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浦川 日歌里ノウラジュウニシ【side:U】

もてあました熱をみやげに

作者: 歌川 詩季

 熱くなります。

 わざわざ(みぞ)を空けといてくれたからには

 おれは 招かれざる客ってわけでもないんだろう

 くるくるの風車が

 おいでおいでしてくれるくらいだから

 歓迎されてすらいるんだろうさ


 みやげひとつ もってこないどころか

 長居するつもりもないおれだけど

 こんなふうに招き入れてもらえるとは

 ちょっと気分がいいもんだよな


 こんなおれの訪問に あんたは

 火照(ほて)った あたまだか

 脈うつ 心臓だか

 (きし)みあげる 筋骨だかのせいで

 その身にもてあました熱を

 いくらか さましてみせるんだ



 みやげどころか

 気のきいたことばひとつもかけてやれないおれに

 それにはおよばないと あんたは

 おれのみじかい訪問へ


 逆に そっちからのみやげとばかりに

 あんたがもてあました熱を

 おれにもって帰らせる


 それでも あんたはまた

 あたまを火照(ほて)らせて

 心臓を脈うたせて

 筋骨を(きし)ませて

 その身に熱をもてあましちまうだろうな



 だからおれは

 長居すべきじゃないってわかってるし

 みやげにわたされた あんたの熱を

 どっかに置いてきたら またくるぜ


 くるくるの風車が

 おいでおいでしてくれるうちは

 あつかましくも つぎのみやげをもらいに

 おじゃまさせてもらおう

 逆に こっちからは みやげひとつもなしに

 手ぶらのまま 長居する気もなく

 おじゃまさせてもらうおう


 あんたが その身にもてあました熱を

 おれが いくらかさましてやれるうちは


 おれのみじかい訪問を

 あんたが歓迎してくれるうちは



 あんたに吹きこんで熱をさましてやる

 そんな冷却風(かぜ)こそがおれの役目だから

 これからも えんりょなく

 おじゃまさせてもらうことにする

 冷却ファンの音が大きいと、心配になります(汗)


挿絵(By みてみん)


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【同一課題作品】
ずっと
作者:日浦海里先生
― 新着の感想 ―
[良い点]  「おれ」は誰かと思ったら……!  なのに、なぜか艶っぽく感じてしまいました。  そういう見方もあるのですね♪  捉え方が面白いと思いました。
[良い点] おとなカッコイイ世界♪ 風車と筋骨軋むの表現が好きです♪
[一言] 回転する風車は手招きで 望んで招かれているから 互いに望む関係性だけど 回転する歯車を 強引に招き入れる姿と捉えたら また違った詩になりそうですね
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