表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
死神は泣く  作者: haruharu
4/5

懐かしの開戦

やっと動きますよ!新しいキャラクターがたくさん増えるので期待を!

~第四話~

 四時間目。ハルとサキのクラスでは、演習場での射撃訓練が行なわれていた。今日二回目となる射撃訓練だった。一時間目はSMGサブマシンガン、そして今の時間にはSRスナイパーライフルの使い方が説かれていた。広い演習場で、みんなして体育座りで話を聞いている。

 (僕としてはもう習った内容なんだけどな...)

 軍人兼先生による10分間程の説明が終わり、やっとのことでマガジンに触れる。使われる銃は、百年以上前の旧国で使われていた「SV-98」だ。単発、さらに一発一発排莢ボルトアクションしなければ次弾装填できず、その度に標準がずれるという面倒な銃だ。銃口先端にはマズルブレーキが備えてあり、銃床には二脚の標準装備がしてある。装弾数は十発だ。

 装填まで終わって、的撃ちに入る。先生から反動が強いという注意が入り、各自狙撃を始める。現在使っている的は円形のものだが、三年生になると人型のものになる。そうやって人を撃つ事への抵抗を減らしていくのだ。

 二年生にもなれば、大体の銃には慣れる。皆、当たるが確実でない位置に着弾させているようだ。僕の隣で撃つ彼女も例外ではない。彼女にだけに聞こえる声で「下手...」と呟くと、彼女はアンダーバレルから手を離し、即座にバッ、と振り返った。

「あんたがうますぎるのよ...っ!」

そう言った時には、僕は既に標準を覗き込んでいて、それを見て彼女は顔を赤くして怒る。そして勢いよく的に向き直った。

「ハハ....はぁ...」

誰にも聞こえない声で笑う。

 しょうがないんだ。軍に入ってたんだから。まぁ、それだけじゃないけど。

グリップを握ってマガジンを押し付ける。右側面にあるレバーを引き切って装填。標準の中に的を収めて、呼吸を止める。狙撃の基本だ。こうするとスコープが安定する。そして的にレティクルを合わせて引き金を

――――引く。

凄まじいリコイルを強引に抑え込む。どうやら、中心の赤点に当たったようだ。彼女以外誰も見ていない、と思ったら後ろから声を掛けられた。

「さすがだね、ハル!相変わらずうまいね...。ていうかさ、なんで今日は無視するの?僕が君のアイス食べたから?」

真顔で見つめる。すると焦ったように、

「いや、本当にごめん!そんなに大事にしてるとは思わなかったんだよ!同じの買って来るから許してよ~~!」

あれは期間限定発売だったのだ。もうあいつは戻ってこない...。今度何かおごらせよう。それでチャラだ。彼の名はイシュータ・ショウ。金髪、成績優秀で容姿端麗、意志の強そうな瞳は、一見反して静かな印象を与える。女子からは黄色い歓声浴びることも多いのだが、彼の意志で彼女はできたことがない。男子からは妬みも勿論あるが、尊敬の視線を向けられる程やさしい。怒ったところを見たことがない。僕とショウは現在、お金のない者同士でシェアハウスのような生活をしている。家は僕が貯蓄で買った、二人では広すぎる程の一軒家に住んでいる。(当然ながら貯蓄は消えた。たくさんあったんだけどな...)

「サキちゃんはどう?当たる?」

思考にふける僕を置いて、二人の話題は今日の射撃の調子になったようだ。

「ううん。前よりは当たるようになったんだけど、中々中心にいかなくて...」

「そうなの?ハルに見てもらったら?上手だし」

「!?い、いやいや!無理だよそんなの!あんな奴と!」

「サキちゃんっ!?ハルが可哀そうなことになってるよ!?」

そんな、いつもの授業の中の会話をしていたその時。

――――――轟音が鳴り響く。

「何!?」

サキが声を上げ、立ちすくむ。そして消える音。ハルはその中に、平和な今にはありえない「音」を聞いた。


誰かがつぶやいた。



「戦争...?」



 その言葉を切っかけに、生徒が騒ぎ始める。

「そんなわけないだろ」

「でもあの音、飛行機飛んでたよね...」

教室の方からもざわめきが聞こえてくる。

「本当に...?」

ショウがつぶやく。


僕にはわかっていた。


「...そんなわけないよね?」

サキは泣きそうに言う。


これまでの経験が、警鐘を鳴らしていた。頭が割れそうなほどに、うるさいそれを止めるため。


「ハル?」


僕は走り出した。


「ハル!?」

ショウの呼ぶ声を無視して、生徒を鎮めている“軍官”にアイコンタクトをとる。彼は頷き、生徒に指示を始めた。僕はそのまま廊下へ飛び出し、校庭へ向かう。既に迎えは来ていた。

「...開戦、だって」

「そう...」

黒い髪を後ろに流した年下の少女に促され、車に乗る。一目で装甲車と分かる車のごついラインに、負けないくらいごつい男が乗っていた。黒い髪を短く切り揃えたその男の名は、ガザンという。僕が“軍”に入っていた時の上官だ。今もだが。

「久しぶりだな!学校生活は楽しめていたか?まぁもう終わってしまいそうだが...」

「.....」

「なんか反応してくれよ...まったく、変わらんようだな」

気さくで良い男だとは思っている。だが。

「彼女はできたか?お前イケメンだからモテただろ?」

......ついていけない。

「まぁそんな事はどうでもいい。戦争が始まったんだ。お前のいた学校から十キロの場所にある基地が、横五キロ、縦十キロに渡って空爆された。ここは敵国との境界線が近いからな...するべきことはわかってるな?」

無言で頷いておく。

「能力は使いたくないだろ?だから、お前愛用してた武器は持ってきた。これだ」

彼は車の下部のトランクから、長大な黒い箱を取り出した。そして、その中には

「それで今回は、後衛を頼みたい」

SR――――H&K PSG-1だった。



やっと物語が動いた気がします。三人も新しく出しました。謎の少女、ハルの上司の軍官。そしてイケメン。これからの展開にもご注目ください!

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ