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ディーナの ディーナによる カイゼルのための魔法講座 その2

何だか説明ばかりの話になってしまいました‥‥矛盾点等ありましたら御指摘ください。

「それでは次に進みましょう。次は【詠唱】と【発動】です」

 

ディーナは説明を続ける。

 

「魔法にはそれぞれ固有の詠唱文というものがあります。魔力を練った後それを詠み上げ、最後にその魔法の名前、法名を唱えることで魔法が発動するのです。私が先にやって見せますので、詠唱文と法名を覚えてください」

 

説明を終えるとディーナは魔力を練り始めた。先程と同じくディーナの手に魔力が集まる。そして、ディーナは歌うように詠唱文を紡いだ。

 

──道を阻みし危難を我が眼に示せ──

「ディテクト」

 

ディーナが法名を唱えると、集まっていた魔力がディーナを中心に全方位に広がっていく。

 

「これが探知魔法のディテクトです。罠を探知する魔法だと説明しましたが、罠以外の危険、例えば隠し持っている武器等にも反応します」

「危険に反応するわけか。もし危険があったらどんな反応をするんだ?」

「それは説明するよりも、実際に体験していただいた方が理解できると思います」

 

そう言ったディーナの手に、いつの間にか鞘に収められた短剣が握られていた。ディーナはそれを服の内、腰の辺りに忍ばせる。

 

「カイゼル様、ディテクトを使ってみてください」

 

カイゼルは頷くと詠唱を始めた。

 

「ディテクト」

 

魔法が発動すると、カイゼルはディーナの腰の辺りが赤く光って見えるのに気づいた。

 

「ディーナの腰の辺りが赤く光って見えるな」

「それがディテクトの効果です。罠や武器、危険物は赤く光って見えるようになります」

「なるほど、これは便利だな」

「魔法の説明は以上です。魔力を練り、詠唱、発動、基本的に魔法はこの三つの手順で成り立っています。ご理解いただけましたか?」

「ああ、良く解ったよ」

 

カイゼルの言葉に、ディーナは満足げに頷いた。

 

「私が覚えているこの世界の魔法はあと数種類ございます。今からお教えしてよろしいですか?」

「頼む。明日の調査に役立ちそうだしな」

「かしこまりました」

 

 

 

 

 

 

 

 

その後カイゼルは、照明魔法の【ライト】、攻撃魔法の【フレイムアロー】と【アイススピア】をディーナから修得した。

 

「私が使えるこの世界の魔法は以上です」

「ありがとう。明日の調査に早速役立てるよ。ところでこれ以外の新しい魔法を修得したい場合はどうすれば良いんだ?」

「そうですね‥‥魔導師の方から教えを受けるか、魔法の品を取り扱う店で魔導書を購入するかのどちらかになるかと思います。どちらもかなりの金額を払うことになりますが」

「誰かが魔法を使うのを見て、詠唱文と法名を覚えてしまえば魔法が使えるんじゃないのか?」

「それは止めておいた方が良いでしょう」

 

カイゼルの言葉をディーナは否定した。

 

「魔法というものは便利ですが、反面使い方を誤れば非常に危険なのです。一口に魔法と言っても実に多種多様、特殊な手順を踏まないと発動しないものや、発動に対価や代償が必要なものもあります。万が一発動に失敗すれば最悪の場合魔力が暴走し、命を落としかねません」

「なるほど。見様見真似で使えるものではないわけか」

「はい。もしも新しい魔法を覚えたいならば、然るべき方法で修得なさってください」

「分かった。他に注意する事はある?」

「あとは魔力切れについてお教えしておかなければなりませんね」

「魔力切れ?」

 

カイゼルが初めて聞く単語だった。

 

「はい。魔力というものは体内に無限にあるわけではありません。個人ごとに魔力の総量は決まっているのです」

「つまり、体内の魔力を使い切った状態が魔力切れってことか」

「その通りです。体内の魔力が少なくなると、魔力を練る際に目眩に似た感覚を感じるようになります。そのまま魔法を使い続けると、最終的には魔力を練ろうとしても魔力が集まらなくなります。これが魔力切れです。当然ですが魔力切れを起こすと一切の魔法が使用できなくなりますので、注意が必要です」

「回復手段はないのか?」

「一番は充分な休息を取る事です。時間経過と共に失った魔力は自然に回復します。戦闘中等で休息が取れない状況の場合、魔力を回復させる秘薬を服用する方法もありますがあまり勧められません」

「何故だ?休息を取らなくても魔力を回復できるんだろう?」

 

カイゼルは首を傾げた。

 

「値段が高い割に魔力の回復量が少ないのです。どうしても今すぐ回復させたい、という時に使う程度にお考えください」

 

ディーナがそこまで説明した時、部屋のドアをノックする音が響いた。

 

「カイゼルさん、ディーナさん、夕食の準備ができましたよ」

 

カレラの声だ。『紅龍の翼亭』は、一階の食堂が開店すると、各部屋に伝えに来てくれるようになっているのだ。

 

「もうそんな時間か。説明はこれで全部かな?」

「はい。また分からない事があれば何なりとお聞きください。カイゼル様はネメフェア様からこの世界の知識を授かりましたが、それがこの世界の知識全てではございませんので」

「ありがとう。また色々教えてくれ。さて、説明も済んだなら食堂へ行こうか」

「はい、カイゼル様」

 

二人は夕食を取るため、食堂へ向かった。

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