70 狐の茶屋いり
用語解説
『古都』
妖異界最大の都。
集落がいくつか点在している程度の妖異界において、ただひとつ碁盤の目のように区画整理された都市。
都の支配者として大妖怪『九尾』が君臨し、その下で妖狐一族が取り仕切っている。
多くの妖怪が棲み、また出入りしているが、すべてが『九尾』の配下というわけではない。
妖異界にただひとつ、人間の店主が営む茶屋 《カフェまよい》。
梅雨はまだ明けることを知らず、不安定な天候が続いていた。
「あら、また降ってきたのね。今日はひさしぶりに晴れたとおもってたのに。」
真宵が窓の外を見ると、パラパラと雨が降り出していた。
空は比較的明るく太陽がのぞいているので、本降りにはならなそうだが油断はできない。
妖異界には、天気予報も気象衛星もないのだ。
「天気に文句を言ってもしかたあるまい。どうせ、後、十日かそこらもすれば、梅雨明けして、今度は暑くなるんじゃ。」
接客を手伝ってくれていた座敷わらしが、いつの間にか隣に立っていた。
座敷わらしに限らず、妖怪たちはあまり天気のことは気にしない。
気にしないというか、雨で外に出るのがおっくうなら、出かけるのは晴れてからにすればいい。といった感じである。
毎日の生活とか、仕事に追われるものがあまりいないらしく、某有名妖怪漫画で、お化けには学校も試験もないとうたっていたものがあったが、妖異界においても、似たようなものらしい。
そんなことを言っていると、店の入口の戸が開く。
新しい来客だ。
「あ、いらっしゃいませー。」
真宵が出迎えようとすると、入口から白いものが四つ、音もなく飛んできた。
白いものはシュルシュルと白い布のように長く尾を引いて、真宵のまわりをクルクル回る。
その姿は宙を泳ぐ魚のようで、彷徨う人魂のようで、風に舞う布切れのようであった。
しかし、それはすべてハズレであった。
白いものの先にはよく見ると目と鼻と口と耳がついていた。
人間のものではなく、動物のもの。犬とか猫とかねずみとか、そういったものだ。
小さな前足らしきものもついていたが、それを使って動いている様子はなく、自由に空宙を動き回っている。
「ネズミさん? 犬? 猫? フェレット? 」
サイズはネズミほどの小ささだ。白くて長ーーーい胴体は、ミニチュアダックスを思い浮かばないではない。猫も警戒を解いてくつろいでるときはにゅーんと長くなっている。イタチの仲間のフェレットは狭い場所にでも入り込めるように、細長い胴体をしている。
どれも、似ているようで似ていない。
そもそも、動物はこんなふうに宙を舞ったりしない。
「そやつらは、『管狐』じゃ。」
座敷わらしが正解を教えてくれた。
「くだきつね? 狐さんなの?」
言われてみると、狐にもみえなくはないが、とにかく絶えず真宵のまわりをクルクル動き回っているので、細かい顔つきとかがよくわからない。
狐にしても、普通の狐はこんな風に宙を泳いだりしない。
『管狐』
小さな筒のなかに棲む狐妖怪。
人間にとり憑いたりして、操ったり病気にさせたりするともいうが、人間に懐き、霊能者の手足となって使役されることもあるという。
ほうっておくと、勝手に数が増える。
「へぇ。よくみると可愛いわね。一匹くらい、ペットに欲しいかも。」
管狐の一匹が、真宵の顔の前で停まる。空中で静止することもできるらしい。
管狐の顔をアップで見ると、たしかに耳が大きめで、目が切れ長、狐といえば狐だ。でも、たぶん、これは狐と教えられたからで、イタチだと言われていたらイタチに思えてしまうのだろう。
「人間如きが、我らが眷属をペットにしようなどと、驕り思い上がるのも甚だしいの!」
いきなり大きな叱責の声が響いた。
見ると、そこには見事な銀糸で刺繍された着物を纏った女性の姿があった。
三十歳前後くらいの女性で、長いストレートの髪を真ん中で分けている。
切れ長の目が少々釣り上がっており、美人ではあるのだが少々キツめの印象を与える。
「人間の娘が妖異界でおおきな顔をして、店を出しているとは聞いていたが、末席とはいえ我らが眷属に名を連ねる管狐をペット扱いとは、驕りが過ぎる! その喉元、食い千切ってくりようか!」
いきなりのことに、真宵が目を丸くしていると、座敷わらしのほうが反論した。
「ぬしこそ、店にやってくるなり、その態度か? 管狐にしても、飲食を商いする店に入るなら、人身に化けるなり、管の中に押し込めておくなり、礼儀というものがあろう。」
座敷わらしは不快そうな表情を隠そうともせず、女性の妖怪に向き合う。
「い、いいのよ。座敷わらしちゃん。わたしが悪かったの。そうよね。狐さんだからって妖怪さんなんだから、ペットなんて言ったら失礼よね。ごめんなさい。」
店に来る客のなかにも、動物の妖怪は多い。
猫妖怪の『ねこまた』、兎妖怪の『望月兎』、猿妖怪の『狒々』『猩猩』、雀妖怪の『夜雀』。従業員の右近も『烏天狗』である。
ただ、そういう妖怪は皆、人間に近い姿に化けて店に訪れるので、ついついそれに慣れてしまっていた。
まるっきり動物の姿なものがいないので、管狐をみると、ついつい動物あつかいしてしまったのだ。
「ごめんなさいね。あなたたちも、立派な妖怪さんなんですものね。」
真宵が謝ると、管狐はうれしそうに真宵のまわりをくるくるまわったり、首や手の指にすりよる。
本人たちはあまり気にしていないようだ。
「ええい! 妖狐の一族とあろうものが、なにを人間になど懐いておるか!! 恥を知りや!」
女妖怪に一喝され、管狐たちはシュルシュルと真宵から離れ、彼女の持つ小さな竹筒のなかに戻っていった。
「ふ。その妖狐の一族の『銀狐』とあろうものが、人間のやっている店になにようじゃ?」
この女性妖怪の名前は銀狐というらしい。
座敷わらしは、敵対心を隠そうともせず、銀狐をにらみつける。
座敷わらしは、時折、訪れた妖怪にこういった態度をとることがある。
飲食店の接客としては、よくないことだが、そういう場合はなにかしら意味や理由があるようなので、真宵もあまり、無闇に止めたり怒ったりするのは憚られた。
多くの場合は、人間に害をなす妖怪だったり、害はなくとも関わらないほうがよい妖怪だったりする。
つまりは、人間である真宵のことを思ってくれてのことなのだ。
ときには、それが過剰なときもあるが、トラブルを未然に防ぐという意味では、やはり正しい場合がほとんどだ。
そうなると、この高圧的な態度の銀狐という妖怪は、人間である真宵にはあまり関わらないほうがよい妖怪なのだろうか?
「ホホ。昨今、都でもこの店の菓子がなにやら評判になっておってな。人間のつくる菓子など、我らが主、『九尾』さまの口に合うとはとても思えんのやが、余興のひとつくらいにはなるやろうと、おもうてな。わざわざ、この銀狐自ら足を運んでやったということや。」
銀狐は口元を着物の袖で押さえながら、座敷わらしを見下ろした。
その視線が、自分より下のものを見くだすもののように思えるのは、決して銀狐と座敷わらしの身長差のせいではないだろう。
「あ、あの、とりあえず、お席のほうへどうぞ。すぐに、メニューをお持ちしますので。」
真宵は、銀狐と座敷わらし、ふたりの険悪な空気を察して、雰囲気を変えようと動いた。
たしかに銀狐は、人間にいい感情を抱いている妖怪ではなさそうだが、直接、真宵や店になにかしようと考えているわけではないだろう。
もし、そうなら、この店そのものである妖怪『迷い家』が中に入れないはずだ。
しかし、そんな気遣いも、泡と消えた。
「ふ。この銀狐がこんな下賤な場所で、人間のつくった菓子を食すとでも? 人間の娘とは、かくも愚かなものか。」
銀狐は、馬鹿にするように鼻で笑った。
これにざわついたのは、真宵本人ではなく、まわりで騒ぎに気づいていた客の妖怪たちだ。
銀狐の言いようは、この店の客である妖怪すべてを馬鹿にしたのと同義である。まして、ここの客は店主である人間の真宵を気に入ってるものがほとんどだ。
それぞれが反感の言を口にし、立ち上がろうとするものも少なくない。
しかし、銀狐はそれらをものともしなかった。
「その、下賤な場所に、人間のつくった菓子を買いに来るという愚行をしに来たのではないのか?狐よ。」
真宵の後ろから声が飛んだ。
騒ぎを聞きつけて、厨房から出てきた右近である。
「ホ。まさかとは思うていたが、座敷わらしだけでなく、烏までもが、人間の下で働いておるというのはほんとうやったようやな。まさか、鞍馬山ごと、人間に与したわけではあるまい?」
「御山は関係ない。烏天狗もな。俺は個人として、この店で働いている。狐ごときに四の五のいわれるつもりはない。」
右近も座敷わらしに負けず劣らず敵対心丸出しである。
たしかに、この銀狐という妖怪のものの言い方は問題だが、ここまでふたりそろって感情むき出しなのは珍しい。
「あ、あの、ここで食べないってことは、お持ち帰りってことでいいんでしょうか?」
なにやらただならぬ雰囲気に、真宵はさっさとお帰りいただいたほうがいいのではないかと考えた。
お客を追い返すつもりはないが、執拗に引き止めるつもりもない。穏便に帰ってもらえるなら、それが一番だ。
「そうやな。なにやら、この店で最近、花のような菓子を売り出したと聞いてな。その花の菓子を『持ち帰れるだけ』全部持ってこよ。」
銀狐はまるで、人間と話すだけでも汚らわしいと言わんばかりに、着物の裾で口元を押さえ、見くだすような視線を真宵におとす。
右近などはそれを不快に思い、眉間にしわを寄せるが、真宵はとくに気にしない。
「はい。花のようなお菓子ってことは『紫陽花』のお持ち帰りですね。すぐ用意しますので、少々お待ちください。」
厨房に行こうとする真宵を右近が止める。
「マヨイどの。このような輩になにも売ってやることはないとおもうが。」
「同感じゃ。客が店を選んでもよいように、店も客を選んでよいはずじゃ。まったく、迷い家のやつ、なんでこんなヤツを店にいれたんじゃ・・。」
座敷わらしも、右近の意見に賛成のようである。
しかし、真宵は気にしていないようで、そのまま厨房へと入っていった。
真宵にしてみれば、店をやっていれば嫌な客や困った客が来るのは仕方がないことで、この程度のことで、いちいちめくじらを立ててはいられない。
持ち帰りだと言うなら、他のお客さんの迷惑にならないうちに、さっさと帰っていただくのが得策だ。
「おまたせしました。『紫陽花』の持ち帰り、ご用意できました。」
真宵が厨房から戻ると、そこではまだ、銀狐と座敷わらし、右近の睨み合いが続いていた。
まわりの妖怪たちも、一様に銀狐のほうをにらんだり、不快そうな顔で見たりしている。
これだけの妖怪に囲まれて平然としているだけでも、この銀狐という妖怪は只者ではないと真宵は思う。
「・・・なんや?これは。」
真宵から、菓子の包みを受け取った銀狐は、不快な顔する。
「えと、なかに、『紫陽花』っていう紫陽花の花のかたちをした練りきり餡の和菓子がはいってますが・・。」
「そういうことやない。その『紫陽花』という菓子をあるだけ持って来い、いいましたんや。まさか、この店にある菓子が、こんな包みひとつだけ言うんやないやろな。」
銀狐の抗議に、真宵より、右近が先に返答した。
「『紫陽花』の持ち帰りは八個までだ。それがこの店で『持ち帰れるだけ』全部だ。あるだけ持って帰れるなどと、誰も言っていない。文句があるならさっさと帰れ。」
右近もいつになく辛辣だ。
たしかに《カフェまよい》のローカルルールとして、持ち帰りはひとり折り詰めひとつ分というのが決まっている。
『おはぎ』ならちょうど六個はいる折り詰めで、饅頭なら小さいものなら十個入る。『紫陽花』は饅頭と大きさは変わらないのだが、形がいのちの和菓子なので、となりのとくっついたり潰れてはいけないと、敷居をつくって入れるので、八個しか入らない。
「ふ。なんや、そのルールは? 下賤のものならいざしらず、この銀狐は『九尾』さまのつかいや。そんなあほらしいルールなんぞに縛られる謂れはありはせん。・・・、ああ、金か?まったく、人間いうのはいつになっても欲の深い生き物やなあ。」
銀狐は銀糸や金糸で刺繍された豪華な巾着袋を取り出すと、真宵に渡す。
「ほれ。なんぼでも欲しいだけくれてやろうぞ。」
挑発するような銀狐に、右近が進み出ようとしたのを、真宵は止めた。
巾着の中から、『紫陽花』八個分の御代を取り出す。
巾着の中は、よく見る、銭と呼ばれる硬貨やそのうえの銀と呼ばれる硬貨だけでなく、金貨や金の板のようなものまではいっていたが、真宵は目もくれなかった。
「はい。たしかに『紫陽花』八個分の御代はいただきました。ありがとうございました。」
涼しい顔で、銀狐に巾着袋を返す真宵を見て、半分の妖怪は目を丸くし、半分の妖怪はおもわず噴き出す。そして、銀狐本人は、もともと吊り上った目をさらに吊り上げて顔を真っ赤にする。
「こ、この『九尾』さまのつかいたる銀狐に、売る菓子はないというかとかや? 人間!!」
「いえ。どちらのお客様に限らず、買占められると他のお客様にご迷惑になりますので、ご遠慮していただいているんです。」
怒髪天を突くような銀狐の怒りを、真宵はさらりと受け流した。
まわりの妖怪の反応もどこ吹く風だ。
「あ、それから、これはサービスっていうかお詫びっていうか・・。さっき、管狐ちゃ・・・んじゃなくて、管狐さんのことペット扱いしちゃったんで、これ、よかったらどうぞ。おまんじゅうが入ってます。」
真宵はさきほどのものより、小さな包みを差し出す。
なかには『黒糖まんじゅう』が四つはいっている。
「わ、我ら妖狐一族を餌付けでもしようとおもうてか?! 末席とはいえ、誇り高き妖狐の一族に名を連ねるものが、人間ごときから施しなぞ受けるわけなかろう!!」
銀狐はさらに怒り、吐き捨てるように怒鳴った。
しかし、その直後、銀狐の持つ竹筒のなかから、四つの白い管狐が飛び出した。
四匹の細長い狐は、真宵のもつ包みに飛びつくと、いきなり人のかたちに転じた。
「えー。おまんじゅうくれるのー???」
「おまんじゅうすきー。」
「ありがとー。おねぇちゃん。」
「たべたーーーーい。」
キツネの耳をもった小さな幼稚園児くらいのこども四人。
この間、ねこまたが連れてきた子猫妖怪たちとよく似ている。
すぐ見て違いがわかるのは、猫よりも大きなキツネの耳とふわふわの尻尾くらいだ。
また、色柄とりどりだった子猫妖怪と違って、こちらは皆一様に狐色というか、薄い茶色の毛並みだ。
「あら、かわいい。」
真宵はおもわずつぶやいた。
「どうやら、人間ごときから施しを受けたがる狐もいるようじゃのう。」
座敷わらしが皮肉をこめてつぶやく。
それを聞いて、まわりの客たちが笑った。
そのせいで、ますます、銀狐の目が吊り上る。
「お、おまえたち、なんということを・・、さっさとお戻り!!」
銀狐に叱責され、管狐たちは渋々管の中に戻っていく。
「はぁーい。」
「つまんないの。」
「おねぇちゃん。ありがとねー。」
「おまんじゅうすきー。」
再び子供の姿から小さな狐の姿に転じ、管の中に戻ると、残されたのは、空になった折りとつつみだけだだった。
ちゃっかり、饅頭は管の中に持って行ったらしい。
管は細く、饅頭がはいる大きさではないように思えるが、それを言い出すと管狐自身の大きさのこともあるので、真宵は気にしないことにした。
「こ、この銀狐と『九尾』さまを馬鹿にするとは・・。後悔するでないぞ!人間!!!!」
銀狐は、銀糸の衣装をひるがえすと、店を出て行った。
真宵にしてみれば、馬鹿にするつもりなど毛頭なかったのだが、どうやら怒らせてしまったらしい。
しかし、何故かわからないが、銀狐が出て行った後、客席からおおきな拍手が舞い上がった。
「よくやった。マヨイどの。あの、いけ好かない狐によく言ってくれた!」
そう言ったのは常連の『ぬらりひょん』だ。
『まったくだ! すっとしたぜ!マヨイ!」
そう言って、『河童』は水掻きのついた手でパチパチと拍手する。
「マヨイちゃん、ごめんねぇ。もしかしたら、この店に『九尾』さまが興味をもったのはあたしたちの責任かも。」
そう言ったのは『骨女』をはじめとする花街の三美女妖怪だ。
「あたしたち、『紫陽花』の和菓子があんまり綺麗だから、『古都』でいろんな妖怪に吹聴しちゃったのよ。それが『九尾』さまの耳にはいったのかも。」
骨女たちは申し訳なさそうに言った。
そういえば、骨女たちは『古都』にある花街に棲む妖怪だと聞いたことがあった。
「え?そんなの気にしないでいいですよ。宣伝してくれたんでしょう? おかげで、『お抹茶セット』の売り上げもいいんです。感謝してるくらいなんですから。」
真宵がこともなげに言う。
すると、後ろから大きな笑い声がした。
「ハッハハハ。さすがだな! 肝っ玉が太い。俺がみこんだことはある!マヨイ!」
蛇妖怪の『うわばみ』だった。
よくわからないが、なにやら絶賛されている。
「しかし、マヨイどのが、あそこまで毅然と妖狐に対するとは思っていなかった。」
右近までもが、感心している。
「え?」
「そうじゃな。立派じゃったぞ。マヨイ。」
座敷わらしもウンウンと感心するように頷く。
「え?」
真宵はよく意味がわからず、率直に聞いてみた。
「あの、よくわからないんですけど、あの銀狐さんとか、九尾さんてかたとか、そんなすごい妖怪なんですか?」
一拍だけ、まわりが静まり返った。その後。
爆笑。
まわりの妖怪だけでなく、普段はないくらい座敷わらしや右近までも腹をかかえて笑っていた。
「え?え?え? なんで? 」
考えてみれば、この茶屋からほとんど外に出ることはない真宵にとって、妖異界の権力構造などわかるはずもなかった。
ましてここは『遠野』。
支配者のいない中立地帯のような場所のため、真宵には遠い『古都』の権力者のことなど、気に留めたことさえなかったのだ。
「え? わたし、なにかすごいひとに失礼なことしちゃったの?」
「いや、マヨイどのは、そのままでいいと思うぞ。」
右近は半分笑った顔で言うと、厨房に戻っていった。
「そうじゃな。別段、知る必要もないことじゃ。気にせんでもよい。」
座敷わらしも、教えてくれなかった。
「ちょ、ちょっと、気になるじゃないですか? 右近さん、座敷わらしちゃん、だれでもいいからちゃんと説明してくださいってばーーー!!」
そして、《カフェまよい》にいつもの賑わいが戻っていた。
読んでいただいた方ありがとうございます。
今回は『銀狐』『管狐』でございます。
書こう書こうとおもって後回しにしていた、『九尾』さま率いる狐妖怪でございます。
狐妖怪はがっつり京言葉にしたかったのですが、知識がないので無理でした。
以前、知り合いに、大抵の人は京都弁と京ことばと廓ことばを混同している。と言われたことがありまして。なるほどと思いました。
なので、『銀狐』さんはなんとなく京都っぽい訛りのキャラだと思っていただけると助かります。
次回も狐妖怪からみの予定です。




