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とある歌姫の受難  作者: 葉二
第一楽章
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2,「廻る廻る運命の輪」

運命の輪は廻りだす。

 

 いつもより一時間バイトの時間が遅くなっていたので、ゆっくり眠れると思い、爆睡してしまった。

メガネをかけて、ぱぱっと着替え、現役中学生の妹の(なごみ)の作ってくれたであろう朝食のパンをくわえながらカバンを用意する。

ちなみに朝食の横に置いてあったメモには「俊兄(しゅんにい)へ。遅刻だけはしないこと。」と書いてあった…。

すまん、和よ、兄貴は完全に遅れた。


とりあえず朝食のお皿は水に浸けておいて(帰ったら洗おう)、

「いってきます」もそこそこに家を飛び出した。




もちろん、バイトに間に合うはずもなく、めでたくクビの宣告を店長直々にいただきました。

通院のため、ただでさえお金が必要であるのにバイトを解雇されてしまったショックは大きい。

「はぁ、これからお金どうするか。」

考えながら歩いて行く。

その考えの中から出てくるのはもう戻れない過去ばかり。

父と母の笑顔。

出来たばかりの学校の友人たち。

学校もずっと一緒だった幼馴染。

楽譜、ギター、アンプ、マイク。

すべてこの一カ月で失い、遠ざけてしまったものたちだった。


「暗いことを考えるのはやめやめ。」

思わず独り言を喋る。

「とりあえず新しいバイトを探しつつ、通院をするか。」

顔をパチパチと叩きつつ、そう決めると何か心が少し落ち着いたような気がした。


 一度家に帰って、それから病院に向かおうと家に行き先を定める。

「帰ったら洗いものだな。」

そのほかの家事は(面倒なので)中学校に行く前に妹がやってくれていることを祈りつつ、この後のことを考えながら帰っていた。




僕の本当の不幸は、ここから始まる。



僕が考えに没頭している間に一台の軽自動車がガードレールを越え、すごい速さで向かってきていた。

僕は行動が遅れて足が動かせない。

唯一の幸運はわけのわからない一人言や喜怒哀楽の百面相をしていたおかげで不審者扱いをされてすぐ近くに人がいなかったことだろうか。

すべてがスローモーションになる。

どんどん迫ってくる車。

ピクリとも足を動かせない僕。


そのときだった。

タッタッタ、という足音がするや否や、俺に何か大きなものがぶつかり、車の進路からそらせたのである。


そうして僕は横に跳ね飛ばされながら俺を吹き飛ばした何かでごしに車の横側の車体を見つめた。

そうした後、頭の後ろから「ゴンッ」という鈍い音がしてメガネが吹き飛び、視界が暗転してゆく。


暗転していく最中(さなか)

「大丈夫でしたかって、頭、頭、血、血が…。

どうしよう。うぁ。ええ。」

と錯乱している声が聞こえる。

かろうじて目を開くと、黒髪の少女らしきものが見えた。


その子に声をかけてやる暇もないまま、僕の視界は今度こそゆっくりと暗転していった。


起承転結の起の部分のスタート


音楽はしばらく出せなさそう…。


次は来週ぐらいに出せるといいな…。

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