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プロローグ

初めての小説です。初めてなりに頑張るので、生温い目で見守ってくれると嬉しいです。

カッカッカッと刻みいい音とともに、黒板に白い文字が書かれていく。俺はノートへの板書の手を止めて、それをただぼけッと眺めていた。

明け離れた窓から風が流れ込んでくる。パラパラと教科書がめくれたがきにとめず、黒板から目を離し窓の外に目を向けた。


いい天気だった。


晴々とした青空に真っ白な雲が気持ち良さそうに漂っている。

その下には、夏の訪れを感じさせる緑の葉は青々と生い茂り、風に吹かれ枝とともに揺れている。

俺の通ってる学校、私立緑野中高校はその校舎を山に囲まれている緑溢れる学校だ。

校君は『すれた若者の心に自然の豊かさを!』


しかし、まぁ、今日はいい天気だな。

頬が緩むぜ。

今すぐにでも教室を飛び出してピクニックに行きたい。お弁当に、300円分のおやつ(バナナ含む)、それとビニールシートをリュックサックに詰めて背負い、肩からは水筒を掛けて、元気よく山道を歩きたい気分。

そんな取り留めもないことを風に揺れる木々を眺めながら考えていた。

そう、景色を眺めていると変なものを見つけた。

生い茂る木々の中に一本だけ他の木よりも突き出ている大きな木がある。その大きな木の枝と幹の根本の部分に何かあるのを発見した。

大きさは人間一人分の大きさ、というかあれは人だろう。

人が一人木の枝の上に座ってた。

離れていてよくはわからないが、わりと小柄で白い服を着ている。

あんな所で木野上さん(命名俺)は何しているんだろうか?

うーん……しばらく見ていたが動きはない。寝ているのか?

寝ているのであれば、気持ち良さそうなことこの上ない。

この青空の下、あんなところで風に揺られ、木々のざわめきを聞きながらお昼寝なんて気持ちいいに決まってるじゃないか!

あー、羨ましい、恨めしい!

あそこから足滑らせて落ちないかな……。

そんな不純なことを考えてしまうほど、気持ちいいんだろうなと妄想していた。


何と言うか……。


こんな不純な願いに限って神様は叶えてくれたりするもので……。


世界は理不尽でいっぱいだ。


お昼寝さん(命名俺)がもぞもぞと動き出した。

木の幹に手をついて、その場に立ち上がり、両手を伸ばしうーんと体を伸ばした。やっぱり寝てたんだなと確信。

でも、

木の枝なんて不安定な場所で、どこにも手を付かず背伸びなんかしてたら――。

瞬間、バランスを崩したのかお昼寝さん(命名俺)の体がぐらつく、そして……。

お昼寝さん(命名俺)は落ちた。


枝に掴まることもなく、周りの木々を揺らし山の緑に呑まれていった。

俺はその光景をただボケッと見ていた。感想にいたっても

「あっ、落ちた」ぐらいの簡素なものだ。


……って、待てやっ!


結構な高さだったぞ!あんなとこから落ちたらいくらなんでも危なくないか!?見ただけでも校舎三階分くらいはある、下手したら怪我じゃすまないぞ!

しかもあんな山奥で、ひとなんて滅多に近寄らないだろうし……なんだ?俺が悪いのか?俺が落ちないかなとか考えたのがいけなかったのか?


面倒だな……無視しよう、無視。

俺はもとより何も見てはいない。

……やっぱ無理!!

「先生ッ!」俺は勢いよく立ち上がった。

「俺のことを必要としている人がいるので逝きます!」

立ち上がった俺の目には確かな意志の光が滾っている。それを見て先生は、

「フッ……おまえも成長したな……逝ってこい!」(←妄想)

「な、何をいっとるんだ!?」(←現実)

俺は先生とクラスメートの視線を背中に浴びつつ、俄かにざわつきだした教室を飛び出した。

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