68 ジオ国の城にて
<ジリー>
-ジオ国-
アルと二人になると、
「さて、ジリーさま、本日のご予定を教えていただけますか。」
ちょっと怖いんですけど。
「宰相と側近のいる牢に行きますけど、それが何か?」
「そうですか、場所をご存知なんですね。誰か護衛を連れていって下さい。」
「え~っ、足手まとい。」
「・・・、それでも楯くらいにはなるでしょう。」
「・・・、専属の護衛を呼ぶわ。」ジーンに来てもらいましょう。
“ジーン、私の元へ魔力を消して来て。”ふぅ、声には出さず叫んでみました。
「ジリー、呼んだか?」呼んで30秒・・・、医療室にジーンが現れました。
「うん、ちょっと護衛をお願い、一人だと出してもらえないみたいだから。」
「ジリーさま、そちらが専属の護衛ですか?」
「そう。国境に住んでいる友人で、実力はお父様のお墨付き。」
「そうですか、ジーンさまも規格外に当たる方ですね。」
「おまえは、眷属の子孫のようだな。大きな力は感じれないが、わずかに血を感じる。」
「へぇ、世の中狭いね。やっぱり、勘じゃなかったのか。」
「ちょ、っと、待って下さい。ジーンさまは、何者ですか?」
「すでに気づいていると思うが。」
「やはりそうですか。」
「もう、話は夜ゆっくりでいいじゃない。ポーも呼ぶから。
ジーン、アクアと牢に行くから付いてきて。姿は見えなくしてね。」
「ジリー、見えなくはできないぞ。」
「あっ、ごめん。こっちでできるか聞いてみる。」
“オプス、リュミ、ジーンと二人見えなくできる?”
“一緒に行動するなら大丈夫です。”
「アル、行ってくる。」
「お気をつけて。」
“アクア、案内よろしくね。”
“は~い、ついてきてください。”
廊下に出て、アクアについて、階段を下りたり上がったり。
お仕事中の人が部屋から突然出てきたり、女官さん達がおしゃべりしながら歩いていたり、
自分の住むお城なんだけど物珍しくてきょろきょろしちゃいました。
もちろん、人にぶつからないように気をつけました。
牢が近づいてきたのか、騎士が多くなってきました。
正騎士かな?近衛騎士?よくわからない。興味なかったらスルーしていた過去・・・。
廊下の突き当たりに頑丈そうな扉があり、その前に騎士4名。
多いのか少ないのかわかりませんが、さっさと通り抜けしましょうか。
魔術のかかった扉だったみたいですが、上位の魔術師だと問題なく通れてしまいます。
だから、私もジーンも問題なしと。
アクアの案内で宰相と側近2名がいる牢の前へ来ました。
この牢付近に魔術の気配はありません。扉だけで大丈夫だと思われ、いや、思うか。
三人は、少々疲労しているようですが、怪我とかはなさそうです。
誰もここに入れないけど、食事はどうなっているのかしら?
アルに用意してもらって持って来たほうがいいわね。
「宰相、状況を説明しなさい。」
「はっ、理由はわかりませんが、ブラッドのクーデターです。
飲み物に何か入っていたのか、王と王妃が倒れました。
そこへブラッドが来て私たちを捕らえました。
私たちは王たちとは別々に拘束され、場所が違うため状況がわかりません。」
「ジリーさま、王と王妃はご無事でしょうか?」
側近の一人から声がかけられました。見えないはずですが・・・。
三人とも私だとわかっているようですね。
「二人は助け出してフィアンセに任せてあります。
ところで宰相たちは、どうしますか?今助け出すこともできますが?」
「そうですね。
何もわからない状態ですので、おとなしくして相手の出方みたいですね。
ブラッドは戦争をしかけるつもりはないようですし、二日ほどこのままでも良いかと思います。」
「わかりました。食事はどうしますか?ここには誰も入ってこれないのでしょ?」
「そうです。困っています。」
「そうね、今晩アルと食事を持ってきます。アルに皆の体調をチェックしてもらいましょう。」
「アルとは医療室のですか?」
「そうです。」アルって有名人?
「次期宰相にと思っています。ジリーさまの片腕にするつもりです。」
「宰相ね、わかったわ。王になってもらっても良いから、それも考えて。」
ギルという騎士から参謀と言われていたわね。
国から離れることができなし、王なんて面倒なだけですよね。
「それでは。」
「「「はっ。」」」
“皆、医療室に転移するから近くへ。”
医療室へ戻ってきました。
アルが、怪我人の治療中でしたが、姿を消しているので問題なし。
治療が終って連絡を入れたら、皆で町へ遊びに行きましょう。
おーい、そんなことしている場合かって、脳内会議をしましたが・・・。
明日、お父様が来てからでいいっかって結論に。
私、10歳だし・・・と。
次回更新 7月27日0時