百八話 作戦会議-11
アワイとガブ。そして、ヒジリ。甲乙つけがたい。俺の大事な家族だ。ただ、ガブだけはバックグラウンドがない。その点で、アワイ、ヒジリとは異なるポジション。
決して声に出しては言えないけれど、ガブの力との親和性が一番高いと思う。まだ、癖がついていない分、ある程度、使い勝手良くチューニングできるという点だけではない。
俺自身が火力と相性が良いみたいだ。本来の能力特性から考えて、どの属性もある程度までは再現できる。元の世界であれば、それ以上の力を必要とする局面は数える程しかなかった。
そのどれもが極限の状態で、必至だった。一度きりの力。代償としていくつかの可能性を潰してしまった。その程度の力では、役不足であるし、早々に手詰まりになってしまう。
力の方向性を定めて、研ぎ澄まさなければ、遅れを取ってしまうだろう。
ガブが主力。ヒジリがバックアップ。アワイには機動力と汎用性を生かして臨機応変に対応してもらう。こんなところか。
「アワイ、ヒジリ。しばらく重点的にガブを鍛えたい。ガブ単体での戦いは厳しいだろうからな」
「ギィー」
ガブは自分の力不足を痛感しているのか、どこかしおらしい。
「その方法は、もっとも効率が良く最善策ではあるのでございますが、最良ではありませんよ、主様」
「……ギィー」
ガブが弱々しく鳴いた。アワイの真意を図りかねる。項垂れるガブを鼓舞するようにアワイが、
「己を卑下するのはやめなさい。誇り高き火の眷属よ」と言い放った。
「ギィーー!」
ガブが突然、火を吐く。炎は霧散することもなくガブの身体に纏わりついた。
「ガブ?」
慌てて、ガブの元に駆け寄ろうとすると渦巻く炎がこちらに向かってくる。すごい熱気だ。
呆気に取られて、反応が遅れてしまう。直撃しても大したことはないだろうとぼんやりと考えている。
パチンとアワイが指を鳴らした瞬間、意識が急速に覚醒する。水蒸気が視界を遮った。相殺しきれない熱気を頬に感じる。
しばしの拮抗の後で、水柱が炎を消し止めた。
「……アワイ、今のは?」
「偶然か、作為的なものかは今の段階では図りかねるのでございますが……」
アワイが口ごもった。ガブの様子を窺えば、苦しそうに丸まっている。心なしか身体が大きくなっているように見える。
ヒジリがガブを心配そうにのぞき込む。
「力の循環現象とでも表現するのが妥当でございましょうか。かの太陽神と神狼の関係性がまさにそれにあたるのでございますよーー」
人を神に至らしめる方式とアワイが重苦しく付け加えた。




