64 ジオ国にて
<ジリー>
-ジオ国-
“ジリー。ひとまず移動しよう”
いつの間にかジーンが私の隣に来て、肩に手をかけて言いました。
“ごめん、取り乱していた。二人も一緒に移動させて。”
“了解。皆、頼む。”ジーンが皆に伝えてくれました。
すると先ほどの場所へ戻りました。
ここからゴルア王国の家へ皆と転移すれば良いのですが、
今の私では、動揺が大きく危険です。
「さっきの家へ転移「ちょっと待て。」」ジーンが。
「ジリー、ここから離れていいのか。」強い口調のジーン。
「精霊たちもジリーの望み通りに手伝う。
今、ジリーが転移したらどうなるか、わかっているな?」
あ、動揺しすぎて考えていなかった。私、魔王代理だ。
ジオ国から出たら結界が・・・。
地下牢も魔術が使えなくなるとわかっていたのに考えていなかった。
「結界が消えてないけど、皆がフォローしてくれたの?」
「ポーが残っていたのに気づいていなかったのか。」
ジーンに言われて初めて知りました。うっかりしすぎです。
「ポー、ありがとう。助かった。」ポーが頷いてくれました。
「ジーン、助言ありがとう。私は、ここに残らないといけない。
二人の状態は普通ではないし、私ではわからないから手をうてない。
海ならわかるような気がする。ごめん、誰か二人を海の元へ。
そして、二人をお願いと伝えて。」
「あっ、クレアル。私の髪と瞳を海と同じにしてくれる?
終わったら、海のそばへ戻って。こちらに付いて来てくれてありがとう。」
「いいえ。海の望みですから。お二人と海の元へ行き、説明してきます。」
「お願いね。」
クレアルと一緒にお父様とお母様が消えました。
無事を祈ることしかできないのが辛い。
でも、お父様に恥ずかしくない魔王代理として行動しなくては。
全く状況がわからない。ゴルア王国の件といい無関係ではないだろう。
ん、ちょっとは冷静になれたかな?海がいれば相談できるんだけど。
かなり、頼りにしていることが実感されますね。
さて、ジオ国で私を助けてくれるような人は・・・。
あらら、あまりつきあいないみたい?
もう、城へ直接乗込んでみようかな?
髪と瞳の色から人族としかわからないよね?
「直接、城へ乗込もうと思うけど、一緒に行く人~。」
考えても何もできないので、変なテンションでもしかたがないですよね?
皆さすがに引いてる?
「ご一緒させてもらいます。」あら?めずらしく代表発言がフラム(火)。
「フラム、よろしくね。いろいろとお願いさせてもらうことになるけど。」
「ふふっ、もちろん対応させてもらいます。」えっ、私何かした?
「フラム?何か、テンションへん?」
「今度こそ私の出番かと。ヴェントとアクアばかりでしたので。
転生されてから何もさせていただいていませんもの。
最初に知り合ったからといって優遇しすぎですわ。」
「ねぇ、たぶん僕とリュミ(光)の出番だと思うよ。城の中なんだから。
見えなくするんでしょ?」オプス(闇)。
「皆、ありがとうね。皆の得意分野が、私はわからないの。
それぞれの判断で助けてもらえるとうれしい。」
皆を伺えば、頷いてくれました。
「さて、今回の出番は精霊たちに任せて、私はポーと帰るから。
何かあったら呼べ。飛んでくるから。」
飛んでくる?まさか龍の姿で?まぁいいっか。
「ジーン、ポー、ありがとうね。
冗談ぬきで戦闘とかやばくなったら本当に呼ぶからお願い。」
「ああ、危機になる前に呼べ。間に合わなければ話にならない。」
「うん、わかった。」