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第十一話 依頼遂行


 6人が出かけて三時間くらい経った。


 ギルドの中は、コックさんたちが働いているだけでガラガラだ。


 お昼ご飯の時間になれば、外からもお客さんはやってくるけど。


 さて、ルルーナに同調しよう。


「ほっ」


 ルルーナの視界には建物が映っていた。


 どうやら村には到着しているらしい。


「おらがゴブリンを見たのは北東の方角だ。森を歩いて一時間くらいのところで獲物の鹿を横取りされただ」


 村の猟師だろうか。


 聞き込みをしているようだ。


「あ、あの、それで……ゴブリンは何匹くらいいましたか?」


「おらが見たときは5匹いただ」


「5匹じゃすぐに終わっちゃうね」


 ルルーナがのんきなことを言う。


「油断は大敵デス」


「ご、ゴブリンは群れを作っていることが多いから、大きなコロニーだと厄介よ?」


「でもぉ、ゴブリンですしねぇ」


「戦えばわかると忠告します」


 ルルーナとフランセスは甘く見ているようだ。


 でも、ベテランの人達は油断していない。


「背格好の違うゴブリンはいましたか?」


 メアリーがそう尋ねる。


 機械兵を初めて見るのか、漁師さんはちょっと驚いた顔をしていた。


「いや、みんな背が低くて深緑色だっただよ?」


「上位種は確認できず、いると思って行動しましょう」


 そのまま6人は村を出て、森の中を進んでいく。


 ゴブリンと遭遇したのは一時間ほど歩いたところらしいけど、ダンジョンは近くにあるのかどうか。


「戦っている音が聞こえますね」


 一番始めに気が付いたのはメアリーだった。


 81レベルは伊達じゃない。


「すっごーい、なんにも聞こえないよぉ?」


 フランセスがメアリーを興味津々で見ている。


「め、メアリー、案内して?」


「わかりました」


 ママが素早く指示すると、メアリーが先頭で小走りに進んでいく。


 フランセスは割と必死になって着いていく感じだ。


 ルルーナは余裕そうだけど。


「聞こえるね」


 誰の耳にも戦っている音が聞こえるようになると、ママが抜剣する。


 みんなもすぐに臨戦状態になった。


「ひぃ、ひぃ、はひぃ、速いですわぁ」


 フランセスだけは、着いていくのでやっとっぽいが。


「見えた!」


 そこには、3人の冒険者とゴブリン10匹くらいが戦っている光景が広がっていた。


 1匹は身体が明らかに大きく、普通のゴブリンではない上位種だ。


 冒険者達はその上位種に苦戦している。


 あれはゴブリンジェネラルだ。


 元ダンジョンマスターのわたしにはわかる。


 ゴブリンジェネラルはかなり大きな群れを率いていることが多い。


 冒険者はベテランといった感じだけど、3人とも軽装だ。


 スカウトか軽戦士か。


 ゴブリンジェネラルの大きな斧が冒険者に振り下ろされる。


「させヌ」


 そこに飛び込んで入ったのはガブリーだった。


 ジェネラルの一撃を不可視の盾で受け止めている。


「牽制します!」


 メアリーが遠距離から、ガトリングクロスボウを撃ち尽くす。


「ぐわあああぁぁぁあっ!」


 ゴブリンジェネラルが苦悶の叫びを上げていた。


 ジェネラルはかなりのダメージを負っている。


 その隙に、ママとサーリャが周りのゴブリンを駆逐していった。


「い、いきますわよぉ! <レインボーストラトスフィア>!」


 全属性魔法の、定番高威力低コスト魔法だ。


 12レベルでこれが使えるとは、賢者様見直した。


 ジェネラルもゴブリンも大ダメージを負っている。


「きゅうぅ」


 でも、フランセスはMP切れで倒れていた。


 一発でMP切れか。


 グッジョブ、レベル上げてね。


 そしてゴブリンジェネラルは瀕死になって、凶暴状態になる。


 こうならないように一撃で倒したかった。


「僕の出番でしょうっ!」


 ルルーナが突っ込んでいく。


 そしてSSS宝剣を振り下ろした。


「ぐっ、があああぁぁぁ」


 ジェネラルが真っ二つになって倒れる。


 強い、このパーティー強い!


 そのとき、わたしの魔物作成ポイントが一気に増えた。


「おおっ!?」


 ポイントは、25862だ。


 どうやら、このゴブリンジェネラルはわたしが作ったモンスターだったらしい。


 わたしが作ったモンスターが死ねば、ポイントは返ってくる。


 雑魚モンスターだと、7年間生きていることは少ないだろうけど、ボスだと割と生きていそうだった。


 そして、残りのゴブリンも瞬く間に倒される。


「あ、あなたたち、赤い風の冒険者よね? そうよね?」


「依頼は、断ったんじゃないの?」


「うるせえ、帰るぞ」


 3人は助けてもらった感謝も言わずにその場を立ち去る。


 ベテランだけど、スカウトっぽいのが3人という変なパーティだ。


 ダンジョンがあるか確認に来たとか?


「妙なパーティーだと疑問を呈します」


 ゴブリンジェネラルのドロップ品を漁りながらサーリャが言う。


「おおかたぁ、村に被害が出るまで放っておくつもりだったんでしょうねぇ」


「クエストが出るまでデスか」


「その前にぃ、ダンジョンの有無は確認したかったのかなぁと」


 フランセスは少し知恵が回るようだ。


 さすが賢者様。


「酷い、村に被害が出るのを待つなんて」


 ルルーナは正義感が強い。


 赤い風が益々嫌いになってそうだ。


「ジェネラルの足跡があります」


 サーリャとメアリーが足跡を調べていた。


 10匹のゴブリンの足跡も簡単に追えるだろう。


「じゃ、じゃあ、行きましょう、みんな気をつけてね?」


 足跡のある方向に歩いて行くとダンジョンがあった。


 自然の洞窟のような見た目だ。


 でも、入口に見張りのゴブリンがいる。


「もう1匹いるとは思えないですけどぉ」


 ジェネラルのことだろうか?


 フランセスがポーションを飲む。


「ゴブリンなら強行突破を提案します」


「そ、そうね、ふたりの教育には悪いけど」


「では、ワレが」


 ガブリーが先頭で突っ込んでいく。


「ンギャっ!?」


 見張りのゴブリンが笛を吹いた。


 そのままガブリーに一撃で倒される。


「さ、さあ、入口前を固めるのよ、出て来るゴブリンを倒しつづけるの」


 ダンジョン前で待ち伏せる作戦か。


「い、いっぱい押し寄せてくるから、燃費良く戦うのよ?」


 そこからは単なる虐殺だった。


 どんどん出てくるゴブリンを、どんどん倒していく。


 たまにホブゴブリンやゴブリンシャーマンなどもいるが、あまり脅威にはならなかった。


 ゴブリンが途切れると、ガブリーがゴブリンの死体を遠くに放り投げていく。


 そんなことを繰り返しているうちに、ダンジョンは静かになっていた。


「ふぁー、100匹は倒したね」


「まだ終わってマセン」


 ママとフランセスがライトの魔法を唱える。


「さ、さあ、中に残っているゴブリンを倒すわよ」


 ダンジョンの中に入っていく。


 見た目は自然の洞窟だ。


 散発的に襲ってくるゴブリンを殲滅していく。


 手前の位置から細大漏らさず、逃さないように全部だ。


 ダンジョンの一番奥に椅子があった。


 ジェネラルが座っていたのか。


 そして、その奥に宝物があった。


 今のダンジョンマスターが好みそうな配置だ。


「更に奥に繋がっていますわねぇ」


 街のダンジョンとも繋がっているんだろう。


 基本的に入口が違うだけで、ダンジョンは全て繋がっている。


 遠い異国の地にあるダンジョンも、繋がっているのだ。


 まぁ、小さなダンジョンはその限りではないけど。


「き、今日は、ここまでで帰りましょう」


 ゴブリンの殲滅は終わったので、依頼完了だ。


 村に依頼達成を報告して、6人は帰った。


 ここでわたしは、同調を切る。


 うーん、良いパーティーだ。


 冒険者のコレクション的な楽しみを覚えつつ、わたしはお昼にした。


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