58 ジリーvsグリューネ?
<ジリー>
-ゴルア王国-
「ブラン、鳥になって。それとさっきの館の外へ送って。
クレアル、私の目を元に戻して。」
館の前に転移して入り口を魔術で破壊。そのまま中へ。
“ブラン、海のいる場所へ案内して。”出てきた騎士は無視。
魔術の結界で私とブランに手出しはできない。
部屋へ入った瞬間に海が倒れました。
海を取り押さえようとした騎士を壁へふっ飛ばしました。
海を抱きかかえて・・・無理、引きずって。
グリーさんが、攻撃の魔術を使ってきました。
げっ、急いで海にも結界を発動。
見たことある人たちもわらわらと出てきました。
飛び掛ってくることもなく、傍観するつもりかしら?
飛び掛ってきても結界に弾かれるだけね。
「何者?」グリーさん。
「私?この海の婚約者だけど。」
「くっ、魔族か。」蔑みか。やっぱり魔族って嫌われてるのね。
「それが何?」恩人だと思っていたのに・・・、最初から勇者と思っていた訳ね。
「謝ってもらえるのかしら?」
「ふん、魔族に謝るなんて、ありえないね。
勇者さえいれば、ジオ国なんて存在しなくなるさ。」
勇者を捕らえて魔王を倒せってこと?
おおっ、ファンタジーの王道ですね。
ただ、魔王はその勇者の父親なんですけど。神様は、この国をなんとかしたいのかしら?
「なぜ、ジオ国が嫌われているのかしら?不思議ね。」
「魔族は、野蛮で殺し合いに明け暮れているではないか。他の国から人を攫っている。」
「殺し合い?そんなもの無いわよ。自給自足で他の国より平和だけど?
そんな野蛮な国なら他の国を攻めて戦争にでもなっていると思うわよ。
お父様なんて防衛の魔術しか使ってないし、前任の魔王も仕掛けてないはず。
それに人を攫う?逆よ、人の国で虐げられた人が、逃げてきているのよ。
碌なこと言われてないわね。なぜ、デマの方が信じられているのかしら?
だいたい、そんな風に言われている魔族相手にこの海が婚約するとでも?
私は、聖と会っていないけど、反対されていないわよ。」同一人物だもん。
なんか、この年(10歳)で長々と語ってしまった。恥ずかしい。
わかってもらえないんだろうなぁ。
話をしている間も攻撃していたのかな?
グリーさんの顔色が悪くなってきている。
私の魔力は底なしだから使っていても気にならないし。
さて、そろそろ私たちは退散しましょう。
遠巻きに取り囲んでいる人たちを眺めました。
それから、海とブランと一緒に魔術でこの屋敷の外、王都の外れという順に転移しました。
魔術を追跡されて、戻る家が知られるのを防ぐため、直接帰れません。
“皆、ジーンたちのいる家に帰るわよ。”
“は~い。”
海の体重を魔術で50分の1ぐらいにして、森へ向かって歩きました。
ある程度歩いてから、ブランにジーンたちのいる家へ転移してもらいました。
「ただいま~。」