第二章
息子にジャスパーと名付けたのは、洗礼式の日のことだった。真新しいおくるみに包まれた息子は、私に抱かれて教会に入るとたちまち火がついたように泣き出した。粛々と進められる儀式の間中ずっと、ジャスパーは黙らなかった。元気が良い子供だと司祭は笑って許してくれたが、心の中では相当苛立っていたことだろう。
ジャスパーは早熟な子だ。まだ一歳にならないうちから歩き始め、雄弁にしゃべった。ミルクにすぐ飽きて、パンやおかゆを旺盛にほしがった。外で遊ぶのが何よりも好きだった。天気の良い日はいつまでも庭に出て虫や草花と遊び、私達が買った玩具や絵本には見向きもしなかった。私達が止めなければ、庭を出て小さな足でどこまでも歩き、家の裏にある深い森にまで入っていこうとした。雨の日も外に出たがり、私達が叱るとかんしゃくを起こした。幼稚園に上がっても、他の子供達と交わらず、孤独に土遊びや虫捕りを続けていた。
赤ん坊の頃から見せていた旺盛な食欲は年々増しており、十三歳になった今では毎朝ホットケーキを十枚、オートミールを五皿、ゆで卵を六つ、ミルクをグラスに十五杯ほど軽く平らげる。昼食にもたせる弁当は量が足りなくて、午後の授業中絶えずジャスパーの腹の音が教室を脅かしているらしい。そして夕食には、ジャガイモを五個分、豚肉であれば三百グラム……ソフィーは毎日食材の買い出しに大わらわだ。
だが、大食いであることや、外遊びが好きだったことなど、ほんの可愛いものであることを私とソフィーは思い知った。