56 スパイは誰?
<ジリー>
-ゴルア国-
「ジーン、ポー、食料取りに行こう。いつものね。」猪と鹿と兎もどきがおいしいのよね。
「「OK」」
「おいジリー、俺も。」
「海は、ブランとお留守番。ヴェントたちが帰ったら聞いておいて。後、料理担当ね。」
だって、海の料理はおいしいもの。私が作ると微妙。
大猟でした。予定より大きい獲物になってしまいました。
人が来ない場所だから・・・、くまもどき。
「海、お願い。」丸投げです
「へぇ、なかなかすごいね。結界の外でさばいてくる。」
「ブラン、連絡あった?」
「まだだ。」そうだよね。
私たちが、食料の調達に行っている間に家が建っていました。
さすが規格外ってとこね。普通の人ではできないですので。
海の作った食事が終わるころに、ヴェントとアクアが、戻ってきました。
「遅くなりました。」
「もどりました。」
「どうだった?」気になります。
「王都を中心にして、この森と反対側にあるドゥーブルと言う貴族の館に滞在中です。
町の様子は、変わりありませんが、城から手配されているのは聖と海です。
それとブラン様も。ギルドにも要請されているようです。」
ちょっと待って、おかしくない?何故手配されているのが、私達なのかしら?
根本的に何かが変ね。ブランまで入っているし。
「なぜ、俺たちだけが手配されているんだ?どう考えてもおかしい。
ブランについては、グリューネさん以外疑問を持たないだろう?
迂闊に動けないな。聖はいないから問題ないし、ブランも鳥になっているからいい。
問題は俺か。」海も、私と同じ意見のようですね。
「ドゥーブルと言う貴族の館に偵察に行くしかなんじゃない?」
「ああ、あやつの所か。」
「ブラン。知ってるの?」
「聖にこの世界に来た時に、森の魔女と貴族の老人とどちらがいいかと選択させたやつだ。」
「今は、誰を信用していいかわからないわね。」
「俺とナイトになったブランとそこに行くのがいいんじゃないか?
しっぽを出すかもしれないし。俺たちなら逃げ切れるしな。ジリーは携帯で見てればいいさ。」
「そうね、こっちのことを知られたくないわね。ブランお願いできるかしら?」
「ああ。」
「じゃあ、ブラン場所わかるんだよな。転移頼んでいいか?」
「海、そばに。」海がブランに近づいたらそのまま消えました。
海から受け取った携帯で「0」を押しました。画面が知らない場所を映し出しました。
ドゥーブルと言う貴族の館ですね。声も聞こえます。
海が扉をノックして、誰かが開けてブランと中へ入りました。
携帯の画像も屋敷の中に変わりました。会議室のような所に案内されて席につきました。
すぐに前回助けたメンバーがやってきて席につきました。
「聖は、どうしたんだい?」挨拶の後にグリーさんが、海に尋ねました。
「はい、国に戻りました。」
「あんたは戻らないのかい。」
「ええ、他の国に婚約者がいますので、その国で結婚して暮す予定ですよ。」
「それはおめでとう。」
「ありがとうございます。ところで、なぜ僕たちだけが手配されているのですか?
ギルドにも要請されていますし。」
「それは、私が依頼したんだよ。」
「はぁ?」
「勇者を捕まえるためにね。」
「聖も俺も勇者じゃないんですけど。」
「ふん、私がそれで騙せるとでも?聖が勇者だろう。
今、お前が座っている座席は魔法が解除されるようになっている。
髪も瞳も変わっていないから違うとわかる。聖が座れないのは残念だ。
聖の居場所を言いなさい。」
「そう言われても、聖は国に帰っていないのですが。
グリューネさんと会うまで、この国でひどい目に合ったからもう来ないですよ。」
「呼ぶことはできるのでは。」
「無理ですね。家族が許さないでしょうね。」
「では、呼ぶまでここから出ることはできないよ。」
海が、鎖を巻かれて拘束されました。