ギルドからの試練 その2
今回は短いです。配分間違えた(*_*;
男達はカイゼルを取り囲み、じりじりと距離を詰める。だがヒューを一撃で倒したことを警戒してか、男達はすぐにはかかって来なかった。
「どうした?私を殺すんじゃなかったのか?」
一向にかかって来る様子のない男達を見回して、カイゼルは馬鹿にしたように笑みを浮かべた。周りの観客達からも
「だらしねえぞ!」
「さっきの勢いはどうした!」
と野次が飛ぶ。
「言われなくても殺してやらぁ!」
カイゼルの挑発じみた笑みと周囲からの野次に耐えきれなくなったのか、男の一人がカイゼルに飛びかかって来た。その一撃をカイゼルはあっさり避けると、すれ違いざまに男の手首に剣を叩き込んだ。
「グオオォ!」
男が剣を取り落とし、手首を押さえながら地面をのた打ち回る。刃を潰してあるとはいえ剣は剣。しかも弱い関節部分を狙った一撃だ。関節の骨は砕けて、もう戦えないだろう。残りは三人。
「よくもやりやがったな!」
そう叫びながら背後から二人目の男が襲いかかる。首を狙った横一閃の刃を視界の端に捉えたカイゼルは、しゃがんでそれを避けると同時に、男の膝を狙って剣を振るった。
「グァッ!」
悲鳴があがり、男は膝を抱えながらその場にうずくまる。踏み込みのスピードと体重が乗った膝への一撃だ。こちらも膝関節が砕けて戦えないだろう。残りは二人。
「クソがあっ!」
次の男はカイゼルの側面から襲いかかって来た。剣を大上段に振りかぶった一撃。カイゼルはそれを避けるのではなく、男の間合いに一気に踏み込むと下段から剣を跳ね上げた。
「ギイッ!」
跳ね上げた剣は、男の振り下ろした剣よりも奥、男の肘に命中する。男の剣を振り下ろす力と、カイゼルの剣を跳ね上げる力が肘に集中し、男の肘は呆気なく砕けた。折れた肘を押さえ、男は他の二人と同じく地面に這いつくばった。残りは一人。
「こ、降参だ!降参する!」
仲間があっさりと倒され、残った男は顔を真っ青にしながら剣を捨てた。
「勝負あったな。それまで!」
ギルド長が試合終了の合図を出し、周りの観客達から歓声があがった。カイゼルは構えを解き、ギルド長の前に進み出る。
「文句無しの実力だ。冒険者ギルドはあんたを歓迎するぜ。エレン!」
名前を呼ばれ、一人のギルド職員がギルド長に駆け寄る。
「そいつの登録手続きを頼む。ギルドランクは、そうだな‥‥」
暫く考え込むような素振りを見せた後、ギルド長はニヤリと笑った。
「ランクCで登録してやれ」
ギルド長の言葉に、ギルド職員や観戦していた冒険者達は驚愕した。ギルドは能力や功績によって、冒険者をランクFからランクSに格付けしている。つまり今回は、一気に3ランク飛ばしでの登録になるということだ。これにはカイゼルも驚きを隠せなかった。
「面白くなってきたぜ。あんたがどんな活躍を見せてくれるのか楽しみだ」
周囲の驚愕をよそに、ギルド長は楽しそうに笑うのだった。