。


「それはすごい、コットン様はきっと何事かを為す方なのでしょう」


「そんなことはないと思いますよ、きっと神様の気まぐれです」


「そんなことないのよぉ」


 ちょっと酔っぱらったママがやってきて、わたしを後ろから抱きしめた。


 お酒臭い。


「コットンが生まれる前にね、女神様の使いだという人がやってきたのぉ」


 ほう。


 そんなことがあったんだ。


「その人が、生まれてくる子供を大切にしなさいって言ってたのよぉ」


「それは、どこの方ですか? 女神様の使いとは……」


「王宮の顧問をしている人で、ベガラヤさんという人よぉ」


 王宮の顧問って、知恵袋みたいな人なのかな?


 役職にはないけれど、王様から助言を求められるとか。


「おお、ベガラヤ様は神殿の最高司祭様とも縁のある方。きっと女神様のお告げがあったのでしょう」


「だからねぇ、組合から追い出されたときに、コットンを表に出そうっておばあちゃんが言ったのよぉ」


 そうだったのか。


 わたしは、早く働けて嬉しいけど。


「わたしのことはいいです、今は何か困っていることはありませんか?」


「困っていることですか……そうですね、赤い風は今日の村の件で大分怒られたみたいですよ」


「怒られる? 国からですか?」


「ここの領主様から怒られたようです」


 酷いことをしようとしていたみたいだけど、事実だったんだね。


「クエストを独り占めしているからこんなことになるということで、今度こちらにもクエストが回って来るようです」


 お、クエスト再開だ。


「そうなんですね、ちょっと楽しみです」


「あと、コックさんたちは、親方が欲しいみたいねぇ、みんな若いから」


「うん、やっぱりそれだよね」


 お客さんも、もっと欲しいだろう。


 ウエイトレスさんも暇そうにしていることが多いし。


「赤い風から、冒険者を引き抜くにはどうすればいいですかね?」


「お酒と料理が美味しいとなれば、来る人間もいるでしょう」


 それもあるか。


 やっぱり料理長は探すか作るかした方が良さそうだ。


「あとは、赤い風は依頼を断る傾向にありますね」


「そうなんですか?」


「だから、薬草の採取や護衛など、幅広く依頼を募集すれば、ダンジョンに行きたくない冒険者にはアピールになるかと」


 ちょっと疑問があるんだけど……。


「ダンジョンに行きたくない冒険者がいるんですか?」


 なんと不届きな。


 冒険者とダンジョンは切っても切れない関係だというのに。


「ダンジョンは危険ですからね、依頼がたくさんあればそちらを優先したいパーティーはいると思いますよ」


「むぅ」


 なるほど、やってみようか。


 取りあえず眠くなってきたので、わたしは部屋に戻った。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ