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「うぅ……やばいなぁ!」
駆け足で急ぐ私。私の家までは本来のルート、つまり人が行き来する道なりに進むと大きく迂回しながら山を下りて隣の森に入るのだけど、寝坊して授業に遅れるという失態を犯さない為に、木の枝を振り払いながら獣道を通ってる。
山頂から私の家までは、普通に歩いたらニ十分はかかるところをショートカットと駆け足で五分足らずで着いた。
この森の丈夫な木を使って建てた木造の二階建ての家。森の中の少し開けた場所に建てたからか、陽が射して神秘的に見えて私はこの家が凄い気に入ってる。
まぁ、建てたのは私の先生なんだけど。
「あ!ララ先生!」
家のドアの前で見慣れた生徒の姿。ああ、しまった。やはりカレナちゃんの方が早く着いていた。私の名前は≪ララシリア≫だけど、生徒からはララ先生兄弟弟子からはララと呼ばれることが多い。
「はぁ!……はぁ!……カレナちゃん、相変わらず早いね」
「学校が終わったらすぐ来てるもん!」
ニカッと笑いながらそう言う女の子の名前は≪カレナ≫ちゃん。長い黒髪を片方のサイドに纏めていて可愛らしい容姿をしている。
ちなみに今は十一才だったかな。
「先生もしかして、また 寝てた?」
「また?え、先生そんないつも寝てるイメージ?」
「うーん……うん!」
そっかぁ……まぁ確かに寝坊は初めてではないけれど……うーん、ちょっとショックです。
カレナちゃんは学校が終わったらと言っていたけれど、私の生徒達はみんな昼間は学校に行っていて、授業が終わったら週三で私の家に魔術の勉強をしに来る。
私が魔術を教える理由や、この子達との出会いについてはまた今度の機会に。