戦女神の眷族
一話一話がちょっと短いですね。
次からはもう少し長くします。
玉座に座ったネメフェアを目にしたカイゼルは、彼女の神々しさに思わず跪いた。白い肌、蒼玉色の瞳、腰まである長い黒髪。女神に相応しい美しさだった。
「畏まらないで楽にしなさい」
そう言うとネメフェアは立ち上がり、カイゼルに歩み寄る。彼女の身体を包む純白の鎧が、その動きに合わせて軽い金属音を立てた。
「この度の戦、見させてもらいました。良い働きでしたね」
ネメフェアはカイゼルの肩に手を置きながら、労いの言葉をかけた。
「身に余る光栄にございます」
極度の緊張に包まれながら、カイゼルは頭を下げる。そして、疑問に思っていた事を尋ねてみた。
「しかしながらネメフェア様。なぜ私のような者の魂を召喚なさったのですか?今回の戦、私などよりも活躍した者達が数多くいたでしょうに」
カイゼルの問いに、ネメフェアは首を横に振った。
「戦果を上げたという点においては確かにそうかもしれませんね。ですが私が貴方を召喚したのは、貴方の戦場での行動に胸を打たれたからです。」
「私の‥‥行動?」
首を傾げるカイゼルに、ネメフェアはゆっくりと頷く。
「貴方は戦の中、自分の仕える王を助けるために逃がしましたね。その後の戦いでも自ら先頭に立って仲間を守ろうとした。なかなかできる事ではありません」
「自分が仕える王や仲間達を助けたい、守りたいと思うのは当然だと思うのですが‥‥」
カイゼルの言葉を、ネメフェアはやんわりと否定した。
「思っていても、それを行動に移すことは難しいのです。ましてや負の感情が露わになる戦場では特に。だからこそ、他人のために行動できる貴方に会ってみたいと思ったのです。」
「それが私を召喚なさった理由なのですね?」
だが、ネメフェアは再度首を横に振った。
「それもありますが、貴方を召喚した真の理由は他にあります」
「真の理由‥‥ですか?」
カイゼルの問いかけにネメフェアは頷いた。
「そうです。貴方を召喚した真の理由は、貴方を私の眷族に迎えるためなのです」
そう言うと、ネメフェアはどこか悪戯っぽい笑顔を浮かべたのだった。