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<ジリー>
私は、生まれてすぐ皇太子になった為、教育はそれなりに厳しかった。
4歳の時に他の国について教えられ、自分の目で見たいと思うようになりました。
5歳に影が使えるようになり、商業の国トゥルゴバスキ国に遊びに行きました。
一番魔族に偏見が少ないと教えれらた国でしたので。
行きたいからといって、すぐにそこへいける訳ではありませんでした。
行ったことのある場所でないと転移の魔術は使えません。
半日歩いて転移で戻って、翌日に前日の進んだ場所へ転移して、半日歩いて転移で戻りました。
その繰り返しを2ヶ月かけて目的地へ到達。
足腰の鍛錬にも一石二鳥。
襲ってきた魔物との戦闘もありましたね。これは、魔術の訓練と。
目的はその国について学ぶためなんですが、5歳の子供に何ができるのでしょう。
そこで、行った国で遊ぶことを目標と変更しました。
それが、それぞれの国を知ることになるでしょうと。
遊び相手は、同年代の子供たち。たまに親にも遊んでもらいました。
さすがに赤い瞳は駄目だと知っていたので、ブルーに見えるように魔術で変えて。
今だから言えますが、遊んでいた仲間に魔術を感知できる人がいなくて助かりました。
翌年は、宗教国家クハラム国に遊びに行くことにしました。
愛馬?のジーンとの出会いは、クハラム国に向かう途中の山。
地龍であるジーンと戦闘。
ジーン曰く、魔力が同レベルの人族なんてなかなかいないから戦いたかったですって。
私は、戦闘マニアではありません。どちらかと言えば頭脳派なんですが・・・。
おかげでぎりぎりで私の勝利。
こぶしを合わせたからなのでしょうか?ジーンと友達になって休養をとる事に。
戦闘のせいで、私は3日、ジーンは5日動けず。
魔物と人間に襲われたらどうしようと思っていたら、ジーンが友達を呼んでくれました。
水龍のポー。皆、生まれて数年。子供ではない龍と戦っていたら死んでますね。
互いに体が回復したら、ジーンとポーもクハラム国へ行って遊ぶということになりました。
クハラム国の王都の外れの森までポーが背に乗せてくれました。
人に見られると困るので見えないように皆に魔術をかけました。
ジーンもポーも人型になって、一緒に子供たちに混じって遊びました。
ジーンは、私が移動で馬が必要な時は、馬になるので呼んでと言いました。
ただし、一緒に行動することが条件だそうです。私としては、心強くて嬉しいことです。
クハラム国に遊びに行くときは、ジーンがいる山へよってから一緒に遊びに行くようになりました。
ポーも近くにいるときは、一緒に行きました。
また、翌年は、軍事国家アーミヤ国へ向かいました。
もちろんジーンとポーも誘いました。
まずは、ジーンのいるジオ国とクハラム国の間にある山へ。
ジーンと一緒にポーの背に乗せてもらって、王都の外れの森の中で下ろしてもらいました。
二人と一緒だと魔物が出てきません。やっぱり格が違うってわかるんでしょうね。
他の国と同じで同年代の子供たちと遊びました。
いろいろな国に行って一緒に遊べるのもあと1~2年です。
私もですが、子供は9歳になる前に仕事・学校があるので遊ぶことができなくなります。
行けるうちにと、トゥルゴバスキ国、クハラム国、アーミヤ国とジーンやポーを誘って行きました。
予定の9歳までは、子供たちと遊びました。
トゥルゴバスキ国で遊び友達の親にギルド登録してみたらと言われました。
魔術が使えることを知っているからの助言でしょう。そしてギルドについて教えてもらいました。
ただ、登録の際の出身地に問題。さすがにジオ国はまずいですよね。
登録時にジオ国をトゥルゴバスキ国の名前にできるかですね
興味はあるから登録したいなぁ。内緒で来ているからお小遣いも欲しいし・・・。
でも、面倒だから止めた。薬草を取ってきてギルドで買い取ってもらうことにしましょう。
次回、来る途中でジーンたちと薬草収集しましょう。三人でならおもしろそうです。
9歳を過ぎてからは、小銭を持ってジーンたちと買い食いして歩きました。
そして10歳。
冒頭のゴルア王国へ勇者を見に行くことになりました。
-お披露目前日の早朝-
「お父様、行ってまいります。」
「ジリー、護衛はつけて欲しいのだがね。」
「私よりも強い友達も一緒ですから問題ないですよ。」
さすが龍。数年で完全に追い抜かれました。
「強い友達?そんな人物がいるのか?紹介してもらってないが。」
「時間がありませんので帰ってから紹介を考えます。では、お父様、お母様行ってまいります。」
ジーンたちを誘って、トゥルゴバスキ国でお買い物。もちろん荷物にならない程度に。
その後、ジーンに馬になってもらってと思ってましたが、国境を越えることを考えて止めました。
ゴルア王国の王都の外れへ降りてもらって、宿代の為の薬草収集を三人でしました。
規格外三人組ですので、高給取りです。高級宿に宿泊しました。
やっと勇者のお披露目。想像以上の人出のため、埋もれてる私にジーンが肩車してくれました。
周囲の子供たちも親に肩車されていましたので、あまり目立つこともありませんでした。
あらっ?神殿の前にいる勇者、何かがおかしい。魔術の気配がある。
私より上の実力?それはありえない。場所が離れすぎていてわからないです。
一度国に戻って改めて調査に来ることにしましょう。
もう一つ気になったこと。
勇者の顔を見たとたん一瞬気が遠くなったこと。なぜ?
今日のところは戻るとしましょう。お父様が騒ぎ出す前に。