もてあました熱をみやげに
熱くなります。
わざわざ溝を空けといてくれたからには
おれは 招かれざる客ってわけでもないんだろう
くるくるの風車が
おいでおいでしてくれるくらいだから
歓迎されてすらいるんだろうさ
みやげひとつ もってこないどころか
長居するつもりもないおれだけど
こんなふうに招き入れてもらえるとは
ちょっと気分がいいもんだよな
こんなおれの訪問に あんたは
火照った あたまだか
脈うつ 心臓だか
軋みあげる 筋骨だかのせいで
その身にもてあました熱を
いくらか さましてみせるんだ
みやげどころか
気のきいたことばひとつもかけてやれないおれに
それにはおよばないと あんたは
おれのみじかい訪問へ
逆に そっちからのみやげとばかりに
あんたがもてあました熱を
おれにもって帰らせる
それでも あんたはまた
あたまを火照らせて
心臓を脈うたせて
筋骨を軋ませて
その身に熱をもてあましちまうだろうな
だからおれは
長居すべきじゃないってわかってるし
みやげにわたされた あんたの熱を
どっかに置いてきたら またくるぜ
くるくるの風車が
おいでおいでしてくれるうちは
あつかましくも つぎのみやげをもらいに
おじゃまさせてもらおう
逆に こっちからは みやげひとつもなしに
手ぶらのまま 長居する気もなく
おじゃまさせてもらうおう
あんたが その身にもてあました熱を
おれが いくらかさましてやれるうちは
おれのみじかい訪問を
あんたが歓迎してくれるうちは
あんたに吹きこんで熱をさましてやる
そんな冷却風こそがおれの役目だから
これからも えんりょなく
おじゃまさせてもらうことにする