5,「変化」
やっと性転換に気がつく主人公。
さて、残念ながら和をおどS、もとい喋ってもらう計画は大声で騒ぎすぎたせいか、看護師さんが乱入してきたので幕を閉じた。
いつの間にか日も暮れており、和は看護師さんに家に帰るように促され、しぶしぶと帰り支度を始めた。
「じゃあ、兄さんまた明日も来るからね。」
「まあいつ退院になるかは分からないが、それまでしばらく頼む。」
「わかったよ、じゃあまた明日ね。」
「また明日。」
嬉しそうに和は帰って行った。
その顔を見てこちらも嬉しくなってしまう。
一人にやにやしていると、
「目が覚めたといってもまだ安静にしていないといけないんですから寝てないとだめですよ。」
と看護師さんに注意を受け、しぶしぶ布団にもぐりこむ。
枕に頭をのせると、さきほどまでなかった眠気が一斉にやってきて僕は一気に寝入ってしまった。
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次の日、
ごそごそという音で僕は目を覚ました。
ベッドから頭だけを動かし周りを見ようとすると、自分から伸びている長く白い髪の毛が目に入る。
「やっぱり昨日のことは夢じゃなかったのか。」
がさがさと布団をはがしつつ体を起こす。
すると、何らかの用意をしていたお医者さんが近づいてくる。
「おはようございます。昨日はよく眠れましたか。」
「おはようございます。ゆっくり眠れました。」
簡単な挨拶を終えると、少し声に違和感があるのに気がつく。
そういえば昨日も何か変だったなと思いつつ、
「こほん」と一つ咳をして、喉を触ってみる。
特に何もない。
「んっ、何もない?」
寝ぼけた頭で考えている最中、それを遮るかのようにお医者さんが言った。
「寝汗もかいているでしょうし、着替えを持ってきました。
自分で着替えれますか?」
その言葉にうなづき、何も考えず今着ている服を脱ぎ始める。
新しい服と脱いだものとを交換してもらいながら寝起きの自分の体をみる。
入院していたせいなのか、筋肉が衰えてひどく細くなった腕に病的なまでに白くなった肌。
そして、白く長い髪がかかって妙なエロさを感じる小さいがはっきりと存在を主張する胸。
あれっ、ちょっと待てよ。
何か不自然なものが存在しなかったか?
頭から眠気が吹っ飛び、ごしごしと乱暴に目をこする。
やっぱり胸がふくらんでいるようだ。
とりあえず、手でつついてみるとかすかに感触があった。
握るように触れてみる、
「んっ、うんっっ。」
自分のものとは思えないような声が出てしまう。
「声?そうだ!」
喉を再び触る。
何もない。
男子ならあるはずの喉仏でさえも。
「ウソだろっ」
最後の砦を守るため、
慌てて立ち上がり、下着(男物だった)の中に手を入れる。
ない…。
男の象徴とされるものが存在しない…。
僕は愕然とし、動きを止めた。
コメディ風に狂った感じで書きたかった。
なのに上手くいかない…
予想以上に主人公が気がつくのが遅くなりました。
こんな主人公で本当に大丈夫か?
以降不定期更新になります。