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少女の愉悦
高みから下界を眺めながら少女は思わず微笑を漏らした。
雑多な常人種の行きかう街はいつみても退屈だと彼女は常日頃から思っている。定期的に争いの種を下界に撒く。それが彼女の仕事であり唯一の趣味だ。誰に恨まれようが、神の反感を買おうが彼女は決して動じない。
身の程知らずの愚者が自分に挑み、剰え打ち滅ぼしてくれればどれだけ愉しいか。そんな期待すら抱いている。
退屈は神をも殺す。これが彼女の持論だ。終わりのみえない退屈はどんな拷問よりも辛い。だから、彼女は種を撒いて、災いをまき散らす。
悠久の時を経て、鈍化した彼女の感情は一国が滅びたくらいでは揺り動かない。それこそ世界が滅ぶ規模の刺激を求めている。
「木偶人形も人神も妾のために狂い踊れ。愉しい。ああっ、楽しい。愉悦を妾に」
少女は嗜虐的な笑みを浮かべた。




