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魔素を集中しながらなかなか思うように出来ず首を捻るカレナちゃん。その時、家のドアが開かれ男の子が入って来た。
「先生こんにち……あ、また一人で先に授業受けてる! それはずるいよ!」
そう言って眉間にしわを寄せている眼鏡を掛けた黒髪短髪の男の子、≪ラウル君≫。十三才とカレナちゃんよりは二つ上だけど、それでもカレナちゃんよりほんの少し大きいぐらいの身長で、いつも大きなカバンを肩に掛けている。
「僕達だって全然魔術教わってないのに!」
そう言うラウル君にカレナちゃんも対抗する。
「えー、でも学校ではもう教わってるでしょー?」
「学校の魔術と先生の魔術は違うじゃないか!」
そろそろ止めておこう。この件に関しては私が悪いのだから止めるのは当たり前なんだけどね。
「大丈夫だよ、まだ本格的に教えてないし、それにいよいよ今日から魔術をみんなに教えていくから」
「え、ホント!?」
嬉しそうな顔になるラウル君。ほっ、よかった落ち着いてくれたみたい。これも説明すると、カレナちゃんの年齢だとまだ学校では魔術の実技をやらないみたいで魔術学しか受けてなかったらしい。ラウル君は今年進学してようやく学校で魔術の 実技が始まったみたい。
でも今年から学校の規定?が変わったみたいで魔術の実技を習い始める学年が早まるようになって、カレナちゃんの学年からになったと本人から聞いた。
なので私もそれに合わせて今日から本格的に教えようと思っていた。ほらだって、学校で実技やってないのにカレナちゃんがバンバン魔術使えて同学年より先進んでたらおかしいでしょ? と思うんだけどそんなこともないのかな?