67 ジオ国の城にて
<ジリー>
-ジオ国-
♪海は広いな~、大きいな~。♪
ああ、携帯か。
「もしもし、おはよう、海。気分はどう?」
「ああ、大丈夫だ。そっちこそ大丈夫か?」クレアルに聞いたのかな。
「うん。お父様とお母様はどう?治せる?」
「ああ、問題ない。知識にある薬草を魔術で加工したものだ。
数代前の勇者がらみのものだ。よく知っていたな。」
「作ったの、ゴルア王国の王族だと思うわ。」
「それなら有りだ。勇者関係のものがあるだろうから。子孫かもしれないな。」
「ふ~ん。で、どれくらいかかりそう?」
「午前中に意識が戻って、午後には動けるだろう。」
「じゃあ、明日の朝こちらへ来れそう?」
「問題ない。」
「お父様に医療室に来てと伝えて。
ただ、お父様と海の魔力を隠した状態で来てね。
ブランとクレアルがいるから大丈夫よね?」
「俺ができるから問題ない。」
「わかった。待ってるね。」
「じゃ、明日。」
さすが賢者?。良かった、でも、なんだかずるいと思う私は間違ってない!
さて、大きな心配ごとは無くなったと。
次は、陛下代理が何をしたいかね。
民のためってことなら、お父様は引退して私と旅に出るって言うだろうし。
そうなら良いなって希望的観測。
“皆、おはよう。引き続きお願いね。”
““““““おはようございます。””””””
“アクア、捕らえられている人っていたのかしら?”
“はい、拘束されて牢に入れられていたよ。”
“後で案内お願いね。”
“は~い。”
コンコン、ノックの音の後にアルが食事を持って入ってきました。
「ジリーさま、おはようございます。食事をどうぞ。」
「ありがとう。いただきます。」
「ジリーさま、食べながら聞いてください。まもなく昨日のメンバーがここに来ます。
味方にならない者もいるかもしれませんので姿は見せないで下さい。
それと王と王妃が助け出された話もさせていただきます。誰とは言いませんので。」
「了解。ところでアルの仕事って何?」
「医師です。で、この部屋をいただいています。」
「あれ?おじいちゃん先生は?」
「ジリーさま専属で先日引退されましたよ。」
お父様・・・。
「ところで今回のクーデターって何が目的だと思う?」
「それなんですが、よくわからないのです。
あの陛下代理は、権力志向はありますが、身の程を知った人物と思っていましたので。」
「宰相と側近を助け出せばわかるかもね。」
「そうですね。今回の打ち合わせは、そちらの予定です。」
「他のメンバーはいつ来るの?」
「まもなくだと思います。仕事が始まる前に集まる予定です。」
食事が終ってしばらくするとノックの音が聞こえました。
「アル、おはよう。」
「おはよう、シシィ。ギルは?」
「皆と一緒に来ると思うわよ。」
「そっか。」
「よぉ。」ノックもなく扉が開き騎士たちが入ってきました。
「ノックぐらいしろ、まずい時どうするんだ?」
「扉を開かなくしているだろうが。」
「まぁな。」
「さて、アル作戦は?」
「ああ、考えてない。」
「はぁ?なんだと。」
「まずは、情報。調べたことを順に話せ。ギルが皆から聞いているならギルな。」
「あの時間からでは、調べても知れている。宰相と王の側近が反逆罪で捕らえられた。
皆、話もできず連絡も取れず浮き足ったまま、相手の動き待ちって。」
「こちらからの報告。王と王妃はすでに助け出されている。
情報提供者は、暗殺の可能性があるから教えられない。」
「ちょっと待て。そんな話信用できるか。提供者を言え。」
「言うつもりはない。信用できないならそれでかまわない。」
ちょっと、喧嘩させたい訳じゃないけど。
「ちょっと仲間割れしてどうするのよ。ギル、拗ねている場合じゃないでしょう。
まったく、自分にはなんでも話してもらえるとでも思っているのかしら?
アル、もう少し、王と王妃の情報ないの?」
「ああ、薬か魔術で意識不明。情報者の知り合いが治療中。
俺が診たかったというのが本音。教えてもらったのは、以上。」
「そっか、誰も知らないから手が出せないってことね。」
「ああ、俺を拘束して聞き出そうとしても、それ以上知らないから無駄になる。
たぶん、情報提供者を聞き出しても、顔を知らないから無駄だろうなぁ。」
「なんか不思議な話になってない?」
「そっか?で、現在ここにいるメンバーはこちら側ってことでいいのか?」
「ああ、皆、陛下代理側の身内もいない。」
「それじゃあ、今日の予定だが、宰相と王の側近の居場所・状況を探ってくれ。」
「妥当だな。今日は、解散。」ギルの号令で本人も一緒に部屋から出て行きました。
次回更新 7月20日0時