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59 グリューネの葛藤

<グリューネ>


 魔族の少女の話を聞き、私は迷っている。

事実なのかどうか、海という青年が魔族側にいる限り事実かもと揺れている。

でも、今までの考えも容易く捨てられない。


 聖との出会いは、ナイトが連れてきたからだ。

この時点で普通でないとわかった。

なぜなら、ナイトが普通の犬ではなく、精霊に近い存在だろうと考えていたから。


 この森の家周辺に魔術で結界を張ってある。

この結界は、私よりも魔力のあるものが破壊するか、精霊の魔法でしか通れない。

 ナイトは、しばしばここへ訪れている。ナイトの通過を拒否しても。

これによってナイトが精霊に近い存在だろうと。


 そのナイトがいつも行動を供にしている。懐いているのか、ナイトより上位なのか。

可能性として勇者ではないかと思った。


 聖は、この世界をよくわかっていない。これは、チャンスでもある。

この国の物語は、ジオ国について魔王は悪と書いてある。

読めばわかるから、私からは何も言わない。


 いつか、ジオ国を滅ぼすことが私の夢。

幼い頃の友達が、家族とジオ国に行って戻ってこない。

 大人たちは、ジオ国で殺されたと噂していた。

あの国は野蛮で行ったら殺され、人を攫って奴隷にしていると。


 私は、前王に抜擢されて宮廷魔術師になった。

貴族中心の宮廷で平民の私は、王へ恩を返すために努力した。

が、長になってすぐに王は亡くなり、現王とは対立が重なり追放された。

 前王からジオ国について聞くことはなく、現王からはジオ国への侵略を聞いた。

はっきり言えば、ジオ国だけではなくすべての国を傘下にするとのこと。

ジオ国の件だけは、意見が一致していたのだ。


 聖とは、しばらく一緒に暮らしてみて勇者だと断定できた。

結界は見えるし、魔術も普通に使える。精霊を使って魔法も。

普通の人ではありえない。


 宮廷魔術師が、勇者が現れていなくなったと言ったときは違うかもと思った。

嫌がっている勇者が気の毒だとも。

そのときは、王と宰相にざまあみろという感情が勝っていたからだ。


 ジオ国への拒否反応が、王都へ行ったときに再度噴出してきた。

あの偽勇者については、すぐにわかり魔術師長と勇者の捕獲について話し合った。

聖なら必ず来てくれると。魔術師長を通じて王と宰相もぐるになって。

 リーコスは、どちらかと言うと反対だったと思うが強制したらしたがってくれた。

皇太子は王とは違い民を思っているが、ジオ国に関しては私と近く協力してくれた。


 聖が、従兄弟の海を連れて助けにきてくれた。

実際、海という青年は魔法を使える聖のつきそいだったのではと思う。

なぜ、従兄弟がこの国にいるのか不思議だった。


 集合の予定場所へ聖も海と来てくれたが、国へ帰ると言いそのまま行ってしまった。

ここで引き止めるはずであったので予定が変わってしまった。


 ただ、国へ帰ると行ってもそんなことができるはずがない。

しばらくはこの国にいるだろうと、王へ連絡し国とギルドへ手配させた。

私の家の可能性もあるのでそちらへも。


 罠にかかって、海とナイトがやってきた。

聖ではなくて残念だが、従兄弟の危機に助けにくるだろうと捕らえた。

 海は、帰ってこないと言い、リーコスからもその伝言を聞いた。

だが、信じられない。勇者なら帰れないはずだ。


 海が、この館を逃げ出したが、戻ってきた。

館を壊そうとしたのでさせないように攻撃した。


 大したこともなく勝てて捕らえようとした所に魔族の少女が現れた。

婚約者だと?なぜ、魔族なんかと?魔族へ攻撃を続けても全く効果がない。

歯牙にもかけられていないというべきか。


 魔族の少女が、海と共に消えた。追いかけても無駄だろう。

確実に私よりも上位だ。あの少女の親は、魔王だろう。

国すべてに防御か。私は、森のある部分だけだったのだが。


 これで海、聖に手を出すことはできなくなったな。

勇者が、家族のジオ国を攻める訳がないとなるのか。

 考えれば考えるほどわからなくなる。


 私はどうすればいいのだろうか。

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