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境界番

 ほの暗い闇の中を降下していく。浮遊感に胃袋鷲掴まれる。食事を抜いてきてよかった。

 異世界渡航なんて初めてのことだから、無事に目的地につけるどうかも怪しい。

『呪われし血に連なるものよ』

「誰だ?」

 結構な速度で落下しているので、自分の発した声さえ聞こえない。

『去れ』

 頭に直接話かけてきているのか。てことは相手は人外の類だろう。

「アンタか境界番か? 俺はどうしてもそっちにいかなければならない」

 突然、目の前にローブを纏った人影が現れた。俺とは逆向きで頭から降下している。

 俺の落下速度に合わせる形で寸分の狂いもなく宙に浮いている。

『ならば、大切なものをさしだせ』

「大切なもの?」

 俺の一番大切なもの……。

『裁定はこちらで行う』

 フードの向こ側で双眸が真紅に染まった。そして、反応する間もなく深々と手刀が俺の胸に突き入れられた。

 不自然にも痛みは感じない。

「……俺の一番大切なもの」

 手刀が引き抜かれた。意識が混濁する。

『通行料は徴収した。異世界へようこそーー』

 聞き終わる前に意識を手放した。

 喪失感を抱えて深い深い暗闇に堕ちて行く。

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