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カレナちゃんが言っていた魔素の量が上手くいかないということ。ざっくり説明するとその魔術を発動する為に必要な魔素は多くても少なくてもいけない。
多ければ魔術をコントロールすることが出来ず、少なければ勿論発動すらしない。
私は、ぷかぷかと浮く食器とそれをゴシゴシと洗うブラシという異様な光景にも見えるキッチンの前にカレナちゃんを連れてきた。
「ゆっくりでいいからやってみて、カレナちゃん」
「うん!」
元気よく頷くとカレナちゃんは右手を前に伸ばし集中し始める。
ちょっと足りないかな、ヒントも無しにここまで惜しいというのも凄いんだけれど。相変わらずカレナちゃんの魔術の素質は凄い。
「どう? 先生」
「ちょっと少なめ、前に多く集中して失敗しちゃった?」
そう言うとカレナちゃんは苦笑いだ。
「部屋の色んなぬいぐるみが一斉に浮かんで大変だったの」
テヘヘと笑うカレナちゃん。一度多めに魔素を集中して魔術を暴走させてしまうと、思いきりが無くなり少なくなりがちなのはよくあること。
「あー、それはちょっとホラーだね」
「うん、すっごく怖かった……」
私も怖いよ、そんな状況。