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葛藤〜リアルタイムの殺人部屋へようこそ〜 第7章

ガタンッという大きな音に悠はハッと頭をあげた。

「何?何があった?」

悠は音のした部屋に駆けつけた。綺麗に並んでいた椅子が倒れ、真綾が頭をおさえてしゃがみこんでいた。

「誠人が真綾を突き飛ばしたの」

胡桃は誠人を睨みつけるような目で見つめた。

「私たちをここに連れてきた犯人は誠人だった」

真綾は胡桃に支えられながらヨロヨロと立ち上がって言った。

「そうなのか?誠人」


誠人は狂ったように笑いだした。

「そうだよ。お前らの怯えてる顔、わかったような顔して自信満々に間違った考察して、無駄死にして、面白かったよ。まぁ、僕の正体バレるのは想定外だったけどね」

「なんで、そんなこと……」


「なんで?そんなの決まってるじゃん。この世の中、権力を持った者が全てを支配できる。僕達子供は大人の勝手な都合で壊される。権力がないからな。だから僕は僕の作った世の中で僕の決めたルールに従わせる。最高だったよ


菜緒の言っていた兄っていうのは僕のことだよ。僕らは大人の都合で離れ離れにされた。ババアが新しい男作って僕だけ連れて家を出た。それから僕の生活は変わった。毎日、何度も何度も殴られては、ババアは男が怖くて助けようともしない。僕は権力を得るためにこの計画を立てた。


このゲームをしたのは今回で3回目。僕が告発されても死ななかったら僕の正体がバレるからね。ちゃんと僕も銃殺されるように設定した。なのに、使われることは1度もなかったよ。恨むなら僕を殺さないで死んでったあいつらを恨めよ?菜緒を連れてきちゃったのも、僕の正体バレたのも想定外。失敗したなぁ」


「今夜、お前のこと殺してやる」

悠はギュッと拳に力を入れた。


「なあ、真綾。俺、誠人が殺人犯だと思うんだ。昨日告発されても死なないのわかってるから嘘ついて混乱させたと思う」

胡桃は黙って目を見開いた。

「わかった。私、誠人を殺人犯で、凶器はナイフで告発する」

「ありがとう。念の為、俺は昨日までみたいに普通に告発するよ」

真綾は勝利を確信したかのような笑顔を見せてうなづいた。


「あれ、そういえば胡桃ちゃんは?」

しばらく経って真綾はふと疑問に思った。

「胡桃は逃亡犯で告発できないらしい。俺にはそう言ってた。でも、疑いたくないけど、嘘かもしれないから、俺も誠人を告発する」

胡桃の代わりに悠が答えた。胡桃は何が何だか分からないというかのように悠を見つめていた。


午後9時になった。

「俺は誠人を告発する」

「誠人は殺人犯で凶器はナイフ。私はこれで告発する」

悠と真綾は真っ直ぐと誠人を見ていった。


「ごめん、真綾。俺も、後を追うから」

その瞬間、真綾は騙されていた事に気づいた。

「…そんなっ…!!」

昨日や一昨日よりも大きな銃声が鳴り響いた。真綾と悠は左胸から血を流して倒れた。


「胡桃。夜、俺の事殺していいよ。それで胡桃は生き残る」

悠は胡桃に振り返り、ゆっくりと言った。

「そんなこと、する訳ないでじゃん」

胡桃は大粒の涙を流しながら続けた。

「私がヤンキーに絡まれて殴られそうになった時、悠くんが助けてくれた。今回も悠くんが庇ってくれた。悠くんは私の命の恩人だよ。2回も私の事守ってくれてありがとう」

胡桃は悠に抱きついた。

「悠くん、好きだよ」

「俺も、胡桃のこと大好き」

2人はいつまでも抱き合っていた。




ーー3年後ーー

『東京都高校生集団失踪事件で失踪した高校生8人の遺体が発見されました』

平日の昼下がり、速報としてワイドショーで取り上げられた。

『同じ時間帯に失踪して、同じ場所で発見された彼らは死因がバラバラで警察の捜査は難航しているそうです。ここで亡くなった高校生の名前を読み上げます。


泉誠人君18歳。雲井真帆さん17歳。関口亮君17歳。成田真綾さん17歳。この4名は射殺されたと見られています。

浅井菜緒さん16歳。西園寺慎也君18歳。この2名は

刃物で腹部を刺されたことによる出血性ショックで亡くなったと見られています。

内田胡桃さん16歳。桐島悠君17歳。この2名の胃は空っぽで餓死したと見られています。


とても凄惨な現場だそうです。被害者の皆様のご冥福をお祈りします』


『では、次のニュースです』


何も無かったかのように街は流れていた。


まとめ


村人……真綾(最終日、告発を誤って死亡)、悠(胡桃と死ぬことを選び、餓死)、慎也(2日目の夜、胡桃に刺され死亡)

記者……真帆(2日目、告発を誤って死亡)

客人……菜緒(初夜、胡桃に刺され死亡)


殺人犯……胡桃(生きるよりも悠と死ぬことを選び、餓死)

愉快犯……誠人(最終日、告発されて死亡)

逃亡犯……亮 (初日、告発されて死亡)

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